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ブルーインパルスを眺めた日

今日は昼間に東京の空を駆け抜けるブルーインパルスを眺めた。

こんなん見られるの一生に一回だろうなぁ…なんてことを考えながら眺めた。地上は人が集まって密になっていたから、通行人の視線が刺さり、気持ちとしては、少しばかり心苦しかった。
でも、多分一生に一回の出来事だろうからと、珍しく群衆に混じってみた。少し離れたところから。
そのくらい今日と言う日の私は気持ちが窮屈していたのかもしれない。

空を「飛ぶ」と書けば良いところを、「駆け抜ける」と表現してみた。これには理由がある。

先日観たある映画のワンシーンに、電車に乗ると言えば良いところを、電車に揺られると表現した相手に惹かれたと言うエピソードが出てきた。

趣味、趣向が合うとか、本棚に同じ本が並んでいるとか、使う表現が翌日に余韻が残る。
そんな人ってなかなか人生で会えないななんてことを思ったから、その映画のシーンを自分の中で少し引っ張ってみたくて、つい駆け抜けると書いてしまったのだ。

グレーに澱んだキャンバスに色を差し込んだブルーインパルスは、私の視界からは30秒ほどで居なくなった。

袖振り合うも多生の縁。

名前も知らない人々の群れに紛れ込み、同じ方向に目線を向けながら、混沌とした今を駆け抜けるほどのやる気もなく、私は今日と言う日を歩いて過ごした。

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