見出し画像

なぜ、未亡人は美しく見えるのか? Chapter 3 毎日出会う色の「あ、そうだったのか!」を解明する(7)


ピンク色は「何者」か?

女性にとってのピンク色

女の子は赤、男の子は青。
小学生の頃でしょうか。よくこんなふうに赤や青を、女の色、男の色と色分けして楽しんでいたものです。赤はかわいい、青は強い、誰に教えられたわけでもないのですが、そんなイメージを子どもなりに感じ取っていました。
ただこうした傾向も、大人になるに従って、子どもの頃ほど顕著なものではなくなってくるようです。女性の洋服が青だろうと、男性のジャケットが赤だろうと(派手とは思うでしょうが)、男っぽい、女っぽいという感想はあまり抱かなくなっていきます。
ただ一つの例外を除いては。
ピンクです。前回、男性にとっての「セクシーな色」としてお話しましたが、このピンクだけは、いくつになっても女性の色という認識は共通のもののようです。
たとえば赤。子どもの頃は女の子の色の代表的な存在であった赤も、大人になるに従って「勇敢な赤」「猛々しい赤」、いわゆる「男らしい赤」といったニュアンスが登場します。
しかし、ことピンクに関してはどうでしょう。世の中を見渡しても「男らしいピンク」として使われている例はほとんど思い浮かびません。
たぶんこれは、ピンクの持つ、かわいい、ふっくらした、明るいイメージが、男性にとっての「自分をこのように見せたい!」というイメージとほとんど重なっていないからなのでしょう。男性がピンクをうまく着こなしているという例も、他の色に比べればほとんどありません。

若返りの色ピンク

男性にとっては非常に扱いにくいこのピンク色ですが、女性にとってはどうでしょう。自分の部屋をピンクで飾り立て、ピンクの洋服を身に付けて…。
これは大人が勝手に思い浮かべるローティーンの女の子の姿ですが、実はこのピンクを好きなのは、どうも若い女の子ばかりではなく、すべての世代の女性に好まれている色のようです。
「カワイイから」
もちろん、若い女性がピンクを好む理由は間違いなくその点であると思います。
しかし次第に女性も年令が上がってくると、もっと現実的な部分でピンクを好まれるようです。
Chapter1でも触れましたが、まずピンクには若返りの効果があります。
ピンクを着て華やいだ気分でいれば、気持ちも年をとりません。さらにそんな精神的な効果と同時に、ピンク色はホルモンにも影響を及ぼします。身体の中で若さを保つ働きをしているのはホルモンです。この若さホルモンがきちんと分泌されることで、身体の若さが大きく違ってきます。
実はこの若さのホルモンの分泌は、目から入った光によって刺激され活性化していくといわれています。ピンク色は数ある色の中でもっとも若さホルモンを活性化させる色だったのです。
つまりピンクを身に付けていたり、常に目の届くところに配置しておくことで、若さを保つためのホルモンが活発に分泌されることになります。
この効果はアメリカで実証されていて、ピンクの服を着、カーテンをピンクに替えて生活した女性は、肌が若返り、肉体的にも精神的にもいきいきとして見違えるような美人になり、その上性格まで明るく優しくなったといいます。
またピンクには、この若返り(これだけでもずいぶんすごいですが)の他にも、いろいろな効果があることがわかっています。
たとえば、ピンクには人の気持ちを和ませる作用があります。看護婦さんの制服が淡いピンク色なのは別の項でも申し上げた通り。
同じ理由でアメリカの刑務所の壁がピンク色に塗られているそうです。それまで体罰や鎮静剤でしか鎮めることができなかった収監者たちの攻撃的行為の発生が、壁をピンク色にしたことで激減したといいます。

女性はピンク効果を熟知している。

色の調査によるとピンクのイメージは「愛情」「上品」「青春」そして「母性」。特に男性にとってピンクは「母親タイプ」「令嬢タイプ」を強く連想させる効果があるといいます。いつでも優しく、そしてどんな自分でも微笑みながら優しく受け止めてくれる。男性にとって一つの理想的な相手を示すイメージカラーであるともいえるでしょう。
一方これを身に付ける女性側の心理。
ピンクには自分が「こまやかな愛情、感情を持つ」「繊細で傷つきやすい」
「守られるべき」存在であることをわかって欲しい、と心の底で主張している側面があるようです。
ただし先ほどからピンクと簡単に申し上げていますが、ピンクにもいろいろなトーンの違いがあるのはご存知の通り。目の覚めるような派手なものから、ちょっと落ち着いたピンクまで、同じピンクでもニュアンスはさまざまです。
「愛情」「青春」を前面に出すならもちろん明るいピンク。
「上品」「母性」を前面に出すならコーラルピンクなどの落ち着いたピンクということになるのでしょう。
このコーラルピンクには一つ大変面白い効果があります。
女性が男性に何かを買って欲しい場合に着ると一番効果的な色がこのコーラルピンクだというのです。

もともとピンクが持っていた「こまやかな愛情、感情を持つ」「繊細で傷つきやすい」「守られるべき」というメッセージに、「上品」「母性」という奥ゆかしいイメージをミックスすることで、男性は「何かをしてあげたい」と、まるで子どもが、友達や兄弟には絶対に分けないお菓子を、「あげる」と母親には差し出すように、プレゼントをあげたくなってしまう。どうもそんな効果があるようなのです。
たぶん、女性はこのことを本能的に感づいているのかもしれません。実際、高級ブランドショップなどで男性とともにショーケースを覗き込む女性には、コーラルピンクをどこかにワンポイントあしらった、あるいは洋服自体がコーラルピンクの女性を非常に多く見受けます。
もし、ワンポイントにピンクを取り入れた女性に「ちょっと付き合って欲しいところがあるの」とデパートなどに連れて行かれたら、覚悟された方がよろしいかもしれません。
さらにピンクは「私を愛して!」というメッセージ色でもあります。裏を返せば、私を救って、愛して、という色。もっといえば、他人任せの色とでもいうのでしょうか。

つまり、自分以外の何モノかに自分を助けて欲しい願望の現われでもあります。
そう考えると、女性に向けたダイエット、エステに関する製品や空間、あるいは便秘の薬のパッケージなどの多くがピンク色で配色されているのも理解できます。
あれは単に女性らしい柔らかな色使いを意図したのではなく、「私をナントカして」「助けて」という願望の応える計算された表現だったのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?