yuzu

大学生の作文です。

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  • 〈知らない場〉に行ってみたレポート

    毎月どこかで〈よそ者〉になる。 2023年、月に1回〈知らない場〉に行ってみるというミッションを課していました。そこで出会ったものや感じたことを、ばらばらと書いています。

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〈知らない場〉に行ってみたレポート2023

2023年、ひそかに立てた目標があった。 それは、月に1回〈知らない場〉に行くこと。 わたしの場合、大学生活が後半に差しかかる頃には、自分の興味がとてもはっきり見えてきていた。災禍やその記憶を受け継ぐことについて、自分の人生を捧げて考えたいと思うようになっていた。 でも同時に、生きる中で触れる様々なものを「自分に関係がある/関係がない」と無意識に区別するようになっていた。このことに気づいて、違和感と危機感を覚えた。 全然関係ないと思っていたものどうしがつながって、発明が

    • 2023.12|いちばん思いがけない〈場〉

      12月 〈東京ドキュメンタリー映画祭〉の2日目、《戦争の「声なき声」》に行ってみた。 12個の中で、いちばん思いがけない〈場〉だった。 新宿の東口から5分ほど歩いたところに、ケイズシネマというミニシアターがある。ここでは毎年12月に〈東京ドキュメンタリー映画祭〉が開かれる。 約2週間にわたって、短編・長編さまざまな映画が上映される。 社会やそこで生きる人びとに目をこらし、丁寧に描き上げる作品ばかりで、どれを見ようか迷ってしまう。 迷ったあげく、私は2日目の《戦争の「声

      • 2023.11|いちばん馴染んだ〈場〉

        クラフトビレッジ西小山で開催されたトークセッション〈双葉郡との関係の結び方〉に行ってみた。 12個の中で、この1年を通していちばん私に馴染んだ〈場〉だった。 いや、企画のテーマを踏まえるなら、「馴染んでしまった〈場〉」と言えるかもしれない。 〈双葉郡との関係の結び方〉は、3月の〈しゅたいって?〉と同じ場所で開催され、同じ方が主催していた。 3月と同じように、カレーも食べられた。 ただ内容は以前と異なり、主催者の方が長らく関わってきた双葉郡についてのものだった。 葛尾村の

        • 2023.10|いちばん物語りたくなる〈場〉

          10月 下北沢の書店B&Bで開催された、トークイベント〈本の扉をあけて 山下紘加と語る読書の喜び〉に行ってみた。 12個の中で、いちばん物語りたくなる〈場〉だった。 ともだちってなんだろうともだちに嫉妬することって、ありますか? ともだちに依存しているな、と思ったことは? 今回のイベントには、小説家の山下紘加さんが登壇されていた。山下さんが、新刊『煩悩』を発刊したのがきっかけのようだった。 『煩悩』は、山下さん自身と中学時代のともだちとの関係をもとに書いた小説なんだ

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        〈知らない場〉に行ってみたレポート2023

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        • 〈知らない場〉に行ってみたレポート
          13本

        記事

          2023.9|いちばん大学に近い〈場〉

          9月 代官山T-SITEで、『言語の本質』の出版を記念して開催されたトークイベント〈言語の本質を探す旅〉に行ってみた。 12個の中で、いちばん4年間の大学の学びに近い〈場〉だった。 『言語の本質』は、2023年5月に中公新書から出版されたばかりの本である。著者は、認知科学や発達心理学を専門とする今井むつみさんと、認知・真理言語学を専門とする秋田喜美さん。 トークセッションではこの2名に千葉雅也さんが加わり、千葉さんが著者のおふたりにいろいろな問いかけをするかたちで進んで

          2023.9|いちばん大学に近い〈場〉

          2023.8|いちばん勇気を出した〈場〉

          8月 沖縄県立芸術大学で開催された、リサーチ型プロジェクト〈message in a bottle〉に行ってみた。 12個の中で、いちばん勇気を出した〈場〉だった。 〈message in a bottle〉は、島/沖縄にクローズアップした多角的なリサーチをし、それに基づく展示を制作するプログラムである。 主催者は沖縄県立芸術大学の阪田清子先生で、2名の講師を招いてそれぞれのプログラムを開講するかたちだった。 2名の講師は、アーティストの儀間朝龍さんと瀬尾夏美さん。

          2023.8|いちばん勇気を出した〈場〉

          2023.7|いちばん影響を受けた〈場〉

          7月 一般社団法人NOOKの拠点 Studio04で行われた、アートプロジェクト〈とある窓〉の顔合わせに行ってみた。 12個の中で、今年の私がいちばん影響を受けた〈場〉だった。 NOOK(のおく)は、東日本大震災以降、仙台を拠点として災禍にまつわる記録を続けてきた団体である。 また、記録をもとに表現したり、ワークショップを開催したりしている。 そして2022年に東京の大島に拠点をうつし、新たなアートプロジェクト「カロクリサイクル」を始めた。 〈とある窓〉も「カロクリサイ

          2023.7|いちばん影響を受けた〈場〉

          2023. 6月|いちばんカオスな〈場〉

          6月 六本木ヒルズ森タワーで開催された、地方移住をサポートするイベント〈ツナゲナイト〉に行ってみた。 12個の中で、(私が移住希望者ではなかったために)いちばんカオスな〈場〉だった。 〈ツナゲナイト〉は、地方移住を支援する雑誌・Webメディア「複住(ふくじゅう)スタイル」が、地方のリアルな魅力の発信や人びとをつなげることを目的に始めたイベントである。 幅広いライフスタイルの選択肢を知りたい人や、ローカルな暮らしに関心がある都内在住者をターゲットに、地域への移住・多拠点生

          2023. 6月|いちばんカオスな〈場〉

          2023.5 |いちばん言葉にし難い〈場〉

          5月 埼玉県東松山市にある原爆の図丸木美術館 で開催された、ワークショップ〈丸木美術館で変化のかけら探し〉に行ってみた。 12個の中で、いちばん言葉にし難い〈場〉だった。 丸木美術館には、画家の丸木位里・俊の共同制作《原爆の図》が展示されている。 丸木夫妻は、戦後の米軍占領が続くうちから《原爆の図》の制作を始め、生涯にわたって被爆の実情を訴え続けた。 原爆以外に戦争や公害などの問題も取り上げ、丁寧に描いている。 初めて訪れた丸木美術館は、とてもとても遠くにあった。 「

          2023.5 |いちばん言葉にし難い〈場〉

          2023.4|いちばん暮らしに活きる〈場〉

          4月 都心の住宅街の一角で開催された、〈気持ちに合わせてつくる自分だけのブレンドコーヒー体験〉に行ってみた。 12個の中で、いちばん暮らしに活きる〈場〉だった。 〈気持ちに合わせてつくる自分だけのブレンドコーヒー体験〉(以下、〈珈琲体験〉)は、はじめて私が自分で見つけてきた〈場〉だった。 Peatixを使って探し、予約し、どきどきしながら向かった。 まちがえて下の階の定食屋さんのドアを開けてしまい、きょとんとした顔をされた。 〈気持ちに合わせてつくる自分だけのブレンド

          2023.4|いちばん暮らしに活きる〈場〉

          2023.3|いちばん出会いの多い〈場〉

          3月 目黒区にあるクラフトビレッジ西小山で開催された、トークセッション〈しゅたいって?〉に行ってみた。 12個の中で、いちばん出会いの多い〈場〉だった。 トークセッションでは、属性がばらばらな大学生5人が「主体」や「主体性」をめぐって言葉を交わす。リアルタイムでグラフィックレコーディングが出来上がっていく様子を見られるのも、新鮮で面白かった。 始まる前やあとには、人を紹介してもらったり、お友だちになったり、カレーを食べたり。 初めて体験するような独特の空気感や、そこに

          2023.3|いちばん出会いの多い〈場〉

          2023.2|いちばんゆったりした〈場〉

          2月 鳥取県南部町に行ってみた。 12個の中で、いちばんゆったりした〈場〉だった。 鳥取県南部町は、自然がいっぱいで、人があたたかくて、おいしいものがたくさんある感じの小さな町である。小さいけれど、濃ゆい町である。 南部町の魅力を紹介することにおいて、私はまだまだ未熟だ。 ということで、詳しくはわたしを南部町へ連れて行った人のnoteを読んでいただきたい。 私としては、あくまで初めて南部町を訪れて感じたことを中心に書くことにする。 11時間の夜行バス初めての南部町訪

          2023.2|いちばんゆったりした〈場〉

          2023.1|いちばん異文化な〈場〉

          1月 〈TEDxICU〉に行ってみた。 12個の中で、いちばん異文化に殴られた〈場〉だった。 TEDを知っているだろうか。勉強している高校生が、英語の先生に勧められがちなあれである。 TEDでは、様々な分野の人が自分の体験や思想を18分間のプレゼンテーションで発信する。〈TEDx〉はTEDからの公認を受けた団体によって行われるプログラムで、世界各地で独自に開催されているTEDという感じだ。 2023年1月に開催された〈TEDxICU〉は国際基督教大学(ICU)が会場で、

          2023.1|いちばん異文化な〈場〉

          代官山蔦屋からはじめる試論

          どきどきしてしまって、思わず目を背ける だめだ、これ以上見ていられない と思って目をそらした先に またどきどきしてしまって 思わずその場を離れようと歩き出す ここなら大丈夫かなと思った場所で 「え、これって......」 全然知らない人だったけど これはわたしの真ん中の部分と共鳴している 人はこんなとき、涙が出そうになるんですね こんなにどきどきしていそがしいのに 今、きちんと息ができてるな、と思う わたしをめいいっぱい褒めたい日 コーヒーを飲んでもバスに乗って

          代官山蔦屋からはじめる試論

          仮面の世界

          たまに、自分がすごくつまらない人に思える 考えていることがつまらない 使うことばがつまらない 人との接し方、湧いてくるアイディア、ぜんぶ たまに、自分が大したことない人に思える できることも持っているもの、ぜんぶ ここまで考えて 自分が自分をすごい人だと思っていたことに なんだか恥ずかしくなる 誰にもばれていませんように この世界の人たちはね みんな、仮面をつけているの 「わたしはこういう人ですよ」 って一目でわかるように 仮面をつけているの 一目でわかるわけなん

          仮面の世界

          クラスでETCカードが流行っていた話

          電車に乗っていたら、ある広告が目に入ってきた。 「ETCカードがないと通れない料金所が増えてるよ!だからETCカード持っておこうね!」みたいなやつ。 ふと、小学生のころのことを思い出した。 たぶん小学2年生くらいだったんじゃないかな。クラスでETCカードが大流行したことがあった。 どゆこと????? である。 当時の私ですらそう思った。 でも、大流行していたのだ。 みんな消しゴムにでっかく「ETC」とかいていて、その消しゴムをいつも携帯している。 休み時間になると、教

          クラスでETCカードが流行っていた話