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2023.1|いちばん異文化な〈場〉

1月
〈TEDxICU〉に行ってみた。

12個の中で、いちばん異文化に殴られた〈場〉だった。

TEDを知っているだろうか。勉強している高校生が、英語の先生に勧められがちなあれである。
TEDでは、様々な分野の人が自分の体験や思想を18分間のプレゼンテーションで発信する。〈TEDx〉はTEDからの公認を受けた団体によって行われるプログラムで、世界各地で独自に開催されているTEDという感じだ。

2023年1月に開催された〈TEDxICU〉は国際基督教大学(ICU)が会場で、Bloomをテーマに6人の登壇者がスピーチをしていた。

※写真を1枚も撮っていなかったので、サムネイルは青山のファーマーズマーケットで見かけた異文化な野菜たちの写真。


英語への苦手意識

私は中学生のころから、体育の次に英語が苦手である。その私が、そもそもなぜ〈TEDxICU〉にたどり着いたかという話をしておきたい。あまり中身がある話ではないので、読み飛ばしても大丈夫です。

私は大学2年生のころから、某教育系NPO法人で活動している。サークル兼学生団体兼NPOみたいな、不思議な団体である。
そこで仲良くしてくれている後輩がICUに通っていて、ある日〈TEDxICU〉の告知をSlackに流していた。

このときの私は「そろそろさすがに英語を勉強した方がいいんじゃないか」という気持ちと、「2023年は〈知らない場〉にたくさん行ってみる年にしたい」という2つの思いを持っていた。そんな私に〈TEDxICU〉はぴったりな企画だった。

おそらく、この2つの気持ちがなければ〈TEDxICU〉は私からとてもとても遠い種類のイベントだったと思う。でもこの時の私は「遠いからこそ」行くべきだと考えていた。

こんなふうにいろいろな気まぐれが重なって、〈TEDxICU〉に行ってみることになった。
ちなみに当日は、がっつり日本語の同時通訳を聞いていた。

スピーチで印象にのこった(らしい)こと

〈TEDxICU〉から約1年がたった今、正直スピーチの内容はほとんど思い出せなくなっている。人間の記憶力ってそんなもん。しかし、〈TEDxICU〉に行った日の日記が残っていた。大したことを書いていないが、一応紹介する。

今日はTEDxICUに行ったの。deadlineを気にするなって話と、境界線を溶かす人になりたくて起業した話と、no pain, no gainの話が特に好きだった。(自分が触れている)世界の狭さを感じて、今年は月に1回知らない(:普段属さない)世界に触れることをしようと思った。進路のことで頭が占領されがちだからね。

2023年1月21日(土)(晴・北風)の日記

まったく記憶のトリガーになってくれない文章である。参考にならない。
とりあえず、この日に〈知らない場〉に行ってみる決意を新たにしたことは分かった。充実した日だったのだろう。

あとになって思うが、「deadlineを気にするな」という言葉は、今年の私にとても合っていたように思う。進路決定や卒業論文などdeadlineに追われるはずの1年だったが、私はずいぶんとのんびりしていた。いつもなら、他の人に負けじとせかせかするのに。

この1年を通して、なんとなく自分の思考がよく動く方法が分かってきたのである。その方法こそが「deadlineを気にするな」。
私の場合、「必ずいつまでにやらなきゃ!」という義務感が発生した瞬間に思考が委縮する。とりあえず「そのうち良いアイディアが思いつくだろう」の精神で、1か月、2か月、半年と放置してみる。そうすると、ほとんど忘れたころに、ぱっと思考がつながったりする。そんな成功体験をたくさん積めた1年だった。

〈TEDxICU〉で聞いた「deadlineを気にするな」が同じような話だったかは分からないが、どこかで影響を受けていたのかもしれない。

サンバが衝撃的だった

1年経った今でも鮮明に思い出せるのは、スピーチとスピーチの間の時間に見たサンバである。衝撃的な異文化体験だった。

私が通う大学でもラテンアメリカ音楽を演奏するサークルがあった気がするが、私の暮らしからはとても遠いもののように感じていた。

だから、サンバを見るのはおろか、サンバの衣装を見るのもラテンアメリカの音楽を生で聞くのも、初めての体験だった。
今まで体験したことがない種類のエネルギーに圧倒された。その舞台をなんと形容していいか分からないのだけど、強いていうなら「癖になる」だろうか。目が離せなくて、意識のすべてが持っていかれる感じ。

近くにいたICU生は、サンバの舞台に立っている人の中にちゃんと推しがいたりして、「ファンサもらった!!」と盛り上がっていた。それもそれで異文化体験だった。

「異文化理解は大切」「多文化共生な社会を作りましょう」とよく言うけれど、私が文化の違いをここまで肌で感じられる機会はあまりなかった。なんと、隣の市でそれがかなってしまった。

あまりにも自分と異なる文化に出会ったとき、「受け入れる」「理解する」とかの前に「殴られる」があるんだと知った。地球上に存在する文化ってこんなにもカラフルで、彩度も明度も、私が馴染んでいるものとは全然違う。

これ以上サンバについて語れる語彙を持ち合わせていないが、機会があったらまたぜひ見てみたいと思う。


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