見出し画像

【短歌十首】新型コロナ感染記その2

ウイルスと戦う身体からだの反応と戦う我の敵は何ぞや

この先は一生ずっとこの熱で生きなきゃなのか発熱五日目

鼻水と熱だけ詰めたかのような脳で読みおり最果タヒを

洟かんで咳の合間に食べて寝てまた咳をして洟かむ師走

目覚ましのごとく県からLINE鳴り聞かれる熱と酸素飽和度

七日ではぴたっと止まぬ諸症状、ぴたっと止まる療養サポート

非日常であったはずの倦怠が日常となり発症十日

二日で0.1度ずつしか下がらぬ微熱よ焦らしプレイか

倦怠という名の餓鬼に居座られ気力体力貪り食われ

病ひとつ乗り越えるとは、まだ生きてゆかねばならぬという宣告
 


 
※第三首
このとき読んでいたのは最果タヒの詩集『死んでしまう系のぼくらに』(リトルモア、2014年)でした。
そこに収録されている詩「わたしのこと」に
「ウイルスだけ気にして生きてほしい。きみを幸福にするのはけっきょく、私ではなくて幸運と健康だ。」
という一節があり、ウイルスだけ気にして……ってなんてタイムリーなんだろう! と苦笑したのでした。

短歌集『新型コロナ感染記その1』はこちら↓


この記事が参加している募集

#今日の短歌

39,976件

作品を気に入って下さったかたは、よろしければサポートをお願いします。創作の励みになります。