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HermanMillerのオフィスチェアを体験し、違いがわかった。(アーロンチェアリマスタード編)

前回の記事より、HermanMillerのパーソナルフィッティングサービスに応募し、接客を受けてきたわけですが 

私自身でも調べた内容、受けた接客を基に説明してみようかと思います。

まず、アーロンチェア自体は、Google検索でも「良いワークチェア」と検索して1発目に出てくるぐらいの知名度、歴史を持つ代表的な椅子でもある。

そしてその価格の高さについても、高ランクであることがわかる椅子だ。

では、このアーロンチェアはいつぐらいからある椅子なのであろう。

調べてみると、年代は1994年から登場、当時のクッション張りの椅子や革張りの椅子ばっかりのラインナップからはかけ離れたデザインとなっている。

当時はおそらく、だいぶ違う素材感から敬遠されていた椅子であるだろう。
しかしながら、その座り心地の良さやマーケティングにより世界でも1000万台以上の販売総数を誇る人気チェアである。

まず特徴を調べてみよう

特徴 1.メッシュ素材

よく見るとこの特徴的なディテール、曲線が非常に美しい

正確にはペリクルというワイヤーと合成ゴムの掛け合わせらしい。
このペリクルという素材、通常のメッシュ素材と違い、非常に強く、しなやかで長期間座っていても伸びない素材で、当然通気性も抜群な為、蒸れない設計となっている。
さらに言うと、エリアによる柔軟性の変化を持たせ、奥に座れば座るほど柔らかく、腰側は強めに設定されている為に体全体に強いサポートを付与する事ができる。

通気性に優れたペリクル素材をシートとバックに採用。異なるテンションの8つのゾーンが反応して体圧を緩和し、筋肉の疲労を軽減するように設計されています。(とのこと)

通常、メッシュというのは弱く、たいていの人が座り続けると穴が開いたり、すぐダメになってしまう。これを解決する為に強度を上げ、中心を膨らます事で体に合わせるのだが、これは逆効果、座骨(お尻)へのダメージは着々と入っているので痛くなる。これはいろんなメーカーのメッシュチェアに言えることなのではないだろうか。

それを解決したのが、アーロンチェアリマスタードの8Zoneペリクルという素材との事。

特徴 2.サイズの概念がある

左からA→B→Cという大きさが揃っている

アーロンチェアには発売当初より、サイズの概念が存在し座る人の体格に合わせ購入が可能だ。働く人の人種、性別、体格は細かく分かれていて、そのどの人へも対応可能であるからである。
私はよくSNSなどで、「アーロンチェア座ってみたけど大きかった、日本人向けではないから」という投稿をたまに見かける。そんな投稿を見かける度に「もったいないな~」とため息が出てしまう。むしろサイズ概念がない椅子こそ、日本人をはじめ、アジアマーケットでは生き残れないというのに。

では、そのサイズを比較してみよう

https://www.hermanmiller.com/ja_jp/products/seating/office-chairs/aeron-chairs/specs/
ホームページから取ったのだがなんか寸法おかしい?


Aサイズ (スモール、小柄な人、女性などにおすすめ)

高さ:87cm~99.8cm
幅:68.6cm~69.9cm
奥行:68.6cm~69.9cm
座面の高さ:38cm~48cm
座面の奥行:40.6cm
アームの高さ:19.1cm~29.2cm(膝から)

142cm~175cmの体格の人向けのサイズ感であるが、174cmほどの私が座った感想としては「狭い」。腰回りのきつさと背面の高さに物足りなさを感じた。エルゴノミックアドバイザー曰く、「物書きをされる方が好まれれる傾向がある」との事。確かに何かを書く姿勢では背面への密着はなく、むしろ前傾機能などを駆使した集中的なポジショニングになる人向けな印象だった。
特に骨格的に女性であれば肩幅や体格で170cm台の人でもしっかり骨盤回りのサポートをキープしやすい作りになっているなと感じました。

Bサイズ (ミディアム、おおよその体格、男性におすすめ)

高さ:101.6cm~115.3cm
幅:71.9cm~77.2cm
奥行:69.9cm~71.9cm
座面の高さ:40.5cm~52.0cm
座面の奥行:43.2cm
アームの高さ:19.1cm~29.2cm(膝から)

このサイズはおおよその方に適応できるサイズとして一番人気のサイズ。これは使用者が男性が多いというのもあるだろうが、私はこのサイズが一番フィットした。
特に肩幅と座面奥行は、私の体格にしっかりとマッチしどこにも圧迫感のないサイズ感で良かった印象がある。おそらく在庫数も多いサイズはこのサイズで、お店の注文からであれば1週間ほどで配送可能であるとの事。

Cサイズ (ラージ、180cm以上、大柄の方におすすめ)

高さ:93.3cm~104.5cm
幅:71.9cm~80.3cm
奥行:69.9cm~71.9cm
座面の高さ:42.5cm~58.0cm
座面の奥行:43.2cm
アームの高さ:19.1cm~29.2cm(膝から)

サイズ表には177cmからと表記はあるが、これは日本人へ向けてのサイズではない。大きさがAサイズと比べて非常に広く、私でも膝裏への圧迫、横幅の広さ故にバランスを崩してしまう姿勢になっている。
アドバイザーからは「180cm以上かつ、体格がラガーマン並みでないとしっくりこないと思う」との事。
予想ではあるが、サイズの事など気にしない経営者より、「大は小を兼ねる」という考えからオフィスはCサイズで揃えてしまった事が多々あるのではないかと思う。

以下、サイズチャート表
*この表は目安であり、個人の体格、筋力、感覚によって差が生じる場合があります。*Aサイズは体重135kɡまで、BサイズとCサイズは体重159kɡまでの方に対応しています。

この表に囚われることなく、実際に座りに行ってもらったほうがよいとは思う


特徴 3.リクライニング機能の豊富さ(チルト機構)

ハーモニック2チルトと呼ばれる機構が装備されていて、この機構により人間のあらゆる動きに対応。これは後ろに倒れるリクライニング機能、前に前傾する前傾チルトを兼ね備えた非常に高機能なシステム。

左右のレバーとその中心にあるBOXがその機構を担っている

よくロッキング機能とされるチェアがあるが、それはあくまで位置の固定であり、背骨へのサポートは薄い。これを重心の動きに合わせて常にサポートできるのが強み。

仕事中にタイピングしているときは少しの傾きにて体を支え、集中作業などに生じる前に集中する前傾の姿勢に自然に移行できるため、アーロンチェアに座っている限りは腰を中心とした重心移動をかなりスムーズにしてくれる機能。

さらに、これに加えて50段階以上のテンション調整を有している。
これはリクライニング時における反発で、常に腰椎をサポートしながら様々な動きに対応しながらまるで浮遊しているかのような軽い負担で座ることができる。

背中は常に放熱する体の部位でもある為、この部分もメッシュで涼しいのはありがたい。

アドバイザーによると、体は常に微細ながら動きが生じていて、その動きを阻害することで体へのストレス、疲れに直結しているらしい。

視界による体の動き

作業による重心の異動

呼吸による体のふくらみ

これらにおける体の動きには、自然に支えが入る機構の相性が凄まじく良い。これは是非体感してほしいとしか言えないが、お店に入ってただ腰かけて座った気になっているよりは、正式な知識を持つ人間にしっかり聞こう。


特徴 4.ポスチャーフィットSL

この機能は他のメーカーにない、いわばHermanMillerの特許技術である。

強弱も設定できるダイヤル付き

仙骨部をサポートすることで、背骨の自然なS字形状を維持し、健康的な姿勢を整えます。補助パッドが腰部をサポートします。との説明書きがある。

これはちょっとわかりづらいので解説します。

仙骨部
これは背骨の根本の位置にある根っこのような骨

これらのサポート、つまり骨の位置、向きを正しい方向へ導く機能としてアーロンチェアリマスタードに標準装備されている。

この腰のパーツはアーロンチェアの歴史の中でいろいろと変わってきていて
発売当初はランバーサポートという腰の補強パーツでしかなかった。

これは多くの懐古アーロンチェアユーザーが見てきたモデルかと思います。

そこから、アーロンチェアにはポスチャーフィットという腰椎をサポートする仕様が登場。
これは上記に記載したパフォーマンスがつき、姿勢維持に非常に役立てる機能である。

簡単に言えば、

座るだけで姿勢(背骨)の向きが正しくS字に伸びていく機能

もちろん正しく奥側に座って座面の高さを合わせた時に限る。
しかし、そんな機能をもった椅子は他に存在はしない。
座ってもその重心、姿勢は椅子全体の構造で合わせることができても、骨に対するアプローチは薄く、人間工学における姿勢制御はなされていないであろう。

これがアーロンチェアのすごい所だなと素直に感じました。

以上が特にアーロンチェアにおける特徴的な部分となります。
後は値段ですよね、やっぱ高いイメージが強い。ワークチェアの中でも高級ラインとなってくるので解説していこう。


アーロンチェアリマスタードの価格

まず、一番ベーシック(安い)アーロンチェアリマスタードはこれ

 グラファイトカラー

価格 249,700円(税込)
①フレーム(体)/ベース(脚) グラファイトカラー
②アームパッド ビニールパッド
③カーペット用キャスター
④サイズ B ※サイズで値段は変わらない

グラファイトカラーというのが黒より明るめ、鉛のような色。
特に機能面においては、どの値段でも変わらないようで、本当に色や素材で決めていく感じ。

で、どういった風に値段が変わるかというと

 カーボンカラー

価格 258,500円(税込)※ベーシック仕様より+8,800円
①フレーム(体)/ベース(脚) カーボンカラー(ベースはダークカーボン)
②アームパッド ビニールパッド
③カーペット用キャスター

グラファイトカラーより少し明るめのカーボンカラー。
写真だとわかりづらいので、実際確認してもらったほうがよいかも。ちなみにカーボン素材ではないのであくまで色の展開となる。

 ミネラルカラー

価格 269,500円(税込)※ベーシック仕様より+19,800円
①フレーム(体)/ベース(脚) ミネラルカラー(ベースはダークダークミネラル)
②アームパッド ビニールパッド
③カーペット用キャスター

白、ではないが白よりのグレー
黒基調など、ちょっとオフィス感強めの色を控えたい人向けのカラー。元々はグラファイトカラーとカーボンカラーの展開があり、その後このミネラルカラーが登場したそう。

細かいところではあるが生産国はグラファイトカラー、カーボンカラーは中国製、ミネラルカラーはアメリカ製との事。もし本社を構えるアメリカ製を揃えたいのであればミネラルカラーをお勧めする。

 
 オニキスブラックカラー

価格 286,000円(税込)※ベーシック仕様より+36,300円
①フレーム(体)/ベース(脚) ミネラルカラー(ベースはオニキスウルトラマット)※樹脂ではなく鉄の素材
②アームパッド ビニールパッド
③カーペット用キャスター

海洋プラスチックと呼ばれる廃棄ゴミから海へ流れ出るプラスチック素材をアーロンチェアへ使用したモデル。実はHermanMillerはサスティナブルな会社。

見た目が非常にマットなブラックな仕様で、海洋プラスチックを使用したからと言って座り心地が変わるわけではない。しかしデティールとしてはかっこいいモデルで、グラファイトカラーのようグレーではなくマットブラックの質感は私の好みの色でもあった。

カラー展開としては以上4フレームカラーより選ぶことができるが、そこからさらに仕様選択が可能となってくる。

例えばベースと呼ばれる脚のパーツに関して7パターンほどある。
1つは「プラスチック素材」

グラファイトカラーの標準はこれ

グラファイトカラー

カーボンカラーは2種類

ダークカーボンカラー
サテンカーボンカラー(アルミ素材へのカーボン塗装)

ミネラルカラーも2種類

ダークミネラルカラー
サテンアルミニウムカラー(アルミ素材へのシルバーカラーの粉末塗装)

オニキスカラーは1種類
※ゲーミングモデルは同カラーかつプラスチック素材

オニキスウルトラマット(アルミ素材へのブラックカラーの粉末塗装)

最後にポリッシュドアルミニウムベースで、全てのフレームカラーに対応

ここまでつらつらと上げてはいるが、細かいディテールの違いや質感の違いは実際に見てもらったほうがよいかもしれない。

その他、アームパッドはビニール素材とレザー素材。
キャスターはカーペット用と堅床カーペット兼用の2種類存在する。


座ってみての感想 

まず第1印象が印象に良い。これは見た目においても、初めに座った感触としてもそんな感想を持ちました。

「メッシュと一概に言っても様々だが、アーロンチェアリマスタードの別物である」というのはアドバイザーの方も話していました。いわゆる8Zペリクルの働きかけにより、自身の耐圧が集中する座骨に対しての耐圧分散。それをチェアの一番奥に座る事で快適さと目の前にあるモニターへの視線を自然と正しい方向へ導いてくれる。さすがアーロンチェア、それはまだ「触り」の部分であり、今度はリクライニングチルト(反発)を50段階より調整した上で力を入れなくても背骨が立つ自然な状態ができる。
これは文面では非常に表現しづらい感覚で、浮遊感という心地よさ、体に力入れなくてもサポートが入る状態。

「手の先と視線移動のみで、作業を想定してみてください。予想以上に捗りませんか?これがエルゴノミックチェアの醍醐味です」

アドバイザーのHさんが話してくれたように、椅子と仕事のパフォーマンスは非常に密接な関係があるのだとまさに体感することができた。


一先ず、アーロンチェアリマスタードについては以上にします。
実はこれはHerman Miller Store のパーソナルフィッティングサービスにおける【入口】でしかなく、その他の製品と体について関係がありますので紹介していこうかなと思います。

それではまた

その他の記事は下記↓にて




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