bean to bar Chocolate
以前、コーヒーとチョコレートの共通点として、生産プロセスを取り上げた。
コーヒーとチョコレートは、実は発酵食品の一つであり、発酵の後に乾燥させた豆を焙煎させる後、それぞれの生産プロセスを辿ることになる。
さて、焙煎後チョコレートはどのようにしてカカオ豆から皆さんのよく知る板の形になるのだろうか?
1. 焙煎
前回も触れたが、焙煎方法は大きく二つに分類される。
一つ目は、ホールビーンローストである。
文字通り、カカオ豆をそのまま焙煎する手法であり、シェル(外皮)に包まれた状態で焙煎し、その後にカカオニブ(胚乳)を取り出す。
カカオニブとは、大雑把に言えば、枝豆でいう豆の部分である。
二つ目は、ニブローストである。
粗砕き後に焙煎する手法であり、シェルを取り除きカカオニブを焙煎する。
2. 摩砕
焼き上がったカカオニブを細かくすり潰し、ペースト状にする。
このペーストは、カカオマスと呼ばれている。
ちなみに、カカオニブの50%強はココアバターと呼ばれる油脂分でできている。
そして、カカオマスはこのココアバターの特性によって、体温程度の融点以上の温度になると流動性をもつ性質(=カカオ100%のチョコレート)がある。
3. 混合
カカオマスに砂糖やココアバターと混ぜ合わせる。
先述のとおり、ココアバターは油脂であるため、砂糖が溶けることはなく、分散した状態となる。
実際に自分の目で見たことはないが、泥のような状態になるらしい。
このような副原料を混合したチョコレート生地をチョコレートドウと呼ぶ。
4. 微粒化
チョコレートドウを人間の舌が粒と感じられなくなるまで細かくしていく。
細かくすることによって、舌に絡みつくような口当たりになる。
近年流行しているかき氷をイメージしていただくとわかりやすいかもしれない。
氷の粒が小さいかき氷は、どこか上品な口当たりをするではないだろうか。
チョコレートドウを細かくしたものをチョコレートフレークと呼ぶ。
5. 精錬
チョコレートフレークをコンチングという機械を用いて、熱や力をかけながら長時間練り上げる。
この作業によって、雑味を飛ばし、風味を向上させる。
つまり、このプロセスによってチョコレートの味を整えている。
実際に、green bean to bar CHOCOLATEのワークショップにて精錬を自分の目で見たことある。
種類にもよるが、この作業を1日ぐらい行うとお話されていた。
6. 調温
精錬後のチョコレートを理想の結晶構造に冷やし固める。
調温は英語でテンパリングと呼ばれるが、もしかしたらこの言葉の方が馴染みがあるかもしれない。
8年前ぐらいのドラマ『失恋ショコラティエ』で、嵐の松潤がよくやってた(気がする)あれである。
ココアバターには6種類の結晶型があり、それぞれ融点が異なる。
そのため、昇温、冷却を巧みにコントロールし安定した結晶構造を目指す。
夏に溶けたチョコレートを冷蔵庫で冷やし固めた経験はあるのではないだろうか。
あのチョコレートがぼそぼそしたり、表面が白く濁ったり(ブルーム現象)しているのは、不安的な結晶構造で固められているからである。
実際に、green bean to bar CHOCOLATEのワークショップにて温度変化を機械でコントロールしながら自動的に行っているのを拝見した。
ちなみに、松潤はおそらくタブラージュ法と呼ばれる冷えた大理石などの上にチョコレートを流して広げながら冷却していた(気がする)。
調温したチョコレートを1週間以上熟成させることで結晶化が完了し、わたしたちが普段口にするチョコレートとなる。
もしチョコレートを食べる機会がありましたら、上記プロセスをイメージしながら召し上がってみてはいかがだろうか。
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参考書籍:チョコレートの手引き / 蕪木祐介
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