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ファッションは植物由来へ

悲しいことに、ファッションは環境を破壊している。

脱石油由来

服、靴、アクセサリー等、わたしたちが身に纏っているものは何から作られているか考えたことはありますか?
例えば服の場合、原材料は大きく天然繊維と化学繊維に分類される。天然繊維とは文字通り天然由来の繊維でコットン、リネン、シルク等が挙げられる。化学繊維とは用途に応じて化学的に機能、色、風合いを変化させたもので、ポリエステル、ナイロン等が挙げられる。

世界中で流通する衣服の70%程度はポリエステルを中心とした化学繊維であるとされている。これらの材料は石油由来であるため、製造時に大量のCO2や水を消費する。また、これらの素材で作られたものが廃棄された場合、生分解性(微生物のはたらきによって、水や二酸化炭素に分解される能力)がほとんどないため、ゴミとなる。その結果、環境汚染につながる。

キノコレザー?

このような観点から、脱石油由来、すなわち自然に還る植物由来素材へのシフトが着実に進んでいる。その最先端を走るのがBolt Threadsである。

もしかしたらステラ・マッカートニー経由で知っている人の方が多いかもしれない。なぜなら、Bolt Threadsとステラ・マッカートニーは協業しているからだ。

そのBolt Threadsの素材が今年の4月にアディダスのスタンスミスに搭載されたことで話題となった。

特徴は何といっても、キノコの菌から作られていることである。レザーのような風合いであることから、通称キノコレザーと認知されている。
ここで、仕組みを簡単に説明する。

①キノコから菌を採取
②その菌を他の栄養素と混ぜて寝かせる
③菌糸体が発生
④菌糸体をかき集めて、つないで成形

菌糸体はキノコの根の部分にあたり、しなやかで柔らかいにもかかわらず、非常に頑丈という特徴がある。また、上記一連の工程期間はわずか3週間程度である。

Bolt Threadsは他にもマイクロシルク(人工クモの糸)を開発している。

循環型社会に向けて

最後に、法的観点から今後のファッションの在り方について見てみる。
すでにフランスでは昨年2020年に売れ残り商品の廃棄を禁止する法律を発令した。

資源は有限である。特にファッション業界は売れ残った商品は焼却されるケースは少なくない。焼却の際に当然CO2は排出される。
今すぐすべての素材が植物由来にシフトされるわけではない。しかし、石油由来の服をやみくもに廃棄するのも限界がある。さまざまな観点があるが、廃棄ではなく回収して再生資源として利用する、魅力あるものへアップサイクルする、そもそも余剰廃棄が生まれないよう生産量をコントロールする等、打ち手はあるだろう。

フランスの事例のような法的整備はなかなかコントロールできないにしても、社会、個人レベルでもできることは必ずある。たとえ小さなことでも、ファッションを通じて解決に近づくことを願っている。


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