見出し画像

妻さんの隅々まで行き届いた美意識が素敵な一冊「妻のパンチライン/@wifeisking」

Twitterで作者のアカウントをもともとフォローしていてファンだったので、書籍が発売されるのに合わせて買いました。

パンチラインとは決め台詞や聴きどころといったニュアンスの言葉でHIPHOPでよく使われる表現。作者の夫婦生活の中で妻が織りなす耳が痛く心が折れるようなフィードバックを編集したのがこの一冊です。

何がいいかって妻さんの言葉には本人の美意識みたいなものが節々に感じられるところです。キツめの言葉で作者さんに放たれたとしても内容は至極まっとうというか「そうありたい」と思えることが多くありました。

読んでみてよかったところを3つほどご紹介していきます。

ダサいやつは薄情

作者さんが素敵な店に行くということで丁度いいパンツを探していたときのこと。「ユニクロでいいか」との言葉を漏らした作者さんへの妻さんの言葉が「ダサいやつは薄情」でした。

もちろん、ユニクロがダサいってことではなくて、妥協する思考がダサいというニュアンス。素敵な店に行くことが決まっているのに、相手や店の気遣いを無視するようなチョイスの仕方がいけないわけです。

この話はTPOをわきまえることはマナーではなくルールと締めくくられています。自己満足な視点で物事を進めると、ゆるく、なあなあになりがち。そこに他人の視点や、社会的に許されるかどうかという視点を持ち込むことで自分だけで考えるよりも相手や場にフィットした形にできる。

薄情や自分勝手にならないようにってのは、僕もできないことが多いので気をつけてることですけどね。
最近は相手や場を思いやった上で、自分なりのエッセンスを混ぜ込んでより良くできないか…といろいろな場面で試行錯誤をしています。

自己愛あっての他己愛

これは
結婚は早いほうがいいですか?
と尋ねる後輩に対して妻さんが返した一言。

「結婚は良いもんやけど、キャリアも時間もお金もまずは自分を優先してほしい。自己愛のレパートリーとして他己愛も育つもんやから。自己愛不足はリバウンドするのよ。育った環境なり仕事猛進なりで満たされてないと、結婚相手の自己愛を奪いかねないの」

妻のパンチライン

これはグサーッっと僕の心にも刺さりました!
妻さんのような考えはなかったのですが、ここ数年は自分自身にリソースを注いでいろんなことをしてきました。うまくいったこともあれば、失敗したこともあるけれど。
数年前の自分と比べて今の自分はいくつかの側面で満ち足りている、としみじみ思います。

そうやって満ちた部分ができると、同時に気持ちに余裕が出てきて「自分は大丈夫だから人を」という気持ちも持てるようになってきました。妻さんの自己愛から他己愛がまさしく…といった感じです。

ふわふわした表現になりますが、気持ちの満ち足りた部分から溢れたものが他人に向かうのかなと思います。反対に、気持ちが乾いて足りていないと他人から無理やり吸い上げてしまうこともあるのかな、と。

満たされる自分を作ることって大変だと思いますけどね。
どこかの側面で「まぁ自分なら大丈夫」って謎の自信を持つことかなと思ったりします。仕事であればハードに働いてそれなりの労苦を味わって、それでもなんとかなったって思える地点な訳なので。
満ちることの難しさをつくづく感じます。

おわりに

妻さんの描き出す世界の内、記事に載せたのはほんのちょびっとだけです。
1個めに紹介したようなスタンスでバッサリ作者さんを切っていくのもあれば、優しく親身になる場面もあって。

人間関係の話が多いので言語化が難しいと思うんですよ。特に夫婦だったり育児の話が多いので。
でも、妻さんはクリティカルヒットするような言葉を繰り出してくるので、この人の知性や美意識、それらを培ってきた人生、人柄…言葉の裏側にあるものにすごくそそられる一冊でした。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?