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音楽のタコツボ化が起きている?〜ロングテールとAIの罠

私は非常に音楽が好きで、毎日毎日懲りずに聴いていますし、新作を発掘をしたり、90年代〜00年代のJ-POPで懐かしがったりと様々な楽しみ方をしています

皆さんも、折に触れ、音楽に触れることがあるかと思いますし、それぞれ好きなジャンルを仕事中や仕事終わりに聴いているのではないでしょうか。

まぁ、ホント、時代は変わりましたね。レコード→CD(→MD)→ダウンロード→定額制とこの30年ほどで、次々と音楽に触れ方って、変わってきています。

一番に大きく変えたのは、言わずもがな、インターネットですね。
検索をすれば、すぐにダウンロードが出来、定額制サービスに入れば、さらに手軽に聴くことが出来ることは画期的です。学生時代は、TSUTAYAでCDを借りて、MD録音の時代に育ちましたが、随分変わったものです。

これら環境の変化で起こったことはなんだろうと考えた時、キーワードは「AI」「ロングテール」で読み取れるのではないでしょうか。

ロングテールは、今まで少量しか売れない(ショップの棚に並ばない)ため、市場に出ていないものが、ほぼ無限大のネット空間の市場で細々と存在することができるってことですね。

AI活用では、特定の人が聴くジャンルを分析して、自動的に「オススメ」として出てくるということです。

実は、無形資産であり、物理的なものでなくなった(CDというものではなくなった)音楽は、最もこの原理が働きやすい性質があると思うのです。

これらの環境の変化は、恩恵をもたらしています。
今まで、アクセス出来ない、リリース出来ないということから、解放されましたし、「オススメ」で好きなジャンルの曲をじゃんじゃん発掘することができるようになりました。実際、自分も恩恵に預かっています。

しかし、副作用もあるように思います。(悪い意味とも言えません)

タコツボ化です。
このような環境下では、様々な楽曲に無限アクセス出来ますので、人の趣向・ジャンルが細分化されていきます。「実は聴かされていた」時代から、能動的に「聴く」時代へ。つまりは、選ぶということが原理的に無限にできるので、偏りが生まれ、個々人の体験として聴く音楽の多様性が失われていくと考えられます。

違うジャンルでも、「おっ、この曲いいな!」と思う発見がなくなって、久しい。(個人的にラジオという媒体は非常に逆に面白くなりそうです)

インターネット環境の進歩は、多様性をもたらすもので、特にロングテールというのはまさに多様性の可能性を秘めている最たるものである一方、結果、タコツボ化が起きているのではないかという皮肉な結果になっているようにどうしても思います。

音楽というコンテンツの特質上、この傾向が顕著となりやすいですが、その他の分野においても、トレンドとして起こり得ることではないかと示唆していると考えています。(実際に、テレビなど動画環境でも同じことが起こっているのではないでしょうか。)

このようなタコツボ化が至る所に発生する可能性があるということを頭に入れておく必要があると個人的に肝に命じている次第です。

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