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バス全面ストップに見るカナダの問題

バンクーバーを走るバスがストにより2024年1月22日午前1時から止まることになった

ある一部の組合がストを全面に広げることなので、異なる組合が運営している一部の路線や電車は通常通りの運行らしい
とは言え、多くの人が通常使う公共交通機関を失う訳だから通勤/通学に影響が出るのは必死な訳である

今回私が書きたいことはストが是か非かという話ではなく、ストの裏に透けるカナダの問題についてだ

今回のストも今に始まった訳ではない
交渉は昨年から行われており、年明けの1月上旬には部分ストが開始
1月中旬バンクーバーが大雪に見舞われたとき、部分スト中ということもあり正直もっと運行を減らすと思ってたが、思った以上に走っている様子だったので、「やるじゃーん」とさえ思っていた

そんな状況での全面ストへの切り替え
組合からすれば「そろそろ要求を飲んでくださいよ」というアピールに他ならないと想像できる
そうなると、じゃあ争点は何かが気になるところ

調べてみると3年間で20-25%の賃金アップを要求しているようだ

会社側の譲歩より5-10%上振れしているということで交渉が 長引いているということだろう

ストは労働者の権利であるし、何より家賃の高騰、利上げ、物価の高騰が続く今、生活を維持する為に賃金アップを要求するのは正当な要求に見える
特にバンクーバーの不動産は異常なほど高い
5%の利上げでも、元値が高いのだから住宅ローンの支払い額の上がり方も大きいと簡単に想像できる

が、しかし、別の方向から物事を見てみると
今回この賃上げに満額で応じれば事実上運営会社はコストが上がる
バス会社の売り上げはもちろん利用者からの運賃な訳だから、簡単に想像できるのは組合側に有利な内容で落ち着けば「またバス代が上がる」という可能性が出てくるのである

バス会社の社員の家賃/住宅ローン/物価だけが上がった訳ではなく、カナダ全体でこの現象が起こっている訳だから、他の住民は住宅費用や食費に悩まされつつ、通勤/通学費まで上がるリスクが出て来たと言ってもいいかもしれない

だからと言って、ストをするな、もっと現実的な要求にしろとも言えない今のカナダの住宅事情と物価事情
もう国全体で負の連鎖になっていると言ってもいいレベルだろう

そんな中、住宅問題の矢面に立たされているのが、留学生や外国から来た労働者である


留学生や外国人労働者はもはや政治的な失敗のスケープゴートにされていると言っても過言ではない状況ではあるが、政府がスケープゴートを作らないと取り繕えないレベルでカナダの不動産、家賃、物価は鰻登りの状況であり、有権者であるカナダ国民はその状況に困り果てている

生活が苦しいからストしてでも賃金を上げたい気持ちも分かる
しかし、公共交通機関の賃金が上がると公共交通機関社員以外の人達の生活コストは更に上がる
その上、全員が同じようにストして賃金を上げられるとも限らない

本当に困ったものだ
スケープゴートで世論を目眩ししようとしている現行のカナダ政府がどこまでこの本質的な部分の解決ができるか全く予想できない
とにかくできる限りの節約をしつつ、状況を見守るとしよう、、、


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