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【錆びて動かなかったこころの秒針… ② 】

前回からの続き…。


やっと待ちに待った日
朝からソワソワしながら身支度をした。

こんなにもワクワクすることなんて
小さい頃に
初めてピアノの音色を聞いた以来だった。

あまり裕福でない環境で育ったわたしにとって
ピアノの音色を聞くことも
大きなピアノを間近で見ることも
その時が初めてだった。

その時以来のワクワク感が
この瞬間
また新しいワクワク感としてフラッシュバックした。

私にとってはほんとうに久しぶりな感覚だった。


とっても綺麗で
素敵な雰囲気を身にまとった
小さな女の子のお母さんは

いつもの優しい笑顔で
私を家へと招きいれてくれた。

1歩玄関に足を踏み入れると 
そこはわたしの家とは比べようもないぐらい
とっても素敵なお宅だった。

そして
ビーズ刺繍の道具である
フェルト、針、糸、ビーズを
わたしに一つずつ見せてくれた。

ビーズ刺繍は
どうやらフェルトに針でビーズを縫い付けていくらしい。

できるかな…
わたしの頭に一瞬不安がよぎったが
すぐさまその不安は打ち消された。

きっとできる
大丈夫。  
わたしはこころの中でそうつぶやいた。


いつもは
何をするにも自信のない私だが
このときの強気はなんなんだろう。

どちやら
ワクワク感があまりにも強すぎると
根拠のない自信が
ここで出動するらしい。

なんて不思議な子だろうか
ほんとうだ
自分自身でもそう思う。


そして
いまわたしの目の前で
彼女は縫い方の説明をしてくれている。

わたしは、そんな彼女から出ている
その優しい空気感が昔から好きだ。

そして、どうも常にピリピリした人は
昔から苦手だ。

わたしは、小さい頃から色々な感覚がとても敏感だった。

そして、なんというか
その人の空気感というか
匂いだろうか
動物の勘のようなものが
昔から瞬時に動いた。


わたしは、自分に敵意なし
そう判断すると
出逢った全ての人と仲良くしたいと思うのだか

彼女は、そんな判断をしなくても
最初からとっても優しい雰囲気を身にまとっていた。

わたしは、そんな彼女のことが
ほんとうに大好きだ。


そんな優しい彼女から
道具の紹介と縫い方を一通り説明された。
そして、こう言われた。

「あとは、好きなように縫ってね」

えっっ?!
いやいや、好きなように縫うって
どんな感じに?…。


一瞬
わたしはこころの中でそうつぶやいた。


つづく…。




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