最期を迎えたおばあちゃんへ贈る本の話
写真を探し見返すと【その人らしさ】がそこにある。
表情、仕草、今にも写真から出て来そうなものばかり。
ここに来た時の写真。初めての祝い年。お嫁さんと一緒に食べるごはん。
前にいる、じいちゃんの肩をいきなり揉む。その表情がとってもいい顔してる!(なんだろう、すごい笑顔でまわりがびっくりするくらい!笑)
筍の皮むきやだまこ鍋も「目、見えねしてぇ〜」と話すもいざ、筍を持つと
いつもサラサラと皮を剥き「次、どこだ?」と声を出す。だまこを作るときも小さい体をいっぱいに使って作ってくれたね。
誰にでも優しく声をかけ、時にはそれがきっかけで怒ったりもしたし、されたりもするけど、常に人のことを気にかけてくれる優しいおばあちゃん。
・・・・・。
少しずつ、少しずつ最期を迎える時がきた。
食べる量が少なくなり、食べられる物が少なくなり、だけど
お嫁さんが来ると懸命にそっちを向こうとしてた。話すことはできずとも口を開けようとしてた。頷こうとしていた。あの姿は近くで見れて良かった。
あの時食べた、水羊羹はきっとどの水羊羹よりも美味しかっただろう…
あの瞬間に立ち会えて、とっても幸せな気持ちになれたよ。ありがとう。
1月の誕生日!当日のお祝いよりちょっと早かったけど娘さんが帰って来るタイミングを見て「誕生日を祝いたい」とお嫁さんへ話して見た。お嫁さんは喜んで「んだ。んだ。まずうちの旦那と娘さんにも聞いて見ます!私はドジでいっつもダメだけど、ここの職員さんはうちのかあさんのことをちゃんとしてくれる。気にかけてくれる。色々やってくれる。本当にありがたいです。良かったね〜母さん」とばあちゃんを見ながらお嫁さんは話してた。ジーンと来た。けど、けどね、そんなことはない。家族がいるから頑張れることだってたくさんある。何かあったらお嫁さんのことを呼んでたよ。話を聞くと「嫁はいい嫁だ」と褒めていた。(怒ってた時もあったけど、大体は褒めてた。理由は良くわからないけど…)
現に娘さんの帰りをばあちゃんは待っていた。誕生日も一緒にお祝いできた。みんなで撮った写真をみれば、どれだけばあちゃんが愛されていたか分かる。そしてどれだけ家族を大切にしていたか分かる。
・・・・・・。
最期を迎えた時の顔は、本当にいい顔だった。
ちょっと痩せたけど、いい顔だった。
・・・・・。
ここで最期を迎えた人には【本を作ること】にしている。
共に過ごした時間、出会いをまとめた想い出を家族へ贈る。たくさんのありがとうと感謝の気持ちを込めて。
写真を選び、その写真について一言添える。
みんなが思い想いの言葉を添える。
作っている時、本をばあちゃんたちに見えた。
ババ:「ん?あのばあさんか?あい〜いい顔っこしてること」と
どこか嬉しいそうに本をめくってくれた。
もう一人のばあちゃんは
ババ:「あい。おらほと同じ部屋だった人だべ!?んだ。そうだ。そうだ。見れこの時、おいも隣さいたんて〜!」とその時の話をいい顔で話してくれた。
本を作ることで、ばあちゃんがここにいた証が残る。
それを家族へ贈ることによって、ばあちゃんの証が次へと継ながる。
人は必ず最期を迎える。そこに関わることを誇りに思う。
ばあちゃん、ありがとう。最高な出会いに・・・
ありがとうございます! おいしいものを食べて、エネルギーにします!!