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=読書感想文=武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

私の父は、偉大な人です。祖父は、小さい頃に亡くなって、ほとんど記憶にありません。そして、父は、長男ではないので、私の中で初代です。気力体力ともに際立ち、昭和初期生まれにしては、175センチと身長も高く、ガタイもいい。人望があって、世界中にネットワークを持っています。素晴らしい父親です。しかし、2代目の私はダメでした。「読み書きそろばん」と言われて、習字そろばん習いましたが、全部途中で放り投げました。大きくなって、簿記簿記と言われていたので、簿記の2級を取りましたが何も覚えていません。これからはグローバル社会だと言われ、留学して、一応英語は話せるようになりましたが、遊んだだけでした。20年ほど働き、引き継いだ会社は、社長就任早々、自分勝手に、九州に移住して、ガタガタにしてしまいました。父を超えるようなことは、全くできませんでした。

しかし、3代目は違うでしょう。小さい頃から、違いを感じます。

息子には、そろばんを習わせています。というか勝手にやりたいと言ってきました。とにかく真面目で、興味を持ったことは、とことんやる。
穏やかで、集中力もあり、武道もやっています。

そろばんも将棋も囲碁もどんどん上手くなり、小学校高学年の時にはもう何も勝てないでしょう。

私にできることは、父から受け継いだバトンを渡し、オススメの本を残してあげることだけでしょう。

さて、この本は、そろばんをバトンとして渡し、算用という技能をひたすら磨き、300年以上に渡って、生き延びたお家のことが書いてあります。

電卓どころか、パソコンが進化し、果ては、クラウドソーシングで、経理を丸投げできるなど、この20年の進化と300年の進化が同等なのではないかと思うような近代ですが、頭の中のそろばん、数字の感覚は、死ぬまで活用出来るでしょう。

そして、その本質は、現状に不平不満を言うのではなく、他に頼ることなく、自らの技術を磨き、時代の変化や外的要因の変化にも負けず、生き延びる術を持つことにあります。

この本を読んで、自分のそろばんを見つけ、磨いてください。

--終わり--

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