遊月つかさ

遊月つかさのきまぐれ物書き

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最近の記事

映画『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』〜人工と自然、欲望と適応、改造と進化の混合

はじまりは、遠景。 向こうに、海岸のほとりに横転する大型船。岸に辿り着けなかった船、これが暗喩するのは、大洪水(ここでは大災害か)に呑まれるノアの方舟か、あるいは処女航海中に沈没した豪華客船か、両生類に進化できず陸に進出できない魚か、沈滞した現人類文明か。何にせよ、船は岸につけなかった。 船のかわりに岸辺にいるのは、磯遊びする一人の少年。少年は、岸・陸地で悠々と遊ぶ。船が目前にした陸で。彼らの物理的距離は近いが、在り様は隔たっている。少年と船。この隔たりは種の違いかもしれない

    • おやゆび姫を朗読して 〜表層に恋する男性たちの求婚と、姫を愛するツバメの失恋〜

      こんにちは、遊月つかさです。 今回は、アンデルセン童話のひとつである「おやゆび姫」について書いていこうと思います。 童話といって侮るなかれ。童話とは、大人の作者が己の人生の教訓を、子供たちに伝えるための一つの形式(僕の考え)。そんな酸いも甘いもたっぷり込められた物語は、大人が読んでも考えさせられる事があるものです。 あらすじところで、「おやゆび姫」を読んだことがありますか? 僕は先日、朗読配信で初めて読みました。未読の方に、マウントとれる立場にありません。安心してください

      • 悪の轍を辿る。

        僕の前に「悪」(とりあえず彼と呼ぼう)がいる。 彼の後ろには途切れのない足跡、すなわち轍(わだち)が延びている。 どこまで延びているかというと、彼が生まれた瞬間まで。 僕は「悪」の轍に沿って歩く。そして、轍とその周りの全てを可能なかぎり観たい・知りたいと欲する。 彼の歩き方は?軽やかか?慎重か?迷いないか?気だるげか? 彼がどんな道を歩んだか?砂利道か?コンクリートか?積雪の上か? 彼がどんな場所を歩んだか?都会か?暑いのか?人は多いのか? 彼はその道筋で何と出逢ったか

        • 【宇宙語りたい】知の舟は、誰もが持つタイムマシン。140億年前の宇宙へ。【Part. 1】

          宇宙いいぞおじさん(僕)「みんなに宇宙を布教したい」 このnoteでは、科学的に証明された宇宙140億年の歴史の概要を述べる。 今から昔へ、時間の向きとは逆向きに説明する。 人類が誕生する前のお話。地球が、太陽が、銀河系が、宇宙が誕生するノンフィクションのお話 (以下約800文字、茶番パート) タイムトリップしてみたい。 ドラえもんのタイムマシンとか、亜光速(光速に限りなく近い速度)航行する宇宙船に乗りたい。 ずっと未来の世界を見たいし、過去に行って僕の憧れの偉人たちを一

        映画『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』〜人工と自然、欲望と適応、改造と進化の混合

          完全AI作曲時代、作曲家の経済的負担が減ればいいね。闘争領域の縮小 - 「電気じかけのクジラは歌う」を読んで

          正直言うと、タイトルを書いたら、本文を1文字も書かずに満足してしまいました。 タイトルが言いたいことそのものです。本文は、それを他者に理解してもらう手段です。 AIが、「作曲できる」を超えて、プロを圧倒する作曲能力を持った時代に、作曲家が経済に縛られずに、ただ遊ぶように作曲活動をできたらいいなぁ。そんな願望をつらつらと書く予定です。 ことの初めは、昨日読んだ「電気じかけのクジラは歌う」(逸木裕 著)です。 当作説明のために、文庫版のあらすじを引用します。 あらすじから推

          完全AI作曲時代、作曲家の経済的負担が減ればいいね。闘争領域の縮小 - 「電気じかけのクジラは歌う」を読んで

          ネットの匿名性という消極的な自由

          「ネットは自由なんだから」 そんなニュアンスのコメントを、ぼくの2,3週間ほど前の配信で誰か(Aさん)がした。 それを不意に思い出した。頭から離れてくれないから、今言葉にして外に出してる。 その言葉は、Aさんの「自分は9歳だ」というコメントに対して、別の誰かの「TikTokって年齢制限あるんじゃない?」というリプへの返事だった。 「ネットは自由なんだから、年齢なんてどうだっていいでしょ」 TikTokに年齢制限があるかどうか僕は知らない。今も知らない。必要な時に知れば

          ネットの匿名性という消極的な自由

          10分でわかる!サロメイトのための戯曲「サロメ」入門〜恋と盲目、あるいは推しと脳破壊〜【後半】

          古今東西、世の中には二種類の人間しかいません 推す人間と推される人間です 戯曲「サロメ」も例に漏れず、推し推される人間たちの悲劇なのです ごきげんよう 初めましての人は初めまして 前半パートを読んでくれた人にはお久しぶりです 小説・映画好きのV、遊月と申します 戯曲「サロメ」の内容紹介【後半〜ラスト】前置きは省略して、前回の続きについて話していきましょう ※前回同様、以下の引用は全て岩波文庫版「サロメ」からです 前回のあらすじ 前半パートを見たい方はこちら この記

          10分でわかる!サロメイトのための戯曲「サロメ」入門〜恋と盲目、あるいは推しと脳破壊〜【後半】

          【AppleTV+おすすめ】フォー・オール・マンカインド

          初めまして、遊月と申します 今回は、AppleTV+ のおすすめオリジナルドラマ「フォー・オール・マンカインド」の紹介です まだSeason1の8話までしか観ていませんが、今までに観たことない設定の作品で毎話楽しめています(現在シーズン3まで配信されています) 「フォー・オール・マンカインド」は、1960年代の宇宙開発競争が終わらなかった世界を舞台に、奮闘する人々を描く歴史改変SFです。 史実では、アメリカのNASAが人類初の有人月面調査を成し遂げましたが、 本作では

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          10分でわかる!サロメイトのための戯曲「サロメ」入門 〜恋と盲目、あるいは推しと脳破壊〜【前半】

          古今東西、世の中には二種類の人間しかいません 推す人間と推される人間です 戯曲「サロメ」も例に漏れず、推し推される人間たちの悲劇なのです ごきげんよう サロメ嬢(壱百満天原サロメさん)のことを、切り抜きとMAD、Twitterでしか知らない、20代の一般人男性ですわ 僕の中のサロメ嬢のイメージ初配信で、住民票、経歴書、マイナンバカード、 そしてなんと胃カメラ画像を晒し、 初配信から14日で登録者数100万人を達成(VTuber史上最速)し、 大型トラックという現代

          10分でわかる!サロメイトのための戯曲「サロメ」入門 〜恋と盲目、あるいは推しと脳破壊〜【前半】