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彼らを逮捕したと警察から連絡が入った。 無力な女性を犯す卑劣な行為が許されないのはいつどんな時代でも同じ。 警察には、良いと言うまで会社関係者と接触をしないようにと言われた。 社長は悪くない。 でも、そんな環境を放置した責任が問われている。 自宅でシャワーを浴びながら、やりきれない思い。 ネットニュースでも報じられているようだ。 確か社長は上場に取り組んでいると言っていた。 そんなときに。 もし、わたしがあそこに行かなかったなら。 いや、それはま
陽が高くなり、日向はより、心地がよくなる。 真夏場のうだるような湿気の中の日差しではとてもとても、寝るどころか命に関わることになる。 しかし、そうでない時期の、どうかすれば肌寒い時期の日向ぼっこほど、生き物が太陽の下で生きていることを実感できる場所も、早々無いものだろう。 買い物に行くどころかすっかり寝入ってしまった。 あの時間だからどこの店も、朝が早すぎてやってはいない。 インターネットで注文して、ドローンに運んでもらっていれば、とっくに事足りていただ
おじいさんは人の弱さや社会の脆弱さと向き合ってきた。 わたしが敬う大きな理由はそこだ。 尊重だの人の気持ちを考えろだの、口先だけなら何とでも言えてしまう。多くは中身の無い卑しい人間の逃げ口上だろう。 おじいさんは、そんなことをわざわざ口にしない。 軽々しく言う人間を目にしたら、きっとおじいさんは怒るだろう。 なぜかって? 社会はそれらを前提に成り立っているからだ。 最低限のルールを守るからこそ、そう簡単に殺人事件も起きない。 食糧の奪い合いさえ起
やっぱり、ゆみさんに怒られてしまった。 軽くおバカと怒られるのかと思ったら、予想していたよりも本気で怒られて、青菜に塩をかけたようにしゅんとしているところだ。 女性は、人間で唯一命を産むことができるが、場合によっては自分も、そして生まれてくる子供の人生さえどうにかしてしまう。 男はそこまで考えていないと思え、そう言われた。 いつものゆみさんとは思えない。 まるで人が変わったかのようで驚いている。 そうそう知る事の出来ない一面を持ち合わせているらしい。
女性の刑事さんに問われる。 「以上の内容で間違いないですか。」 わたしは、たしかに会社の業務としてあの古い拠点へひとりで赴いた。 数か月という予定で。 しかし、まるで子供のような言いがかりからちょっとした騒ぎになり、社長には後の事は気にしなくていいと言われて、すっかり片がついたと思っていたところだった。 目の前に供述調書がまとめてあるが、記憶のとおりで間違いない。 ただ、それは全体の一部だ。 生まれて初めて警察署の取調室にいる。まるでドラマのワンシーンの
風邪を伝染されたくなければ、 風邪が蔓延している場所にわざわざ近づかなければいい。 嫌なことを言われたくなければ、 嫌なことを言われるようなことをしなければいい。 続けたくなければ、 辞める権利を行使すればいい。 空っぽな人間ほど、後がなくなると人の気持ちを考えろだの尊重しろだの抽象的な言葉に終始し、逃げるのはいつものパターンだ。 逃げる場所があるだけよかったな。 大したこと出来る器でもなく、後は死を待つだけで、 他人にはああしろこうしろと、口だけは立派
歳を無駄にとると、前に自分が何を言ったのか、質とは何かすら、よく分からなくなるらしい。 そのくせ無理に周囲と関わろうとするから厄介だ。 何がそうさせるのだろうか。 怖い怖い先達がいなくなり、まるでそれは糸の切れた凧、無駄に肥大化したプライドが服を着て宙を舞っているようである。 いつどこに落ちてくるかわからないから迷惑、目障りだ。 肝心なものもそれほど大きいわけがなく、大きくもならなかった役立たずが、まるで電球が切れる直前のように、やたら元気である。
礼節を語るのであれば、例え誰が見ていなくとも、形なきものにも礼を尽くしたいものだ。 さもなくばただの見せかけ。 そう言えるオレスゴイ、そういうただの嘘に他ならない。 一端の人間かどうか立派に品定めできるくらいにお前はエライのかとついつい笑いたくなってしまう。 わざわざ周りが口に出して指摘してあげるまでも無いだけに過ぎない。 裸の王様も立派に出来上がったものだ。 人間空っぽだと年齢や経歴、そして肩書や立場に頼りがちだから気をつけなければならないな。 さて、
意味のない権威をちらつかされても言葉に困る。 この先輩でも、一応大学レベルの教育はこなしたらしい。私の言葉の端々に毒があるのはお察しである。 そういう人間でも食うには困らない社会になって本当に良かったのではないだろうか。 なぜかって? それは簡単、実務でボロが出るからだ。 そして、そんな人に限って、やたらとプライドが高い。 するとどうなるか。 例えばインターネットが普及する前、それこそ昭和の時代にはお年寄りをはじめ、地域の人を集会所に集める。 そ
格好悪いなあ。 自分が理解できないのを棚に上げて、素面で管を巻く男。 もっともらしいことを言って、根拠を聞くと逃げる男。 ああもう、ほんとうに気持ち悪い ―― 今日は私たちの歓迎会だ。 近くの拠点の人達が集まって開いてくれた。 後から社長も来るらしい。 日本はお酒も種類も豊富で、料理も生ものから焼き物まで様々、冬にはここに鍋も並ぶから、体重がとても気になる。 井上さんはもっと食べなーなんて言ってくれるが、もともとがそんな量をこなせるわけではないの
わたしにだって嫌いな、 いや、苦手な人間の一人や二人いる。 男性社員で管理されている拠点が他にいくつかあるのだが、そこを担当している人たちの中に苦手な人物がいるのだ。 一応数か月とはいえ、先輩だしなあ。 少し規模が大きいところだと、十数名で担当する拠点もある。新人の頃は、そこで仕事を覚えた。 その先輩もまだ一人前というわけではなかったので、わたしが追い付く形で一緒に担当することになったのだった。 電子の世界にもともと興味があったわたしは、技術を手にしたく
新人さんですか。 井上さんと事務所でコーヒーを共に楽しんでいる。 コーヒーの香はどうしてこう、心を落ち着かせてくれるのだろう。 コンビニでもコーヒーマシンの淹れたてを楽しむことが出来るが、周りに人が居たりしてどうにも落ち着いて楽しめない。 どうしても飲みたくなる時はあるが。 おっと、今はそうじゃない。 「社長が、そろそろ新しい拠点を増やしたいって。」 そういう事か。 となると、もうしばらく会社にいることが出来そうだ。 他の拠点からこちらに誰かが来るわ