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【推し本③】方法序説

 「方法序説」。
 この本は、数学者で哲学者のルネ・デカルトが書いた本です。
 私がこの本を読もうとしたきっかけは、高校の時の先生がデカルトの話をしていたことを覚えていたからです。
 この記事では、この本を読んで得た知見をお伝えしたいです。
 また、私は哲学については知識があまりありませんので、適切でない、間違った捉え方をしているかもしれませんが、ご容赦ください。
 また、長い記事になってしまってすみません🙇
 最後まで読んでいただけるとうれしいです!!

0 本書の概要

 概要について、本の表紙から引用します。

 すべての人が真理を見いだすための方法を求めて、思索を重ねたデカルト(1596-1650)「われ思う、ゆえにわれあり」は、その彼がいっさいの外的権威を否定して到達した、思想の独立宣言である。近代精神の確立を告げ、今日の学問の基本的な準拠枠をなす新しい哲学の根本原理と方法が、ここに示される。

方法序説(岩波文庫)表紙り

1 第1部を読んで

 第1部を読んでみて、今私たちが身に付けておきたい力書いてあり、本当に400年も前の人がこれを書いたのか!?と驚きでした。

 例えば、

 この書は1つの話としてお見せするのであり、そこには真似してよい手本もあれば、従わない方がよい例も数多くみられるだろう

方法序説(岩波文庫)

という文章です。

 すべてを鵜呑みにせず、自分でしっかりと判断するということは、情報の多い今の世の中ではとても必要なことですね!

 他にも、

 前例と慣習だけで納得してきたことを、あまり信じすぎてはいけない

方法序説(岩波文庫)

という文章もいいですね!!
 その時代のすべての学問を学びつくしたデカルトさんだからこそのことばだと思いました。

 コロナウイルスで、色々な業界で働き方が変わってきています。出社して働くのが当たり前だった慣習も、リモートワークに切り替えられたりしているので、そういったことにもつながるな~とも思いました。

2 第2部を読んで

 書物の学問、少なくともその論拠が蓋然的なだけでなんの証明もなく、多くの異なった人々の意見が寄せ集められて、しだいにかさを増やしてきたような学問は、一人の良識ある人間が目の前にあることについて自然になしうる単純な推論ほどには、真理に接近できない。

方法序説(岩波文庫)

 根拠がはっきりとしないこと、多くの人が口をそろえて言っているけど根拠がないことって世の中たくさんありますよね。

 習慣や慣例だからしなさいと言われても正直納得できない自分っていますよね。仕事でもそんなことって多くないですか?まぁ、だったら仕事辞めれば?って言われそうですが。。数学者のデカルトさんが言うと、説得力のある言葉ですね!!


 難問を、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分ける

方法序説(岩波文庫))

 これは、この本の中で示される、「四つの規則」のうち2つ目の規則です。これは数学の問題だけでなく、仕事の問題解決や日常生活でも活用できる大切な教訓ですね。

3 第3部を読んで

 第3部のはじめに、「理性が私に判断の非決定を命じている間も、(中略)できる限り幸福に生きられるように」とあり、そのための道徳を定めたとありました。そして本を読み進めていくとわかりましたが、見かけの幸福ではなく、精神的に幸福であるための決め事のことを言っているんだろうな~と思いました。

 特に、第2の格率(決め事)で

自分の行動において、できる限り果断であり、(中略)その判断に一貫して従うこと

方法序説(岩波文庫)

は、精神的に幸福に過ごすためにも現代人にも必要なのかなと思いました。一貫して従うには、デカルトのように確実に真といえることを考え、そこから演繹して考えて確信することが大事だと思います。


 今の世の中、情報はいたるところにあります。職場でも先輩や課長からたくさんアドバイスをもらいます。正直何に従えばよいのかわからなくなることが多いです。


 でも、そのアドバイスから根拠のうすい情報は捨てるなどして、できる限り考え抜いたことならば一貫して自分の判断に従うことが大切なのかな~と読みながら思いました。

4 第4部を読んで

 この部を読んで感じた最初の感想は「難解。。。」です。正直とても難しかったです。
 デカルトが第4部の冒頭で、「語るべきかどうか、私にはわからない」「形而上学的で、一般とはかけ離れている」と言っていることからも難しいことがわかります。


 私が特に難解だと感じたのは、「神」の存在を認め、われわれのうちにあるすべては神に由来するというところから論理を組み立てているところです。デカルトにとって神とはどんな存在なのか。日本人が想像している「神」とは違いますよね?私がもっている神のイメージとかなりかけ離れているため、本に書いてある内容をうまく咀嚼できませんでした。


また、この部でついにあの有名過ぎる言葉

われ思う、ゆえにわれあり

方法序説(岩波文庫)

が書かれていました。この言葉は、大学の講義で聞き覚えがあって、この部に書かれていたため、この一文を見たとき、ちょっとした感動しました(笑)

5 第5部を読んで

 この部では、デカルトの論文「世界論」の概略や医学(心臓の働き)、そして人間と動物の違いを論理的に説明していました。この内容のうち、人間と動物(機械)の違いについてとても興味をもちました。


 先日、私はAI(人工知能)について書かれた本を読みました。その中では、AIはあくまで機械なのだと、意味を読み取ることはできないと書いてありました。人間にはできる、「文やことばから意味を正しく読み取ったり、推論したりすること」がAIにはできないのだと。

 デカルトはこの本で、次のように述べています。

 われわれの身体に似ていて、実際上可能なかぎりわれわれの行動を真似る機械があるとしても、だからといってそれが本当の人間ではない、と見分ける極めて確実な2つの手段がある。

方法序説(岩波文庫)

 第一は、これらの機械が、われわれが自分の思考を他人に表明するためにするように、ことばを使うことも、他の記号を組み合わせて使うことも、けっしてできないだろうということだ。

方法序説(岩波文庫)

 第二は、(中略)機械は、認識することによって動くのではなく、ただその諸器官の配置によって動くだけである。

方法序説(岩波文庫)

 機械の本質を見抜いて、機械に出来ることや出来ないことを的確に示すあたりは流石ですね!


6 第6部を読んで

 この部では、これからデカルトが学問とどのように向き合っていこうとしているかについて書いてあると読み取りました。

 デカルトは自分の論文が後世の人たちの役に立つようにしたいが、自分が生存している間は、出版したくないと言っています。


 なぜかというと、出版することで世間からの反応や反論があり、それに対応するために時間がとられてしまいます。デカルトは、人生の残された時間でできる限りの真理(2つか3つ)を見つけたいと考えているから、時間をとられることは耐えられないと言っています。


 この学び続けようとする姿勢を見習いたいですよね~。日本人って、大人になるほど勉強しなくなるそうなんです。(なぜかはわかりません、この原因を知りたい)でも、世の中がどんどん変わっていっている今、何が正しいことなのか自分から学んで判断できるようになりたいです。


 また、デカルトは真理を教えられるだけでは、たえず新しい真理を見いだす習慣と能力を得ることはないと言っています。この姿勢って現代でも大切ですよね?だって、単にこれはこうだからと言われて、それに対して思考せず鵜呑みにするならば、機械と一緒です。だからこそ、1つの事物に対してすぐ信じるのではなく、真理は何なのか探求する習慣と能力って大切だと思います。

7 最後に

 この本は、100ページほどですが、書いてあることは、現代でも応用できる、とても大切なことばかりです。
 このような名著を読めることを、とてもうれしく思います。
 本は人類の財産。この言葉が、とても染みます。

 今回は、とても長い記事になってしまいました。
 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!

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