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北海道立北方民族博物館

北海道旅の最後の9月2日は、とても興味があった
「北海道立北方民族博物館」を訪れました。
今年の春に、近くの大阪にある国立民俗博物館に
久しぶりに行き、アイヌとシベリアの文化が
似ていることに初めて注目して、その後
北海道に北方民族博物館があることを知り、
興味を持ちました。

この博物館では、東はグリーンランドのエスキモーから
西はスカンディナビアのサーミまで、広く北方の
諸民族の文化と、北海道のオホーツク文化が
紹介されています。
展示物は写真撮影OKでしたので、いくつか紹介します。

先ずは特別展「北方民族の編むと織る」を見ました。
草や樹皮などの食物性繊維のほか獣皮も使って
編んだり織ったりされているそうです。

アラスカの原住民のローブです。


グリーンランドのエスキモーの子供の衣服などです。


アラスカのミニチュアバスケット、小さくて可愛いです。


こちらもアラスカのエスキモーのバスケットです。


ロシアのカムチャツカのバスケットです。


北海道アイヌの手首あてとバスケットです。


ロシアのハバロフスクのバスケットです。


ユーラシア、アメリカ、北海道と、このような
編む技術と織る技術を見て、似通ったところがあると
思いました。

では、常設展です。


カナダの民芸品です。幾何学模様が美しいです。


極東ロシアのナーナイの花嫁衣裳です。何色もの色と
様々な文様に彩られた美しい衣装です。
渦巻の部分がアイヌの文様にも似てると思いました。


北海道アイヌ男性用衣装です。勇ましい印象です。

衣装の色や文様には、生物への敬意や、魔除け、
着る人の性別や身分も示されているようです。


北海道やサハリンのアイヌのアクセサリーです。


オホーツク文化の女性像です。


ロシアのハバロフスクの容器です。ハバロフスクの
製品は渦巻文様が特徴的でした。


北海道アイヌのお盆です。見えにくいですが、
こちらも文様が渦巻です。


土器も展示されていました。


スウェーデンのサーミという民族の塩入れです。
ヨーロッパの雰囲気が見られます。


こちらもスウェーデンのサーミのバスケットです。
他の地域の北方民族のものと似ています。

アイヌだけでなく展示が充実していて、広く
北方文化について学べる博物館で、楽しめました!

ここからは考察です。
50代の私の記憶では、「アイヌはもとは南の地域に
住んでいたけれど、追いやられて北へ逃げた」と
学校で教えられたのですが、
ではなぜ北ユーラシア大陸の北方文化と
類似しているのでしょうか?という疑問が
最近になって沸きました。

それが今では、アイヌは北海道の先住民であると
されています。
でも北海道で縄文遺跡が発見されているということは、
アイヌが先住民というのはおかしいのでは?
という疑問も出てきます。
2年前の函館旅行に際には、縄文時代の集落跡が
残る垣ノ島遺跡を訪れましたが、こちらでは
世界最古の漆塗り土器が発見されたことなどから
しても、アイヌより古いと思われます。

こちらがその漆塗り土器(複製)です。

誰が先だとか競うのではなく、お互いの文化を
尊重して仲良く共存できたらいいと思いますし、
アイヌの人々も遡れば縄文との繋がりがある
ようなので日本人だと思います。
本土の日本人も遡れば、様々に混血している
みたいですし。多かれ少なかれみんな
縄文人と繋がっていることは間違いなさそうです。
この辺のことは、詳しく説明されている方々が
います。

北海道に関しては、縄文文化から本州からの影響を
受けた擦文文化へと移り、サハリンから南下して来た
オホーツク文化の擦文文化への影響、そのように
混じりあった中でアイヌ文化が生じたのではないかとい
う説もあります。

また北方民族の世界では、精霊などと繋がって
治療や予言などを行うシャーマニズムが普及しており、
熊にまつわる「クマ送り」という儀式が
北方ユーラシア、北アメリカ、北海道などで
行われていて、アイヌに関しては「イヨマンテ」
という儀式で知られています。熊は狩猟の対象と
される一方、神としても崇められています。
熊をあやめて神の世界に帰すという考えのもとに
行われますが、複雑な気持ちにさせられる儀式では
あります。
旅行中、実際にアイヌの人に会う機会はなく、
時間があればアイヌコタンにも行けたらよかったですが。

また先日、「フィンランド・森の精霊と旅をする」
という本に出会いました。

この本の中では、熊にまつわる神話が紹介されていたり、
フィンランドで行われていた熊猟についても書かれていて、
しとめた後は熊が天に帰れるように儀式を行ったそうです。
アイヌの風習とも似ています。
私自身は北海道で熊を見なかったものの、
いつ熊が現れてもおかしくない生息地に
足を踏み入れたので、この本にシンクロニシティを
感じました。(実はこの本は、東京小平市の
「草舟あんとす号」という本屋さんで買い求めました。)

アイヌの人々は、厳しい北方の自然環境で生活
していく中で、熊などの野生動物や自然と
折り合いをつけながら調和的に共存してきた
と言えます。縄文文化もまたそのようであったと
思いますし、その逆を進んでいるような私たちは
今一度立ち止まり、進む方向を見誤らない
ようにしなければと思いました。


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