目の前の情景がより豊かに見えるようになる、想像力や感性のお話 -前衛的な演劇に触れて-
(このご時世ではありますが…)久しぶりに観劇をしてきました
テーマとビラにヒトメボレ。私の大好きな海辺の街の物語。その名も、
『シーサイドタウン』
普段、観劇はあまりしないのですが、これは…!と見つけたときに、自分の運の良さに感動してしまった。やれやれだぜ
やってきましたはロームシアター京都
(京都におけるロームの影響力の強さに日々感動しています…)
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観終わった後の感想は…
「 完 全 消 化 不 良 」
とてもとても、残念だった…それは作品ではなく、
自分に…
恐らく、もっともっと、見るべき・感じるべきポイントは沢山あったのだろう
でも私は、それをセンシングすることができなかったのだ
こんな特殊な舞台は初めて
大きな教室のような箱に、俳優の演じる場と観客の席に隔たりはなく、一枚の床がただただ続く
効果音は一切無く、音は俳優が出す言葉と足音のみ
舞台芸術も小道具も一切無い、セリフ付のパントマイムが延々と続く…
閉鎖的な海辺の街の、不可思議な物語
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観客側の想像力が、圧倒的に試される舞台だった
解釈は、全てこちら任せ
自分の限られた想像力の範囲で、五感をフル回転させ、見せつけられる俳優の動き、俳優が表現する情景を、必死に頭の中で再構成していく
(ぼっーとしていると、一気に置いていかれる)
目の前、数メートルで演技する俳優のように、自然とこちらも真剣になってゆく…
ちょっとした物音さえ、敏感に響く箱であったことも関係し、舞台も観客も、心地よい緊張感が、ずっと、ずっと、張り詰めた舞台だった
しかし、圧倒的に、「完全消化不良」だった…
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幸いにも、舞台終了後にアフタートークがあり、この舞台をつくりあげた劇作家・演出家の松田さんと主催のロームシアター京都の方との対談、そして観客からの質問を受ける時間があった
ロームシアター京都の方や観客の方々の質問は…
・俳優、俳優同士の目線に対して
・抑揚の無い声が繰り出す影響
・舞台の構成
・俳優と名前しか出てこない人物の相関
・あえてのぎこちない振る舞いの意義
・一秒たりとも効果音が無いことの舞台における効果について
延々と続きそう…
このような観点が劇を魅せるポイントなのか…頭がもげるような頷きながら、この劇の素晴らしさが、自分の中でどんどんと溢れかえり、鮮明なものになっていった
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劇場を後にしたあと、色々と考える
芸術は観る側の力量が本当に問われる、自分はその魅力にに気づく感性が圧倒的に足りない…
大学時代の映画研究部の一コマを思い出す。映画を観た後に、先輩たちと語り合う時間が一番楽しかった。映画を観る沢山の視点を教えてもらい、映画がより深いものになっていくのだ
尊敬していた上司の言葉を思い出す。「自分が未経験のことも、想像して評価できることがマネージャーとしての資質」
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想像力や感性を身につけるにはどうしたらいいのだろうか。選り好みせず、多様なものに触れてみること。経験がものをいう気がする。本や漫画、映画も一つの役割。いろいろなことを疑似体験して、その面白さに気付く感性を身に着ける
そして、その魅力を表現する力。語彙力など、大人になればなるほど、表現力の大切さに気づく
想像力や感性、そして表現力を身に着けて自分の視点を変えていくことが、目の前の情景を少しでも豊かなものにできる方法なんだろうなぁ
豊かさを、自分で見つけていける人でありたい
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演劇をつくられる過程も知ってみたい。今回、7月から稽古をされていた模様。そんなに稽古するんだ…そして、演出家ってどんな仕事するんだろう…
▼本作品の劇作家、松田さんのインタビュー。こんな視点で世の中を見てみたい
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