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デザイナーが個人開発で筋トレ管理アプリをリリースするためにやったこと

こんにちは、筋トレ好きのyuyahayashidaです。普段はIT企業でプロダクトデザイナーをしていて、スキマ時間で筋トレ管理アプリを個人開発しています。

この記事では、デザイナーである私が、約1年間の個人開発で筋トレ管理アプリをリリースするためにやったことを振り返ります。

2022年12月8日に、SwiftUI製の筋トレ管理アプリ「Mott(モット)」をリリースしました。個人開発は2022年4月から開始したので、リリースまでに8ヶ月ぐらいかかったことになります(長かった…)。

Mott(モット)は、日々の筋トレを記録して振り返り、筋トレに励む人の成長をサポートするために作ったアプリです。自分自身もユーザーとして使っています。

Mott(モット)のUI

ちなみに、アプリをリリースして3週間後の現在までのダウンロード数は60です。直近1週間のダウンロード数だけで見ると、ほぼ0というまだまだ伸び代しかないアプリです。

2022年12月8日にリリースしてから現在(2022年12月28日)までのダウンロード数

現時点のダウンロード数が本当にしょぼいのですが、最初からたくさんの人に使ってもらえるとは思っておらず、クオリティ不足も自覚しているので、予想通りの結果です。ここからがスタートなので、じっくり腰を据えながら長期で育てていこうと思います。

本題に入る前に「あなたは誰?」と思うはずなので、簡単に自己紹介をさせてください。

簡単な自己紹介
- 普段はIT企業でプロダクトデザイナーをしています
- 趣味は筋トレ・登山・旅で、筋トレ好きが高じて筋トレ管理アプリを作ることにしました
- 新卒1年目のときにWebのフロントエンド開発をしていましたが、全くプログラミングができませんでした
- これまでに何度か個人開発にチャレンジしてきましたが、実装中につまづいて1人で解決できずに挫折を繰り返してきました

では、自己紹介は以上で本題に入ります。

1. なぜ個人開発をやりたいのか考える

まずは自分自身の「WHY」を明らかにする作業を行いました。
余暇の過ごし方はたくさんあるのに、なぜ個人開発をやりたいのかを考えることは、長期で継続して取り組むために大事だからです

私が個人開発をやりたい理由は以下の通りです。

  • 自分でデザインしたものを誰かに使ってもらう体験をしたいから

  • 規模が小さくても良いからプロダクトを0から成長させる経験をしたいから

  • エンジニアリングを学んで、UIデザインのスキルアップにつなげたいから

  • アプリ開発を通じて、筋トレアプリだけでなく、今後も他のアプリを作れるようになりたいから

個人開発をスタートしたときの目標設定。6月までにリリースなんて見積もりが甘すぎました…

2. どんなアプリを作りたいのか考える

個人開発は自由なので、とにかく自分の好きなようにしようと思いました。なので、競合を意識せず、自分の欲求に従いながら検討しました。だいたい以下の軸でテーマを選んだ気がします。

  1. 自分がユーザーになれる

  2. 日本語だけでなく英語対応もする

  3. 日常で使う頻度が多い分野にする

  4. ツール系アプリにする

自分がユーザーになれるもの

これは個人的にとても大事な要素です。自分がユーザーになれるからこそ、自然と妄想が膨らみ、アイデアが生まれ、問題の発見ができます。

また、自分がユーザーになれるだけでなく、「体験したことがある」×「その体験にハマったことがある」観点も大事にしていました。いわゆる原体験で、過去に転職をしたときの判断軸にも使っていました。

筋トレは上記の軸にマッチするので、筋トレ管理アプリを作りました。

日本語だけでなく英語対応もする

類似の筋トレ管理アプリは、すでに海外のApp Storeにたくさんあり、筋トレは世界共通のアクティビティなので、どうせ作るならより多くの人に使ってもらえる可能性がある英語圏に向けてやることにしました。

リリースして3週間で、ダウンロード数は60しかないのですが、すでに30カ国でインストールされているので、英語対応のポテンシャルを感じています。

リリースして3週間後で、30カ国からインストールされました

日常で使う頻度が多い分野にする

アプリを日常で使う頻度が多ければ多いほど、利用者からフィードバックをもらえる回数が増え、改善するサイクルを早く回せるので、開発者としてやりがいがあって楽しくなるだろうと考えていました。

毎週ジムに通っている自分の主観になりますが、筋トレを継続して週3以上で行う人は結構いるので、日常で使う頻度が多い分野だと言えそうです。

ツール系アプリにする

サービスにはいくつか種類がありますが、例えばSNSなどのコミュニティ系のサービスにすると、コミュニティを活性化させるための集客が大変そうなので、とにかく自分1人でも運営できそうな領域にしたいと思いました。
ツール系だと利用者個人で「使う理由」が完結するので、個人開発でも継続的にやっていけそうです。

3. 相談できるエンジニアのメンターを見つける

これは、今回アプリをリリースできた大きな理由になります。
なぜ、エンジニアのメンターを見つけるのが重要かというと、個人開発の挫折を防ぐためです

少しだけ自分の話をさせてください。
私がこれまでに挫折を繰り返してきた理由は、アプリを作り切りたい気持ちがあるのに、ググっても対応できない問題が出たときに、どうすることもできなかったからです。自力で解決ができないと、どんどんモチベーションが下がり、諦めるようになります。

もう同じ挫折を繰り返さないためには、困ったときに相談できるエンジニアのメンターを見つける必要があると考え、同じ職場でいつもお世話になっているiOSエンジニアの方にサポートをお願いしました。結果的に、快く引き受けてくれ、アプリをリリースするまで伴走してくれました(もう本当に感謝しかありません…)。

個人開発の開始当初に丁寧な説明をしてくれました

4. プログラミングの基礎を身につける

困ったときに相談できるメンターを見つけたからといって、分からない部分を全て質問しても自分の成長にはならないので、個人開発と並行して基礎を身につけるようにしました。
今回作った筋トレ管理アプリの「Mott(モット)」は、SwiftUIで書いているので、具体的に以下のことをやりました。

Introducing SwiftUI

Apple公式の最も基礎的なチュートリアルです。初めはSwiftUIについて何もわからなかったので、一通りやりました。


Getting started with Scrumdinger

上記のチュートリアルだけだと物足りないので、さらに実践的なチュートリアルもやりました。より機能的なアプリになるので、作っていて楽しかったです。


[増補改訂第3版]Swift実践入門 ── 直感的な文法と安全性を兼ね備えた言語 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

SwiftUIはあくまでもUIフレームワークなので、Swift自体の文法を理解しないと実装中につまづいてしまいます。
そのため、手元でいつでもSwiftの文法を確認できる本を購入しました。毎朝始業前の1時間で、1章ずつサンプルコードを写経しながら勉強しました。Appleの公式ドキュメントも良いのですが、やはり日本語の方が読みやすいし覚えやすいので購入して良かったです。


Hacking with Swift

SwiftUIの実装で分からない部分をググると、大体「Hacking with Swift」の記事がヒットするぐらい日頃からお世話になっているサイトです。サンプルコードがシンプルに書かれているので初心者でも理解しやすいです。

5. 無言実行をする

「無言実行」とは、誰にも言わずにこっそり何かを始めることです
この言葉は芸人兼YouTuberのヒロシさんの本に書かれていて、個人開発を始める前の自分の心にとても刺さりました。

よくビジネス書などで、何か目標を立てるときに周囲に目標を宣言するとやらざるを得ない環境になって、成功確率を上げることができると書かれています。

目標を宣言する効果は理解しているつもりですが、この手法は自分に余計なプレッシャーをかけるだけで合わないと過去の経験から感じていたので、「無言実行」の言葉を知ったときにこれは良いなと思って取り入れました。

大事なのは、自分にとって心地良い状態を知ったうえで、手段を取り入れることだと学びました。

6. たまにサボっても良いと認める

何か新しいことを始めたときに、必ず意識する言葉として「継続」があるような気がします。

継続によって得られる効果が素晴らしいのは言うまでもないですが、時には「毎日継続をしなければ…」という謎の縛りを自分自身に植え付けてしまい疲れてしまうことがあります。

無駄に疲れを溜めないためにも、「今日は開発しなくてもOK」と自分を許し、休むときは全力で休むようにしていました。「大事なのは長期で見たときに継続できていること」と自分に言い聞かせながら、マイペースで取り組みました。

Githubのログ

7. 個人開発者が作ったアプリを触ってモチベーションを高める

内発的動機だけで頑張れることもありますが、たまには外から刺激を得るのも大切だと考えています。

モチベーションを高める方法は人ぞれぞれですが、個人的に効果があったのは個人開発者が作ったアプリに触れることです。アプリを触りながら「よし、おれもやるぞ〜!」とモチベーションを高めていました。

いまの私にとって尊敬する人は「自分の手でデザイン・開発をして成果を出している人」で、つまり個人開発者さんです。自分でアプリをリリースしてみて、さらに個人開発者さんを尊敬するようになりました。

特に個人的に尊敬している人は、Markdownノートアプリ「Inkdrop」を開発しているTAKUYA さんです。彼が発信しているブログやTwitterにほとんど目を通し、とても刺激を受けました。日本だけでなく世界中で使われるアプリを開発しながら生計を立てているのがすごいですし、生き方としてとてもクールで憧れます。

これから

約1年をかけてアプリをリリースしましたが、ようやくここからがスタートです。まだまだ開発したい機能が多いので、継続して品質を高め続けるのと同時に、開発だけやっていてもアプリは使われないので、マーケティングも並行してやっていくつもりです。
これまであまり情報発信をしていなかったのですが、個人開発でアプリを育てていく過程で学んだことなどをシェアしていければと思います。

もし、私と同じように筋トレが好きな方がいらっしゃれば、ぜひアプリを使っていただけると嬉しいです。App Storeでの評価もお待ちしています…!

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