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【今でしょ!note#156】マネジメント会社の本質的な価値とは?

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

世の中の仕事は、プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、一社で全てのサービスを提供していることは少ないですね。
大抵のものには、商品やサービス提供を支えるサプライチェーンが組まれていて、一次的に顧客と相対するのはA社なんだけど、実際に商品開発やサービス維持を担うのは、A社がB社やC社といった別のパートナーと契約して、複数社が一体となった形で社会への価値を提供している構図になっています。

私が勤務している会社は、いわゆるA社の立場にあたります。マネジメント会社とも言えるかもしれません。
顧客と直接相対して、どういうものを作るか合意して、発注先を選定して全体の予算などをコントロールしながら実際にモノ作りをしていく。最近では、よく言われるように社会変化スピードも凄まじいですから、顧客との共創型案件も増えてきましたし、超上流からのコンサルティング案件も増えてきました。

このようなポジショニングで仕事をしていると、自分たちで全てを作り上げるわけではなく、仕様を固める部分を担当して作りの部分は他社にお願いすることも少なくないため、「自分たちの存在価値は何なのか?」という疑問を抱いたこともあります。任天堂のような企業も、自社で工場を持って自主生産しているわけではなく、主に委託先企業がゲームの開発をしていますから、同じような構図と言えそうです。もしかすると、販売代理店のように、自分たちが直接商品を作っているわけではない業種を担当されている方も同じような疑問を抱くかもしれません。

今日は、「顧客やマーケットと直接対峙しながら、商品やサービスの提供を自社単独で提供するのでなく、パートナー企業と一体で提供している企業」の本質的な存在価値は何なのか?という点について、自分なりに感じていることをお話します。


一般的な存在価値

バイイングパワー

特に大企業においては、多くのプロジェクトを並行して扱っていますから、調達を管理している部署が複数部署で必要な製品や材料をまとめて調達して、大量ロットの調達を安定的にかける代わりに、個別に購入するよりも仕入単価を抑えられ、結果として顧客企業側に提供する際の価格を下げられる、という面があるでしょう。

いわゆるバイイングパワーというやつで、当然顧客企業からマネジメント会社のA社を経由せずに直接調達先のB社やC社と契約することも可能ですが、多くの顧客企業を持つA社が入ることでより多くの製品や材料をB社、C社から調達できる場合には、規模の経済が働き、マネジメント会社が強い仕入力、購買力を発揮することができます。

顧客企業にとっては、マネジメント会社と契約することでより価格を抑えられるメリットがありますし、委託先企業にとっては、自分たちの商品や材料、労働力を比較的安定してロットで供給し続けることが可能になるというメリットがあります。

リスクマネジメント

他には、顧客企業がマネジメント会社を抜いて直接B社、C社とそれぞれの企業と契約をすると、どうしても全体のリスク管理やプロジェクト管理責任も顧客企業側で負う必要が生じますが、マネジメント会社を挟むことで、この辺りの業務を外注できる点も分かりやすいところです。

委託先企業となるB社やC社にとっても、自分たちで顧客企業の要件を整理したり、仕事を進める上での各種調整事項を全て自分たちで管理していく必要がなくなり、モノづくりや原材料の供給に集中できるため、より本業側にリソースを集中できるメリットがあります。

私が感じる存在価値

それでは、私が感じる存在価値に視点を移していきます。
上述した一般的な存在価値は、構造的なものであるため、そこで働く個人レベルでのやり甲斐やモチベーションに繋がりにくいものもあります。別に会社がバイイングパワーを持っていたとしても、個人のやり甲斐と必ずしもリンクする訳ではないですよね。

そこで、より現場に視点を落として、マネジメント会社が本質的にどういう存在になれるとよりその価値を向上できるのか、議論していきます。

マネジメント会社の存在意義をより具体的に感じられるのは、直接的に取引のある顧客企業と、マネジメント会社の発注先となる企業になります。
この両面から、マネジメント会社は何を自分たちの存在価値・存在意義としていく必要があるのか、という点をまとめてみます。

顧客企業にとっての価値

まず、マネジメント会社が間に入ることで、顧客企業にとって分かりやすく価値向上できるのは、スピードアップです。直接その商品を担当しているマネジメント会社の先の委託先企業に確認してもいいですが、一次的に相対しているマネジメント会社に確認した方が早く回答が得られる場合、分かりやすい価値向上です。

また、単なる照会だけでなく、何かの課題解決の提案を持って来てほしい場合に、マネジメント会社に取りまとめてもらい、様々な選択肢の中からトータルコーディネイトされた提案がもらえるケースもあるでしょう。顧客企業単独でその提案まで辿り着くのと比べて早く整理結果が得られるのであれば、それはマネジメント会社を座組に入れることによる価値です。

委託先企業にとっての価値

委託先企業にとってマネジメント会社が入る価値は、自社のパフォーマンス向上と考えます。

委託先企業は、本来その企業が強みとしているモノづくりや原材料の提供に集中してもらったほうが会社としてのパフォーマンスが上がるはずです。そのため、顧客企業との調整や照会に時間や人といったリソースを奪われてしまうと、本来のパフォーマンスを発揮する阻害要因になってしまいます。

このあたりの調整やリスクマネジメントについて、マネジメント会社が代行してくれることで、より自分たちしかできない業務にリソースを集中し、より高いパフォーマンスを発揮することができます。

マネジメント会社の価値向上のために

このように考えていくと、マネジメント会社の役割は、顧客企業と委託先企業の間の各種調整であったり、プロジェクト全体のマネジメントが主体ということに思えてきますが、それでは単なる「マネジメント会社」に終わってしまいます。

私が本質的にマネジメント会社の価値を発揮していると思えるのは、マネジメント会社が「高性能なメモリとCPU」の役割を果たしているケースです。

パソコンは、利用者から何らかの指示を受けるとCPUがその指示に回答するために必要な情報をメモリやディスクに問い合わせて、それらから得た情報をもとにCPUが計算などの処理をして、利用者に結果を返す仕組みで動いています。

メモリ(マネジメント会社の知見)は、ディスク(委託先企業に蓄積された知見)に比べると持っている情報量が少ないわけですが、日々の業務を通じてディスクから得た知見を資産に変えてメモリで保持しておくことで、次に似たような照会や提案機会があった時に、メモリとCPUだけで応答できる仕事が増えていきます。

こうすることで、顧客企業に対するレスポンスのスピードはさらに上がり、委託先企業に対してかける照会の手間を少なくし、委託先企業が本来発揮すべき能力を最大化できます。

そのため、いかにマネジメント会社に業務的・技術的知見をや人やノウハウとして蓄積しながら、日々のアウトプットに変えていけるか。
これは成り行きではなかなか難しいため、マネジメント会社の付加価値をより向上するために、意図的に設計・実行管理することが大切です。

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
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