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#202 マネジメントの苦悩:メンバーの読解力を鍛えるには?

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

今日は、自身のこれまでのチームリーダーやマネジメントの経験から、人材育成の難しさについて話します。

おそらく、職場などで同じような悩みを抱えている方も多いのでは?と推察します。明確にこうすれば大丈夫!という正解がある類の話ではないと思いますし、あるならこの手の悩みは世の中からなくなっているはずなので、皆さんのそれぞれのケースに当てはめて有効なアプローチに思いを馳せてもらえれば良いなと思っています。


文章を読み取る力

これまでの後輩やチームメンバーの育成シーンを思い浮かべると、個人が文章を読み取る力そのものにかなりの能力差があることに気付きました。
例えば、何かインプットになる資料を渡して、「ここに書かれているポイントを網羅した資料を作ってください」とお願いしたとします。

その時、Aさんは、その指示通り、一発でそこに書かれているポイントを漏らさず、時には書かれている表現をいい感じにまとめたりしながら、上手く分類してドキュメント化できたとしましょう。
一方で、Bさんは、「できました!」とアウトプットを見せてくれますが、「ここのポイントがないように見えるけどどこにありますか?」と聞くと「すみません、書けてませんでした」となる。

そこで「要求事項は、ここに書かれているポイントを漏らさずに書くことなので、今一度ポイントが充足しているかセルフチェックして、もう一度持ってきてください」と言います。そしてその数日後、完成品を再度チェックしますが、やはりまだ不十分な状態。「ここが書けてないのでは?」と指摘すると、「すみません、書けてませんでした」となる。

そこに書かれているポイントが、アウトプットの中に書かれているか、一つずつマーカーでチェックするなりして確認すれば、自分で気付けるはずですよね。でも、それを難しいと感じる人が一定数います。
「ここに書かれているポイントを網羅しているか、自分でインプットをよく読んで、確認してから持ってきてください」という話を3回以上繰り返しても、それでも100点にはならないことばかりです。

指示をしている側からすると、同じことを何回言っても結果に反映されないので、当然ストレスがかかります。今、アンガーマネジメントが試されているな、と考えたり、一体どのように伝えたら伝わるのか?と頭を悩ませます。
一定の割り切りをするのであれば、読解能力が低い人は一定数いて、何度読んでも、本人も頭でちゃんと理解できていないのだと思います。

学生時代のように、国語の試験があれば、おそらく点数の差として表れてくるのだと思いますが、社会人になってから「読解力」を数字の指標で見る機会って激減しますよね。だから「読解力」が欠如していることには本人も気付きにくいし、気付かないから敢えて鍛える、という対策も取られにくい。

そして、読解力は一朝一夕に向上できるスキルではなく、どの程度向上しているか見えにくい。汎用スキルとして、あらゆる仕事で最低限必要になる能力であるにも関わらず、測定しにくく、読解力がどれだけ不足しているか分からず、対策の有効性も分からず、能力向上には時間がかかる。
マネージャーの人材育成という観点で見たときに、かなり覚悟を持って根気強く向き合わないといけない課題です。

文章を書く力

何かを読み取るだけでなく、作文するのも同じです。
仕事で求められる汎用スキルとして、「誰でも誤解なく伝わる文章を端的に書く」力がいかに大切なのかは広く理解されていると思いますし、そのための教科書となるビジネス本も多く世に出ていますね。
にも関わらず、文章を書く能力が高い人は、正直一握りである印象を受けます。

仕事上、多くの人が書いた資料を読む機会があるのですが、なかなかスッと入ってくる文章に出会うことは少ないです。それは、上述した「文章を読み取る力」と同様、上手な文章とそうでない文章の違いを明確に意識することなく、自分の作文力がどの程度なのか、なかなか客観的に把握する機会が少ないからでしょう。

私も決して完璧ではありませんが、この「書くスキルの向上」については、何度もどのようにメンバーに教育をしていけば良いのか悩んだこともあるため、過去に多くの本を読み漁り、体系的にまとめています。
苦手だと感じている方はぜひこちらをご覧いただき、日々の文章作成の機会に意識して取り組んでみられても良いかと思います。

読んでも何が言いたいか分からない文章というのは、そもそも本人も何が伝えたいのかよく分からない文章になっていることが多いです。
文章を読んで「これってどういう意味?」と聞いても、長々とした説明が返ってくるか、的外れな回答が返ってくることが多い。
それは、自分で何を言いたいのか整理されないまま、いきなり作文に入ってしまっていることの証左です。

自分でも何が言いたいのか分からないのに、それを他人に理解してもらうことがいかに困難なことか、は明白ですよね。少なくとも「これってどういう意味?」と問われた際に「これはこういうことです」と端的に答えられる状態になっていないのであれば、それは自分でもよく分からないまま作文をしてしまっているということを認識した方が良いと思います。
ここを認識できないと、当然改善には繋がず、改善されないので、周囲から「この人は文章が書ける」と評価される日はやってこないからです。

他人の読解力や作文力をどう鍛えるのか

当事者になったことがある方は共感いただけるのではないかと思うのですが、自分のチームメンバーの読解力や作文力をどのように向上させるのか?は、かなりの難題です。

自分自身の読解力や作文力であれば、自分がトレーニングしていけばいいだけです。しかし、一朝一夕には身につかないスキルであり、改善効果の測定が難しい能力について、他人にどのように習得してもらうか、というのは、悩ましい話です。

日常のあらゆるシーンで求められるため、これをチーム単位で習得できる術があれば、間違いなくチーム力の底上げになるでしょう。だから、正解のない困難な課題ではあれど、そこから逃げてはいけないという意見です。

「これをやればOK」という絶対的な答えはないにせよ、マネジメント側に求められるスタンスとしては「日々の業務の中で諦めずに指導し続ける覚悟」と「全員が習得できるわけではないことをはじめから割り切っておくこと」が重要だと考えます。

例えば、文章を直接修文する時には、「自分でやった方が早いから」と変更履歴を付けずに最後にパパッと自分で直して完成させるのではなく、手間でありますが変更履歴付きで自分で修正した跡を必ずメンバーにも見てもらうとか、必ず自分で書かせて完成品を作る、といった地道な取り組みを続けることです。
そして、そこまでやっても「早く完成品を作りたいだけの人」はいるし、そういう人は、地道に残した変更履歴など目にもくれないでしょう。

でも、逆にその変更履歴を見て、なぜこのような言い回しに変えたのか?をマジマジと思考してくれるメンバーも多くはないですが必ずいます。そして、そういう人は、必ず読解力・作文力を向上させていける人です。

マネジメント側は、一人でも響いてくれる人を信じて、また読解力・作文力の大切さを繰り返し伝えることを通じて、地道に育成していくしかない、というのが、私の見解です。
今日は、「読解力」について取り上げましたが、他の能力についても同じことが言えると思うので、近々また別の記事で取り上げてみます。

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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