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【46】わかりやすい文のつくりかた

改めて言うまでもないが、「わかりやすい文のつくりかた」は、大半の作文技術の中核となっている。


例えば、このマガジンではおなじみの「日本語の作文技術」では、作文技術は「わかりやすい文を書くため」と断定している。

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理系の学生のバイブルであり、100万部以上のベストセラーでもある「理科系の作文技術」においても、「わかりやすく簡潔な表現」に、まるまる1章が割かれている。

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同様に、野内良三氏の「日本語作文術」では「達意」の文章は、読みやすく、わかりやすく、説得力がある文章とされる。

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ナタリーを運営している唐木元さんは著書の中で、全5章のうち、2章分を「明快に」「スムーズに」と言う形で紹介しており、ニュースサイト的なわかりやすさを追求している。

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先日ご紹介した、有名ブックライター(ゴーストライター)上阪さんの著書でも、もちろん丸々一章が「スラスラ読めてわかりやすい文章のつくりかた」に割かれている。

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つまり「わかりやすい文章を書くためのテクニック」は、読まれる文章の必要条件とされることがほとんどだ。

また、組織内での意思伝達の主流はすでに「テキストコミュニケーション」なので、わかりやすい文章を書く技術は、社会人の嗜みでもある。

実際、1ヶ月ほど前、「わかりやすい文章を書く方法」に関するツイートが、大きく広まっていた。

そうだなあ、と頷けることも多く、実践すれば有意義だろう。


ただ、率直に言えば、上に書かれている20項目は、もう少し整理する必要がある 。

例えば 1:と20:にポエムを書かない とあるが、これは「書く方法」ではないし、そもそも「ポエムとはなにか」を定義していないので、具体性に乏しい。

また、4:とにかく量を書く 5:リアクションから振り返りをする 9:広告のコピーをチェックする 11:良い文章を写経する 15:言葉ダイエットを読む なども「書く方法」ではなく「練習方法」である。

さらに、 2:受けて目線で伝え方を設計する や 3:「伝えた」ではなく「伝わったか」が大事 は重複している上、14:「書く」より「削る」に時間を使う と同様にこれは技術ではなく「心構え」である。


こうしてみていくと、最終的にこの20個のなかで「書く方法」として技術的に使えそうなのは

6:一文は短く(≒17:「一文一意」を徹底する)
7:シンプルで強い表現を使う
8:事実と解釈はわける
12:同じ言葉を繰り返さない(=18:同じ文末を繰り返さない)
16:専門用語を避ける

の5つだ。


だが問題もある。

結局、こうして多数の事例をみていくと、あまりにも多くの人がノウハウを公開しているので、どれが重要なのかがわかりにくい。

細かなテクニックはたくさんあるが、原理原則が見えないのだ。


わかりやすさの三原理

そこで私は、文章術について書かれた書籍や文献をあたり、それらに共通する因子を調べた。
一種のメタアナリシス(のようなもの)である。


すると、ほとんどの文献に出てくる「わかりやすさにとって重要なこと」はごく一部に限られることがわかった。

それらを「わかりやすさの原理」と呼ぶことにする。具体的には以下の三つだ。


第一原理 情報が少ないほどわかりやすい

わかりやすさとは、読者の知的負荷の少なさである。
したがって、わかりやすくする一つの方法は、意図的に読者が触れる情報を少なくすることだ。

したがって、

・文が短い
・修飾語が少ない
・接続詞が少ない
・一文一意
・専門用語を避ける
・結論から書く
・改行を多く入れる

といったテクニックは、すべて「知的な負荷を減らす」ことに繋がる。

例えば
「赤い花」
という文字列を読んだときと、
「太郎が家の裏の畑から抜いてきた、昨年5月に植えた鳳仙花」
という文字列を読んだときとでは、後者のほうが知的な負荷が高い。

だからわかりやすくするには、余計な情報を入れないほうが良い。
短く、修飾語を減らし、接続詞を多用せず、一文を一意にし、専門用語を避けて、結論から述べればよいのだ。


このように言うと、「動画は情報量が多いのにわかりやすい」という方もいる。

だが、それは情報量が多いからわかりやすいのではない。情報流入が「遅い」から、知的負荷が少なく、わかりやすいのだ。


例えば上で挙げた
「太郎が家の裏の畑から抜いてきた、昨年5月に植えた鳳仙花」
という情報をテキストで読むのは1秒もかからない。

しかし、テキストを使わずに動画だけで表す場合、動画では数十秒、漫画でも1ページ以上を要する。


動画は同じ情報量を処理するのに、テキストに比べて膨大な時間を取っているのだ。だから「時間がかかるので動画は苦手」という方も多い。

動画を見るのがどちらかというと苦手な話。

ただ、私は動画を見るのがちょっと苦手なんです。
理由はいたってシンプルで、「見るのに時間がかかるから」。
せっかちなので、時間がかかるものはダメなんです。

テキストや写真だったら、速読みたいな感じでさささーーーっと素早く画面をスクロールして読み飛ばすことができるけど、動画はどこで大事なことを言っているかわからないから、飛ばしづらい。

動画は「知的負荷が少ない」のでその分「時間を食う」。
そして、可処分時間をゴリゴリ減らす。

「テレビばかり見ているとバカになる」のは嘘だが、単位時間に取得できる情報量は少なくなる、というのは本当だ。


反面、テキストは情報流入が極めて早いため、情報を詰め込みすぎるとすぐに読み手がついてこれなくなる。

文は短く、余計な情報を入れず、簡潔に書くことこそ、わかりやすさの王道だ。


第二原理 論理ではなくイメージを伝える

「論理的であること」が、「わかりやすいこと」だと考えている人は多いが、実は逆だ。

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