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【45】「浅い記事」をレベルアップさせる技術

世の中には「浅い記事」があります。

読者からすればなにか腑に落ちない。違和感がある。賛同しにくい。
「へー。」で終わり、感情が動かない。それが「浅い記事」です。


例えば、あまり記事を書き慣れていない人が書いたり、思ったことをそのまま書いたりすると、こんな具合になることが多いです。

タイトル:職場での「言い分け」はダメ。

きのう久々に見ちゃったんです。
「言い分け」ばかりする人。
私、そういう人が嫌いです。

言い分けするくらいなら、少しでも努力して、頑張ってほしい。
でも、そういう人に限って、他責にするのがうまいんです。
「上司が悪い」
「資料が悪い」
「時間がないのが悪い」
ばっかり。
私が聞きたいのはそんな話じゃなくて、「次はどうすればできるか」です。

そもそも、言い分けする人は、だいたい仕事もできないことが多いです。
私が新人だった頃は、それこそ先輩にこっぴどく叱られたこともあります。

だからきのうは、彼をしかりました。
彼の将来のために、思い切りしかりました。

厳しい人は、今恨まれても、あとになって必ず感謝されます。
いつか彼も、わかってくれるでしょう!

「主張を見る限りでは、全くの見当外れでもないのでは」と思う方もいるかも知れません。
逆に「主張がまずいのでは?」という方もいるでしょう。


でも、ここでのポイントは「主張の内容」と「記事の浅さ」の関係がないことです。

この記事の「浅く見える」原因は、主張とは全く関係ない、テクニカルな部分にあります。


一体なにが「浅い」原因なのでしょう。

理由は一つです。
「読者は著者と同じようには感じない」という大前提を、著者が忘れているからです。

平たく言うと「乱暴な記事」なのです。


とはいえ、「浅い記事」の原因を抽象的に論じても、今ひとつピンとこない方も多いでしょう。

そこで、上の記事にどのように手を入れなければならないか、順を追って見ていきます。


◯冒頭で論じようとするテーマについて定義する

まず最初のパラグラフ。

きのう久々に見ちゃったんです。
「言い分け」ばかりする人。
私、そういう人が嫌いです。

この記事の主題は「言い分けしてはならない」なので、最初に結論を持ってきているのは良い書き方です。

しかし、文全体に大きな問題点がいくつかあります。

まず1つ目の問題は「言い分け」という言葉をきちんと定義しないまま使っている点です。

実は、記事の導入部では「読者は著者と同じようには感じない」という大前提に基づいて、「議論の対象を読者と共有」しなければなりません。


言葉には様々なイメージがあります。
例えば、「言い分け」という言葉。
仕事ではよく、ネガティブなイメージを伴う語として使われます。

しかし、広辞苑で調べてみると、「言い訳」という言葉に、ネガティブなイメージはそれほどないのです。

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したがって、「読者は著者と同じようには感じない」という前提にしたがって、最初に「言い分け」のイメージを読者と共有するための背景が必要です。

例えばこのような具合に追記します。

「言い分け」は、多くの場合、職場では好まれません。
自分の非を認めず、弁解に終止する姿が見苦しいとされるからです。

でも、きのう久々に見ちゃったんです。
「言い分け」ばかりする人。

ここでは「職場での言い分け」=「自分の非を認めず、弁解に終止する」という定義を行っています。
この一文を加えるだけで、「言い分け」についてのイメージの共有が大きく進みます。

「論じようとするテーマについて、詳細な定義を行う」のは、物書きとしては当然の行為です。


なお、本記事においても、冒頭に

世の中には「浅く見える記事」があります。

読者からすればなにか腑に落ちない。違和感がある。賛同しにくい。
「へー。」で終わり、感情が動かない。それが「浅い記事」です。

と言葉の定義とイメージの共有を行う文を一文、入れています。
また、実例や、エピソードを加えれば、更にイメージの共有が進むので、おすすめです。


◯安易に「好き嫌い」などの感情を表明しない

2つ目の問題点は「嫌い」という言葉です。

私、そういう人が嫌いです。

この言葉を安易に使ってしまうと、それだけで記事が幼稚に見えます。
なぜでしょうか。


それは、くどいようですが「読者は著者と同じようには感じない」からです。「私は嫌いです」と言われても、読者からすれば「へー。」でおしまいです。

だから「嫌い」というにしても、その理由を懇切丁寧に問いてあげないと、読者には全く理解されません。


したがって、記事では極力、好き嫌いを含む、感情の判断は読者に委ねるべきです。

好き嫌いが多用されると、読者の多くは「この人、好き嫌いが多くて身勝手だな」という印象を受けます。
結果として、読者の多くは、著者の感情についてこれず、読むのを辞めてしまいます。

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