#013 WOLLENSAK 2INCH(50MM) f/2.8 VEROSTIGMAT (CLARUS MS-35)
前回の記事でリペアしたCLARUS MS-35に標準装備されていたレンズ、「WOLLENSAK 2INCH(50MM) f/2.8 VELOSTIGMAT」。
以前の記事で同社のレンズ、BOLSEY B2の「Wollensak ANASTIGMAT 1:3.2 f=44mm」の試写を掲載しましたが、今回はこちらのレンズをミラーレスカメラFUJIFILM X-PRO2に付けてその性能を見ていきたいと思います。
まず、41mm径というのがどうしたものか、M42では1mmほど大きく、そのままではヘリコイド付きのアダプタに装着不可。悩んだ末、以前別で加工して放置してあったM42/5mm厚の中間リングがなぜかしっかり嵌ることがわかりました。
レンズにヘリコイドがついているのですが、このヘリコイドが固着しているのと、曇り気味だったレンズ部分を含め一通り分解清掃しました。ヘリコイドグリスを硬めのものを入れたら少し重すぎる具合になってしましました。使ってみて不具合があれば再度グリス交換する予定です。
開放での玉ボケが大変綺麗です。f4以降はかなりシャープ感が増してきます。絞り羽根は9枚の贅沢な作り。開放から1段〜3段くらい絞るとこの9枚羽根の効果で円形に近いボケが得られます。
レンズフードを付けていないからか逆光が入るとちょっと弱い印象ですね。
清掃の際にレンズ構成を確認したところ、トリプレット型の3群3枚でした。コーティングはしっかりしているようなので収差はかなり抑えられているはずです。実際に撮ってみると、柔らかさがありながらピント部分はシャープに写ります。
ウォレンサック社は、戦後間も無く米国におけるライカのレンズ供給不足の折に、米ライカの要請を受けてE.Leitz New Yourk 1:3.5 f=50mm VelostigmatやRaptar f=1:4.5 90mmを供給していたり、シネレンズを多数生産していたりとアメリカのレンズメーカーとして優秀な会社だったことがわかります。しかし現在では同社の資料は少なく、謎に包まれた部分も多いメーカーです。
今回のレンズは柔らかい光の捉え方の中にもピント部のシャープさを併せ持った銘玉だと思います。玉ボケの素晴らしさを活かしての近接撮影や、逆光でのポートレートなんかに良いかもしれませんね。
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