バレエ漫画原作5(1はこちら↓)

マサキ:主人公、21歳、大学4年生、金髪、182cm
ジン:マサキの親友、21歳、大学4年生、173cm
ナナ:女子高生、17歳、168cm

「セリフ」【モノローグ】≪あぶく≫

00
マサキ
【実家から電車を乗り継いで50分】
【初台駅を降りてすぐ―――】
新国立劇場の絵
【新国立劇場】

新国立劇場

01
マサキ
≪思ったよりでけえーーーーー!≫
【とうとう入団審査当日になっちまった。】
回想
ナナ
「こんだけ協力してあげて、落ちるなんてありえないから。」
「デブ!」(書き文字)
ジン
「まあ、大丈夫だよ。落ち着いてやれば」
「マサキの特技だろ?でかい態度。それがなけりゃ「スタバのバイト頑張りました」なんて超ありきたりなガクチカ※でみずほ受かるわけないじゃん。」
※学生時代に力を入れたこと。就活の頻出質問。
マサキ
≪おい、そんな風に思ってたのかよ…。≫
@現在、新国立劇場前
マサキ
≪まあ、3か月精一杯練習してきたし。あとはやれるだけやるだけだ。≫
【ここで落ちたら――】

02
マサキ
【俺のバレエは終わり。】
マサキ・強い目のカット
マサキ
≪審査会場は地下の練習場――ね。≫
@地下
男女1:9くらい男性は数名。

新国立劇場練習場

マサキ
≪うお、みんなウォームアップ始めてる。お、俺も…≫
端の方で練習着に着替え始める。背番号50を付ける。
隣に座った少年がこっちに気づく

03
にこっと笑って会釈をする。背番号は1

イメージは美白の神尾風樹君 171cmくらい

マサキ
≪び、美少年ーーーー!≫
≪肌白っ、卵かよ。18歳くらい?わっけえーー!≫
≪しかも、普通の大学生の18歳とは違うよな。純粋培養された感じ。≫
柄の悪い酒と煙草を持った大学生を想像する。
===
少し時が経ち
背の高い女性A・審査員
「はい、それでは審査を開始します。」
ピリッとした表情になるウォームアップ中のマサキ

04
女性A
「今回書類を通ったのは102名。うち男性は10名です。」
「はじめにバーレッスン※をしていただきます。」
※棒に掴まってウォームアップをすること。

バーと呼ばれる棒

神妙な表情になる皆
女性A
「バーレッスンも審査対象です。あまりにもレベルが低いと感じた場合ーー」
「即、お帰りいただくこともございます。」
ざわめく皆
不敵な笑みを浮かべる女性A
「ーー大丈夫です。バーで落ちるのはほんの数名ですから。」
マサキ
≪総勢102名…。毎年受かるのは5名程度。≫
≪倍率20倍か。≫
冷や汗をかくマサキ
≪ま、まあ、みずほは70倍だったんだ。落ち着け…。≫
04
バーレッスン開始後
マサキ
≪落ち着けねえ~~~~~~~~!涙≫
スタイルの良い女性参加者の絵
マサキ
≪みんなスタイル良い!!≫
がっちりした男性参加者の絵
マサキ
≪テクニックが凄い!≫
そして…
先ほど挨拶した美少年。
≪こいつ、すげえ…。若いのにシルエットが完成してる。集まった男性の中でーー≫
≪一番上手い。≫
回想
ジン
「大丈夫。落ち着いて。」
ハッとするマサキ
04
深呼吸するマサキ
≪なるべく上手く、自分を見せるしかない。≫
≪ーー態度は大きく。≫
ピアノ伴奏の人が見える
≪生伴奏なんて初めてだ。こんな場所で、踊れて嬉しいだろう?≫
===
審査員背の高い女性Aと、背の高い30代の男性Bが練習場の隅で話している。
女性A
「皆緊張していますね。」
男性B
「ーーーうん。でも、緊張してても実力は一目瞭然だね。」
女性A
「今年は上手な子が多いですね。」
鼻で笑う男性B
「まあ。でもバレエをやる人にとって一番大事なのは体格だよ。」
頑張ってバーをするマサキの絵のカット
05
マサキを見る男性B
「50番、大きいね。182cmくらい?」
女性A
「ああ、あの子、アメリカンバレエシアター帰りですって。」
驚く男性B
「!?その割にはキレが無いか…?まあ、最近は金を積めばどこでも受け入れてくれるって言うしな…」
苦々しい顔になる男性B
「バレエダンサーなんてぼんぼんばっかりだからな。」
男性B
「今回、背番号は年齢順なんだろ?」
女性A
「そうよ。」
男性B
≪ということは21~2か。働きもせず親の金で留学して…。ほんとクソな世界だ。≫
===
女性A
「お疲れさまでした。5分間の休憩の後、センターレッスン※に移ります。」
※バーを片付けて、練習用の振り付けを踊る。
「センターも無論審査対象です。すぐにお帰りいただく可能性がございます。」
練習場の端で水を飲むマサキ。隣に影が。
「あ!」
06
隣にいたのは美少年・1番
苦々しい笑顔で声をかけるマサキ
「う、上手いね、君…。いくつ?」
1番
「…18歳です。」
マサキ
「俺、マサキ、21歳。よろしくね。」
ちらりとマサキの顔を見上げる1番。
「………。よろしくお願いします。」
マサキ
≪あーーー育ちが良さそうだな。…嫉妬するわこりゃ。≫
===
センターレッスンが始まる。
7~8人ずつ審査員の前で簡単な振り付けを踊る。
センターを眺めるマサキ
≪あの子…≫
トウシューズを履いた女性C。あからさまにぐらぐらとした踊り。
女性A
「90番、ちょっと。」
07
声をかけられたのは女性Cではなく、別の女性D。標準体型。
隅の方で90番・女性Dに声をかける審査員女性A
「あなた、スタイル管理ができていないわ。ーー今回は、残念だけど。」
悔しい表情を浮かべながら荷物をまとめる女性D
女性A
≪ーー写真と大分差があったわね。90番ということは23歳は超えている。≫
難しい表情を浮かべる女性A
≪生まれつき脂肪が多いタイプね。≫
回想:
太った女性と痩せた女性の絵
女性A:
≪人間は、年を取るにつれて、遺伝の影響が大きくなり…、≫
≪自然と痩せていく人と、太っていく人に分けられる。≫
≪自然な状態で太っている人は、どれだけ頑張って痩せても、不健康な状態で踊り続けるハンデを抱える。≫
08
女性A:
≪それだけじゃない。自然と胸が大きくなる人、お尻が大きくなる人…。≫
≪そういう人は、「バレエに選ばれなかった」と思うしかない。≫
バターン!
大きな音を立てて女性C・10番がこける。
怪訝な顔をする女性A
「10番ーー」
マサキ
「大丈夫ですか!?」
涙を浮かべる女性C・10番
「だ、大丈夫です。どこも痛くないので…。」
声をかけようとする女性Aをとめる男性B
「あの子は、若いし、スタイルが良い。」
「さっきの子とは違うよね。」
怪訝そうな表情を浮かべる女性A
「まあ…、実力のなさは、後半のバリエーション審査で明らかになりますね。」
===
マサキに話しかける女性C・10番
「あの…!」
09
女性C
「さっきはありがとうございました。私、落とされそうだったところをあなたに救ってもらいました。」

イメージ・上白石萌音ちゃん

マサキ
「いやいや…、僕は何も…。」
「でも、レベル、高いね。何人か落とされてる。」
全体を映すカット
男性B
「次、男性!全員前に出て!」
マサキ
「あ、呼ばれた。」
「お互い頑張りましょう。」
すこし憧れの表情を浮かべる女性C
マサキ
≪よし…、落ち着け…≫
男性B
「女性と同じ振り付けで、最後のピルエットは何回回っても大丈夫です。」
ピアノの音が流れる…。

10
踊り始めるマサキ
≪グラン・ワルツ。大きな技こそ堂々と。≫
≪そして…≫
アラベスクをするマサキ
≪アラベスク。≫
ハッとした顔になる男性B
「手足が長いからダイナミックだね。」
マサキ
≪次がラスト、ピルエット!≫
驚く顔の皆のカット

11
何回転も回る美少年1番

マサキ
≪6…7回転!?な、なんて軸…!≫
≪やっぱあいつすげえ…!≫
男性B
「1番…」
12
男性B
「君…、身長何センチ?」
青ざめる1番
「ひゃ、173cmです。」
男性B
「見たところ、2,3センチ足りないんじゃない?」
ざわめく会場。
驚く顔のマサキ
≪上手すぎて気づかなかった…。≫
≪新国立劇場バレエ団の募集要項には、男性、173cm以上と書かれていたはず…。≫
絶望した表情の1番
「…っ、すみまーー」
13
パチパチパチパチ
1番に拍手を送る女性A
「1番。あなた、軸が素晴らしいわ。」
「ラインも、他のテクニックも完璧。」
男性Bの側に寄って、耳打ちをする女性A
≪まだ18歳ですって。伸びるわよ。これから。≫
===
自分の番が終わり、水を飲むマサキ
≪厳しい世界だな…。日本人の平均身長171cmだぜ?≫
隣で水を飲んでいた1番がタオルを落とす。
拾って、渡そうとするマサキ
「あ、これ…」
14
憎悪の表情を浮かべる1番
驚くマサキ
「…」
小さな声で呟く1番
「…ヘタクソ」
表情が引き締まるマサキ
15
女性A
「センターレッスンはこれで以上です。30分の休憩後、バリエーション審査に移ります。」
「合格者はーー」
つづく
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