バレエ漫画原作6(1はこちら↓)

マサキ:主人公、21歳、大学4年生、金髪、182cm
ジン:マサキの親友、21歳、大学4年生、173cm
ナナ:女子高生、17歳、168cm
1番モエト:新国立入団審査参加者、色白の美少年、18歳、171cm
10番カナデ:新国立入団審査参加者、おとなしい印象の少女、18~19歳、165cm
高槻:強面の50代男性、新国立劇場バレエ団幹部、アメリカンバレエシアターで指導経験あり

「セリフ」【モノローグ】≪あぶく≫
00
女性A
「合格者はーー」
息を呑むマサキ・後ろに他の参加者
女性A
「残った方全員です。」
「30分の休憩後、バリエーション審査※です。」
※1~2分の自分で選んだ曲に合わせて踊る
女性A
「1番、ちょっと来なさい。」
連れられて外に出ていく1番。
01
ほっとした顔のマサキ
≪う、受かった~~。次が最終か…。≫
≪いやでも、最終面接で落ちた三菱UFJを思い出すな…。≫
回想:
@三菱UFJ銀行最終面接
専務:
「学生時代に力を入れたことは何ですか?」
社長:
「いや…、これまでの人生で一番のめり込んだことを、聞かせてほしいな。」
マサキ:にやっと笑いながら
「ーーー」
「僕はスターバックスでアルバイトをしておりまして。」
「学費を稼ぐために、大学時代は目一杯バイトを入れていたのですが…」
(あ、もちろん学業に差し障りのないようにです。💦)書き文字
「自分のためだけに働いていると、お客様にはバレるんです。」
コーヒー豆の前で悩む客のカット。
「それだけじゃなく、自分自身も、虚しくなってくる。」
「お金のために働くと、お金以上のものは手に入らないと感じました。」
コーヒー豆の前で悩む客の後ろに、影が…
02
回想:
客に笑顔で声をかけるマサキ
「どんな味がお好みですか?」
@三菱UFJ銀行最終面接
マサキ
「お客様を笑顔にできると、僕自身も嬉しくなると気づいて。」
「それからは、学業とバイトの隙間の時間でコーヒーの勉強をしました。」
優しい顔になる社長。
マサキ
「知識が付くと、より良いご提案ができるようになって…。」
少し寂しそうな顔のマサキ
「それがーーー。それが、僕がこれまでの人生で一番のめり込んだことです。」
少し、悲しい顔をする社長。
@現在、新国立劇場審査会場
マサキ
≪社長も笑顔で、いい感触だと思ったんだけどなあ。≫
03
マサキ
≪嘘だって、バレたんだろうか。でも、あのとき「バレエ」と言うのは…≫
≪あまりに辛すぎた。≫
≪まあーー≫
≪最終でも、気を抜くなってことだ。≫
===
女性A
「それでは、最終・バリエーション審査を始めます。」
「1番から順に中に入ってきてください。」
マサキ
≪バリエーション審査は、他の人の様子が見られないのか!≫
≪あいつ…、さっき呼ばれてたけど大丈夫かな…≫
≪173cmに満たなければ、虚偽申告ってことになるのか…≫
≪お、俺も、経歴嘘まみれだけど…≫
@別室
1番が男性BにCDを渡す。
「1番・神木萌人、アルブレヒトのバリエーションです。」
CDプレイヤーから音楽が流れ始める。
息を呑む女性A・男性B。
04
ナレーション
【アルブレヒトのバリエーションは、最も難易度が高いと言われる。】

【高度なテクニックが要求されるだけではなく、悲しみ、苦しみ…、】
【そして、死を観客にイメージさせなくてはならない。】
踊るモエト
≪俺に…、ぴったりの踊りだ。≫
回想:
幼いモエトがポスティングをしている。
「開祖様のお話、皆聞いてくれるといいね。」
母らしき人
「うん、仏様のお話だからね。」
モエト
【教団の幹部の娘がバレエ教師をしていた。】
【今思い返せば、母の教団での地位を上げるのと引き換えに、僕は踊らされたんだろう。】
踊る小さなモエトのカット
モエト
【教団が創設した学校と、隣のバレエ教室を往復する日々で…】

「…モエト」

05

「何?この成績。」
モエト
【僕はバレエしかできなくなっていた。】
冷たい目の母
「これじゃあエリートになれないじゃない…」
モエト
【父は、僕が生まれたときには居なかった。母の身長は150センチも無い。】
@現在
踊るモエト
≪アルブレヒトは性格が破滅した公爵。最後には大切なものを全部失って死ぬ。≫
≪僕は…≫
深刻な目をして踊りを見つめる女性A、男性B

06
モエト
≪踊れなかったら、死ぬしかない。≫
倒れこむシーン

最後までエゴを捨てきれなかったアルブレヒトは死に至る©パリオペラ座

驚く女性A、男性Bの背後に、高槻が現れる。

07
高槻
「…合格だね。」
ヒソヒソ声の女性A
「18歳にしては、闇深すぎませんか…。」
男性B
「完成されすぎてるかもよ?他の踊り、できないかもしれません。」
(あと、ほんとに身長伸びますかね…?)ヒソヒソ声
高槻
「いやいや、闇が無くてバレエダンサーなんてできるかよ。」
汗だくのモエトのカット
高槻
「君、これからよろしくね。」
モエトの目に光が差す。
===
@地下練習場
マサキ
≪俺の番号50番って…≫

08
マサキ
≪順番2時間後以上後!?≫
≪体固まっちまうよ…散歩行こ…≫
@新国立劇場の大きな劇場の方へ足を運ぶ

新国立劇場大ホール

マサキ
「で、でけぇ…」
≪小さい頃…、まだ親父がいたころに、一回来たことがあるな…≫
舞台上で踊るバレエダンサーたちの絵
キラキラした顔で舞台を眺めるマサキ
「ここで踊れるようになりてぇな…」
背後から声が…
「あのっ…!」

09
10番
「私の番、終わって…、あの…、改めて、ありがとうございました。」
マサキ
「ああ…!センターの時の!」
10番
「この劇場、良いですよね。私も小さい頃から何度も連れてきてもらって…」
マサキ
「うん、良いよね。」
10番
「オーケストラの所に、落っこちちゃったこともあるんです!笑」

新国立劇場にはオーケストラピットが常設されている

マサキ
「まじ!?」
≪おっちょこちょい…?この子…≫
10番
「私…昔からおっちょこちょいで…トロくて…、運動神経もあんまり良くなくて…」
マサキ
≪やっぱり…≫
10番
「踊っても踊っても上手くならなくて、でも…、」
10
笑顔の10番
「大好きなんです!バレエ!」
マサキ
≪うわ…、≫
10番
「音に乗ってると、ふわふわー、ぴたっ!」
「舞台が全部私と一体化して、そのあと、ブワ~~~~!物語が、世界が、私を通過していく。」
「好き、大好き、手放したくない…」
マサキ
「…」
10番
「…しゃべりすぎました。すみません。引きましたね。」
マサキ
「いやいや!!!」
≪俺も…≫
「俺も、大好き。」
目を見開く10番
マサキ
「…あ」
11
マサキ
「ご、ごめん、何か変なこと言ったかな。」
10番
「いえいえいえいえ」
マサキ
「あ!そろそろ行かなくちゃ!」
10番
「あの!」
振り向くマサキ
10番
「私、カナデです!」
ちょっと驚くマサキ
「…俺はマサキ、お互い受かったら、よろしくね!」
去っていくマサキ
佇む10番・カナデ
≪や、やばやばやばやば≫
≪大好き!?な、なんですかそれは。てか、助けてくれたときエグ格好良くなかった!?こ、これは…≫
≪王子…!?≫

キラキライケメン化したマサキのカット

≪ぎゃあ~~~!!≫
===
女性A
「次、50番。お願いします。」
扉を開くマサキのカット
12
マサキ
「50番、鈴木マサキ、フランツのバリエーションです。」
高槻
≪お、経歴詐称の子じゃん。≫
にやにや~と笑う高槻
マサキ
≪な、なんだ?≫
「CDです。」
プレイヤーから音楽が流れる。
ナレーション
【フランツのバリエーション。】
【喧嘩をしていたヒロインとフランツが仲直りしー】
【晴れて結婚式を挙げる際の踊りである。】
踊り始めるマサキ
≪序盤は、落ち着いて、丁寧に。≫
男性B
「やっぱり背が高いと映えるねえ~♪」
マサキ
≪そして…≫
13
マサキ
≪なんとか間に合ったピルエット※!≫
※回転技
驚く高槻
マサキ
≪踊るのが、楽しいです。≫
≪愛しています。≫
女性A
≪あら~この子は若いわね。幸せ駄々洩れ。≫
マサキ
≪ジャ、ジャンプは…≫
低いジャンプ
≪多めに見てっ…!≫

14
呟く高槻
「ザンレール※の高さが足りないよ。」
※ジャンプをして回転する技
「や~っぱり筋肉が足りないねえ。」
汗をかくマサキのカット
男性B
「金積んでアメリカンバレエシアターに留学した子でしょ?」
「まあ、正直驚くほどうまいわけじゃないけど、背が高いしね。」
高槻
「ふ~ん。リクトさんのことは騙せたと…。」
ムッとしつつ、驚く男性B・リクト
「な、なんですか?」
高槻
「50番君」
「いいね。君。」
驚き、安堵する表情のマサキ
高槻
「でもー…」
15
高槻
「嘘は駄目なんじゃない?」
マサキ
「…!」
≪ば、バレてる…!?≫
つづく
つづきはこちら↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?