バレエ漫画原作7(1はこちら↓)

マサキ:主人公、21歳、大学4年生、金髪、182cm
ジン:マサキの親友、21歳、大学4年生、173cm
ナナ:女子高生、17歳、168cm
モエト:新国立入団審査参加者、色白の美少年、18歳、171cm
カナデ:新国立入団審査参加者、おとなしい印象の少女、18~19歳、165cm
高槻:強面の50代男性、新国立劇場バレエ団幹部、アメリカンバレエシアターで指導経験あり
リクト:背の高い30代男性、新国立劇場バレエ団関係者、審査員

「セリフ」【モノローグ】≪あぶく≫
00
リクト
「嘘…?どういうことですか、高槻さん。」
高槻
「ん~~~~?この子に聞いてみれば?」
マサキ
「…!!!」
01
マサキ
「お、俺は…、本当は…、」
「一回、バレエを諦めました。」
絶望した顔の学ランのマサキのカット
マサキ
「すみません、留学していたというのは嘘です。」
リクト
「おーーい。まじかよ。今年虚偽申告ばっかじゃねえか。」
マサキ
「本当に、すみません。」
「僕にとっては、今回がラストチャンスだったんです。」
「踊っているところを見てもらえなければ…、」
「大好きなバレエを諦めるしかなくて。」
高槻
「ハッハッハッハ」
「そんなん関係ねーよ。」
マサキ
≪だよな…、ただの虚偽申告…。就活だったとしても即内定取り消しだ。≫
高槻
「あのねえ」
02
高槻
「バレエは上手けりゃいいの。」
「背も高いし、いいんじゃない?君、よろしくね。」
マサキ
「…!!!」
リクト
「あーでも反省文?罰金?なんか課した方がいいんじゃねーの?」
女性A
「リクトさんも昔年齢詐欺してたでしょう…?」
高槻
「はい。じゃあ、1か月後から練習。」
マサキ
「え…俺、受かったんすか?」
にやにや笑うリクト
「ぐだぐだうっせえぞーー」
「次のやつ来るから早く出てけ。」
マサキ
「あ…」
03
マサキ
「ありがとうございます!!!」
===
走って、スタバに駆け込むマサキ
涙を浮かべて待っていた、ジンとナナがいる。
抱き合う三人。
===
ジン
「ーーーそれで。」
04
ジン
「お母さんにどう報告するかだな。」
マサキ
「ヴっ…」
フラペチーノを飲むナナ
「そんなしょーもないこと…。」
マサキ
「しょーもなくねえよ…」
ジン
「まあ、ギリギリまで迷えよ。3月末に内定辞退しても、法的には問題ないだろ?」
マサキ
「そういう訳にもいかなくて…」
ぺらっと一枚の紙を見せる
『内定式のお知らせ』の文字が。
マサキ
「初日の練習に被ってんだよ。」
ジン
「うわ~~~!!最悪!!」
ガタン!
立ち上がって紙を引き裂くナナ
「内定式、行くわけないでしょうね…?」
涙を流すマサキのギャグカット。
05
@堤防を歩くマサキ
≪あの紙、PDFでも送られてきてるから、大丈夫なんだけど…≫
@家につく
マサキ
「ただいま~」

「ん、おっかえりい。お母さんのフラぺは?」
マサキ
「はい、限定の。」

「やーんありがと~~~!♡」
マサキ
「ねえ、母さん。」
フラペチーノを飲む母
「ん、なになに?」
マサキ
「いや…、何でもない。」

「何よお。お母さんは、今日はねえ、スーツのカタログ貰ってきたわよ。」
マサキ
「そ…そんなの、いいよ。金無いだろ?」

「無いわよ!でも、いいの。あんたに何か買ってあげられるのも、いつまでだろうってね。」
「奨学金の800万。」
06

「あんたに背負わせたお金を、肩代わりしてあげることはできないけど。」
「いつまでも着れるスーツがあれば、節約になるでしょう?」
マサキ
「…っ、、ありがとう。」

「何よ!こちらこそありがとね!!!まったく良い子に育っちゃって!泣いちゃうわよお母さん!」
(時計の方が良かった??)書き文字
涙を浮かべるマサキ
「俺さ…!」

「…何?」
マサキ
「ごめん、何でもない。いつもありがとう。」
自室に戻るマサキ
少し寂しい顔の母
「…」
===
自室のベッドに寝転がり、天井を見つめるマサキ
≪…≫
07
マサキ
≪言えねえな…≫
===
@スターバックス
マサキ
「おはようございまーす!」
店長
「マサキ!!!何か、すごいバレエ団受かったって?凄いじゃない!!」
マサキ
「うわ、ありがとうございます!」
店長
「マサキはほんと頭も良くて気さくで、何でもできるもんねえ。」
「うちの正社員に欲しかったのに!笑」
マサキ
「とんでもないっすよ。」
スタバのドアが開き誰か入ってくる
「すみませーん。」
08
入ってきたのはカナデだった。
驚くマサキ
「カナデさん!」
カナデ
「ヒ、マサキさん!?」
「あ、ほんと偶然で…、近くに通ってる着付けのお教室があって…」
≪な、な~んて…。ホントはフェイスブックで調べたんだけど…。≫
(お教室に近いのは本当だけど)書き文字
マサキのフェイスブックのカット
マサキ
「すげえ偶然!うわ!また会えて嬉しいな!」
カナデ
≪う、嬉しい!?やばみ!てかかっこよ…。。とろけるんだが~?≫
「あ、このあとお教室なので、もし良かったらバイト終わりにご飯でもいかがですか?」
マサキ
「もちろん!6時くらいになるんだけど、大丈夫?」
カナデ
「あ!ちょうどいいです!では、また来ますね。」
コーヒーを買って帰るカナデ
ぬっとマサキの背後から顔を出す店長
「マサキく~ん」
09
店長
「何あのすらっとした子~~」
「完全にマサキに惚れてるじゃない。」
マサキ
「いやいや!まさか!」
「試験会場で会った子で。」

回想:
「さっきはありがとうございました。私、落とされそうだったところをあなたに救ってもらいました。」
「舞台が全部私と一体化して、そのあと、ブワ~~~~!」

店長
「じゃあバレエの子か。やっぱ姿勢いいね。」
「フフフ」
「着付け教室?育ちも良さそうだし。いいじゃんいいじゃん。」
ちょっと嫌な顔をするマサキ
「ぜんぜんそんなんじゃないんですよ…。」
マサキ
≪…カナデさんは、受かったんだろうか…≫
10
@イタリアンレストラン
カナデ
「落ちました。」
マサキ
「え…、あ…、そうなの??ご、ごめん。」
カナデ
「でも、研修生にならないかって、お声がけいただいて。」
マサキ
「そうなの?良かったじゃん!」
カナデ
「まだまだチャンスはあると…。ホッとしました。」
マサキ
「じゃあ、今日は祝杯だね。カンパーイ!」
グラスを前に出したマサキ。
カナデは微笑みながらグラスを持ち上げる。
少し恥ずかしそうにグラスに口をつけるマサキ
≪やべ、グラスぶつけるのはマナー違反か…≫
カナデ
「マサキさんは…」
11
カナデ
「お付き合いしている女性はいらっしゃるんでしょうか?」
ワインを吹きそうになるマサキ
「…え?」
カナデ
「あ、いや、すぐにどうこうって訳じゃないんです。」
「ただ、素敵だな~と、思ってまして。」
マサキ
「あー、今は付き合ってる人はいないよ。」
顔を赤らめるカナデ
「そうですか…、嬉しいです。」
マサキ
≪す、素直…!≫
カナデ
「私、バレエが大好きでして、」
マサキ
「あ、うん、俺も…。」
カナデ
「踊るのも、見るのも好きで。」
「マサキさんとだったら、バレエのお話をずっと語り合えて、楽しいんじゃないかと。」
マサキ
≪それは確かに楽しいかも…≫
「一番好きな演目は?」
ぱあっと顔が明るくなるカナデ
「私が一番好きなのは…」
12
「エリート・シンコペーションズ※です。」
※アシュトン・マクミラン振り付け。主に英国ロイヤルバレエ団で踊られる演目。
マサキ
≪し、知らねえ~~~~~~!≫
カナデ
「マサキさんは?」
マサキ
「俺は、『眠れる森の美女』かな。」
カナデ
「私、二番目に『眠り』が好きです!」
マサキ
「俺は、特に3幕が好きで…。」
カナデ
「三幕、素敵ですよね!!私は一幕が好きです!」
「私、新国の審査でも、一幕のバリエーション踊ったんですよ。」
マサキ
「…ぴったりだね。」
頬を赤らめるカナデ
「そ、そうですか!?純粋無垢なオーロラ姫と私が合ってるなんて、恥ずかしいですが…、嬉しいです。」
マサキ
≪この子…昔の母さんと似てるんだよな。≫
≪親父が死ぬ前、苦労する前の母さんと。≫
カナデ
「私…」
13
カナデ
「結婚するならバレエのお話ができる方と…って思ってるんです。」
マサキ
≪早えな!オイ!≫
カナデ
「でも、バレエをやってる方って、お金の面で苦労されてる方が多いでしょう?」
「お父様が、『男は稼いでいるヤツじゃないと駄目だ』っておっしゃって…」
「でも、今日、マサキさんが新国立に受かったと伺って、凄くホッとして…、」
驚くマサキ
「…」
カナデ
「新国立なら、安泰です。ダンサーとして引退された後も、指導者や監督としての道が拓ける。」
「あ、でも、もちろん、落ちていらっしゃったとしても、私の好意は変わらないんですが…!」
マサキ
「カナデさんは、自分で稼ぐとかは思わないの?」
カナデ
「もちろん!今の時代は女も!ですよね!」
「でも、私こんなおっちょこちょいなので、稼ぐ能力はあまり…、無いかもと。お恥ずかしいですね。」
「すみませーん」と大きな声で別のテーブルの客が店員を呼ぶ。
ちょっと困った顔のカナデ
「ふふ、本当に、合格おめでとうございます。」
マサキ
「カナデさん、俺はね…」
14
マサキ
「バレエが大好き。でも、まだ自分の足で立てる自身が無いから…。」
カナデ
「そうですよね!あの、こんなにお話するつもりはなくって!」
「バレエのお話に、戻りましょう…?」
===
@帰り道の堤防
川に向かって叫ぶマサキ
「うわーーーーーーっ!」
ぎょっとしたナナが現れる。
「な、なにアンタ。どうしたの?」
よろけてナナにぶつかるマサキ
ナナ
「さ、酒くさ…、おい、すぐデブるぞ?気をつけろよ。」
涙目のマサキ
「純粋無垢な奴が褒められる世界なんて吐き気がするんだ。」
「でも、母さんのこと、『可哀そう』って思う自分もいるんだよ。」
ナナ
「何急にメンヘラ?きもいぞ…?」
マサキ
「母さんに…、言えなかった。受かったこと。」
「やっぱさ、バレエは選ばれし者しかやっちゃだめなんだろうか…?」
ナナ
「…」
マサキの頭をなでるナナ
「あんたは選ばれてるよ。」
15
ナナ
「だーーーいじょうぶ。親とこれまでぶつかってない方がキモいから!」
マサキ
「ううう…」
ナナ
「まだ、1か月あるから…とりあえず、また明日からうちで練習しな?」
マサキ
「うん」
堤防を歩くナナとマサキの後ろ姿
===
窓の外を見つめる母のカット
つづく
つづきはこちら↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?