バレエ漫画原作8(1はこちら↓)

マサキ:主人公、21歳、大学4年生、金髪、182cm
ジン:マサキの親友、21歳、大学4年生、173cm
ナナ:女子高生、17歳、168cm
1番モエト:新国立入団審査参加者、色白の美少年、18歳、171cm
10番カナデ:新国立入団審査参加者、おとなしい印象の少女、18~19歳、165cm
高槻:強面の50代男性、新国立劇場バレエ団幹部、アメリカンバレエシアターで指導経験あり
リクト:背の高い30代男性、新国立劇場バレエ団関係者、審査員

「セリフ」【モノローグ】≪あぶく≫
00
ベランダで煙草を吸う男性の後ろ姿
「マサキ…」
幼い小学生のマサキ
男性
「母さんを、守れよ。」
マサキ
「…父さん、待って。」
学ランを着た高校生のマサキ
「待って…、、」
01
@現在ベッドの上で涙を流すマサキ
「待って!!!」
≪…って≫
「やべ~~~泣いてるとか、ハズすぎ。」
枕もとのスマホが鳴る。
マサキ
「…はい。」
高槻
「お~、マサキくん?」
マサキ
「た、高槻さん?」
高槻
「言い忘れてたんだけどね。劇場の近くに引っ越しといてね。」
「新人の頃はすぐ呼び出されるし、フツーに練習後、終電逃すから。」
マサキ
「うえっ?」
高槻
「じゃ。」
マサキ
≪や、やべ~~~~~~~!!!≫
≪1か月あるって余裕ぶっこいてたけど、引っ越すならすぐ動かなきゃ。≫
≪てか…≫
02
マサキ
≪俺、金やべえとか言ってるけど。実家暮らしの甘ちゃんなんだよな。≫
マイコの顔が浮かぶ
≪地方から出てきたヤツは、家賃も払ってるんだよな…。≫
===
@初台の不動産屋
マサキ
≪とりあえず探し始めるかと思って不動産屋に来てみたけど≫
≪は、初台の家賃えぐっ…≫
不動産屋の女性
「そうですね…一般的な一人暮らし用のお部屋ですと、この辺りとか…」
ぺらっと紙を出される
マサキ
「8万円!?」
にこっと笑う不動産屋の女性
マサキ
「…あ、こんなに駅から近く無くて良いんです。」
「でも、何回もシャワー浴びると思うので、風呂は付いてないといけなくて…」
「あと、洗濯機も置けないといけないんですが…」
不動産屋
「ん…、なるほどですね。でしたら…、」
何枚か紙を出す
03
マサキ
「6万円!?」
にこり・不動産屋の女性
マサキ
「あ…、でも、この物件は4万円…。」
不動産屋の女性
「そうですね。こちらの物件は駅から徒歩30分ですが…、」
マサキ
「全然大丈夫です!!」
ちらっとマサキの頭上を眺める不動産屋の女性
「ですが、お客様の場合、ちょっと足を曲げて寝ていただくことになるかもしれません…。」
マサキ
「あっ、でも、ここで…。内見の予約って取れますか?」
不動産屋の女性
「はい。すぐにでも。」
マサキの背後に影が…
「バレエダンサーが長時間歩くのは禁物ってことも知らないのか?」
マサキ
≪!?≫
背後の謎の声
「それに、足を曲げて寝るなんて、すぐにケガするぞ。」
「せめて徒歩15分以内。ベッドは入る家にしろ。アスリートの自覚を持て。」
マサキ
≪こ、この声は…≫
04
マサキ
「い、1番くん!」
背後にいたのはモエトだった。
キラキラした目の不動産屋の女性
≪び、美少年~~~。≫
マサキに睨みを利かすモエト
「…1番じゃなくて、モエト…。」
マサキ
「あ、ごめん。」
≪やっぱり受かってたんだコイツ…≫
モエト
「お姉さん、ここ、内見行けますか?」
モエトが物件情報が書かれた一枚の紙を取り出す。

こんな感じかな?

マサキ
「初台駅から徒歩14分…。」
モエト
「ふふん」
マサキ
「家賃7万6千円か、その割には広くて、いい部屋だね。」
モエト
「だろ?」
「お姉さん、ここ…」
05
にこっと笑うモエト
「二人で住もうと思ってるんです。」
マサキ
≪は~~~~~!?≫
モエト
「良いですよね?」
不動産屋の女性
「ハイ!!二人で住んでいただける物件ですし、本日すぐに内見できますよ。」
≪柄ワル金髪青年×深窓の美少年…?ハプニング同居…?漫画ですか!?最高です…ありがとう…≫
===
@内見に向かう車の中
マサキ
「なんだよ!急に『二人で住む』って!」
モエト
「悪い話じゃないだろ?一人、3万8000円。」
マサキ
「それはそうだけど…」
モエト
「俺、18歳で、保証人いないから、一人で部屋借りられないんだよ。」
マサキ
「…」
運転席の不動産屋の女性
≪ガチハプニング系ですね?美味しいわ~✨≫
===
@部屋の前につく(1階)
不動産屋の女性
「こちらです。」
扉を開ける。
06
マサキ
「広いな…。」
モエトがふらっと部屋の中に入っていき、床に寝転がる。
笑顔のモエト
「はじめての…俺の部屋…」
マサキ
「広い方を、勝手にお前の部屋に決めんなよ…」
モエトのTシャツの裾から、痣が見える
マサキ
「何、その痣…」
無表情のモエトのカット
07
モエト
「バレエの先生に杖で叩かれた。」
マサキ
「…え?」
モエト
「珍しい話じゃない。勝手に移籍を決めたんだ。驚かれて当然だろ。」
マサキ
「…」
モエト
「お前のさ、『ツライツライ』みたいな顔、マジでウケるんだよね。」
マサキ
「え?」
モエト
「どうせ親戚か誰かが保証人になってくれるんだろ?」
マサキ
「…」
起き上がり、座り込むモエト
「ありがとう。大好きだよ。お前も、お前の親も。」
「俺は、奇跡が起きないと踊れない。」
マサキ
≪ああ…≫
モエト
「お前は最悪な事態になったら、絶対誰かが助けてくれるんだよ。」
「それに気づかないふりしながら、絶望(笑)しとけばいいよ。」
===
@不動産屋
不動産屋の女性
「では、これで説明は以上です。」
08
不動産屋の女性
「保証人の方のサインを、こちらに貰ってきてくださいーー」
===
@堤防、帰り道のモエト
マサキ
≪モエトのお陰で、家賃は抑えられた…。≫
≪でも、1年目の手取りが月16万円だとして…≫
≪家賃・水道光熱費・食費・奨学金の返済・バレエの道具を買うお金も要る。≫
≪それに、家の初期費用…。≫
≪これまでバイト代を家に入れてきたけど、できなくなるかもしんねえ。≫
回想:

「母さんを、守れよ。」

不動産の書類を軽く握りしめるマサキ
「俺、どうすればいいんだろう…」

「マサキ~!」
振り返ると、自転車を押す母の姿が。
「母さん!」

「帰り道に会うなんて、珍しいわね。」
母が、マサキの手の中の書類を見る。

「それ…」
09
マサキ
「母さん!ごめん!!!」
虚を突かれた表情の母
「…!」
マサキ
「ごめん…ごめん…、ごめんなさい。」
優しい表情になる母
「…どうしたの?」
マサキ
「俺、しょうもない夢を捨てきれなくて。」
「就活、応援してくれたのに…、みずほの内定取り消されちゃうかもしんない。」

「…」
マサキ
「新国立に…、大きなバレエ団に合格したんだ。」
「っ…、ど、どうしても、」
「どうしてもバレエをやりたくて…!!!」
10
マサキ
「それに、家にお金を入れられなくなるかもしれない。」

「マサキ…」
マサキ
「母さんを、守れなくてごめんなさい!!」
頭を下げるマサキ
「ごめんなさい…」
ガシャーン!!!
母が支えていた手を放し、自転車が倒れる。

「マサキ!!!」
ぎゅっと目を瞑るマサキのカット
11

「バカ!親はねえ!ずっと、守る側なのよ!!!」
「『守ってあげる』とか、なめるんじゃない!!!」
マサキ
「…!」
マサキを抱きしめる母
「バレエ、ずっと大好きだったもんねえ。」
「私も、マサキの踊り、大好きだったわ。」
マサキ
「で、でも…」

「あなたが大学時代、断っても頑なに家に入れてくれていたお金、」
「実は助けられてた…。」
「本当は手を付けたくなかったんだけど、どうしてもお金が必要な時はそこから出してしまったわ。」
マサキ
「そんなの…当たり前だよ。」
通帳を取り出す母
「でも、できるだけ、残しておいたから。」
「家の初期費用分くらいしかなくって申し訳ないんだけど…。」
マサキ
「そんな!受け取れないよ…それに…」

「…」
12

「私を『一人で生きていけない可哀そうな人』って思ってるの?」
「なめないでよ~?」
マサキ
「…」

「女でも、中年でも、働いてるのよ?一人になったら気楽に別の部屋でも探して楽しくやるわよ。」
マサキ
「!」

「こ、こちらこそ…」
「ま、守ってあげられなくて…奪ってばかりで…ごめんなさいね。」
マサキ
「や、やめてよ。ずっと…」
≪俺はずっと守られてきたんだ…≫
にやりと笑う母
「就職祝いのスーツの代わりに、衣装買ってあげようか?」
マサキ
「ま、まだそんな、役とかまだまだ先で…」

「大丈夫よ。あなたなら。」
タイツを履いた右足を前に出すカット
13

「あなたなら、どこででもやっていける。」
美しい衣装を着て、舞台上でアラベスクをするマサキの見開きの絵
マサキ
「…」
14

「今、お母さん、生きてる時のお父さんより稼いでるのよ?」
マサキ
「ええ!?」

「お父さんってイケメンだったけど稼ぐ能力は無くてね~」
「結婚してからも実家から仕送りしてもらって贅沢して、ほんとどうしようもない人よね。」
マサキ
「お、お父さん…」

「優しいとこだけ似たのね~。良かったわ~。」
マサキ
「あ、あはあ、そうかな?」

「あ~でもこれからスタバのフラペチーノ飲めなくなるのね。」
「お母さん中毒だから困るわ~」
マサキ
「それは、ジンに持ってこさせるよ。」
母、マサキの後ろ姿。
マサキ(ジン、就職浪人するらしいよ)書き文字
母(あら!良いわね~!)書き文字
15
ナレーション
【そして、引っ越し当日…】
動きやすい服装のマサキのカット
「…」
「よお」
セットアップ姿のモエトが現れる。
マサキ
「なんだよその恰好!!」
「引っ越しする気あんのかよ!」
つづく
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