鬼殺隊 俺の生活柱『推し』
こんにちは。ゆきといいます。最近はせっかくのAdobe CCとMacbookを無駄にしたくないためデザインの勉強をしています。
例によって先日芥川賞を受賞した宇佐美りん先生の「推し、燃ゆ」を読了したので、私の推しについてちょっとお話しさせて欲しい。
逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。
作品が世に出た時から話題になっていた作品なのでどのような作品なのか知っている方が多くいらっしゃると思うが改めて説明すると、
”それを自分自身の生活の背骨であると称するほどアイドルの推しに心酔し、プロフィールなどからブログサイトで推しを「解釈」し、彼の目線で世の中をみることが好きだった16歳の高校生、あかり。そんな推しがある日突然炎上してしまい...”という話だ。
私にも今、フニャフニャした生活の支柱となってくれる背骨のような推しがいる。20代のラッパーの方だ。性別は男性。高身長で細身、まつ毛がとても長く目が大きい。
相反しがち・両立が難しいとされているMCバトルと楽曲制作でどちらでも高い評価を得ている。
バトルは遊び半分だったり、disられないためにとりあえずで出した出来合いの楽曲だったりではなくどちらも真剣に取り組んでいる。
正直推しという軽いニュアンスで使うことができる二文字で済ませたくないほど彼に対して様々な思いを抱いているが、ここでは便宜上”推し”とさせていただく。
推しはかっこいい。ほんっとうにかっこいい。顔もスタイルも服装も、紡ぐ言葉も、英語の発音がいいところも、SNSは宣伝ばかりで不用意な発言を一切しない賢いところも、そんなかっこいいのにたまに突然深夜にインスタライブをはじめてポケモンのよくわからない話やなんかのモノマネをほろ酔いで1時間近くところも、ヘラヘラしてよくわからないこと言うのに決めるとこはバッチリ決めるところとか、全てがかっこいい。
あまりアーティストに自分の理想を押し付けるものではないということも分かっている。所詮私はただのオタクで彼の表面的なとこしか知らないところもわかっている。それでも私は彼のことを知的で上品でお洒落でセンスと音楽素養があって努力家でいつもニコニコしていて明るくて友達思いでファンにも優しいと思っている。そんな私の推しは、本当に素敵な人間で素敵なアーティストだ。
推しのことを背骨、生活の支柱と表記したように私自身は本当にどうしようもない人間だ。自分のどうしようもなさをここに表記したらキリがないのであえて記さないが、18年間本当にしょうもない人生を過ごしてきた。弟は私の全てを反面教師にして育った正反対のエリートなので呼吸をしているだけで人生における全てのコンプレックスを刺激される。逃げる場所がどこにもない。
今の私はまさに臆病な自尊心と尊大な羞恥心の塊だ。多分近いうちに虎になって暴れ出すだろう。
李陵は元官僚のエリートだが私はせいぜい地元の公立中学から地元で3番目の高校で落ちぶれただけなので本当にプライドだけ高いただの性格の悪いひねくれたしょうもない虎予備軍人間だ。推しのような素敵な人間のことを応援していいのか、私のようなキラキラしていないファンは推しにとって不適当なんじゃないのか、推しに出会ってから時々考えてしまう。
そんな私も推しに出会ってから少しづつ毎日専門資格の勉強をしたり新しいバイトに応募したり、SNSでオフの日に遊べるほどの仲の良い彼のファンの友達ができたり、親の反対を押し切って髪も染めたしコンタクトをつけ始めたしメイクも上手くなった。フニャフニャした生活が少しづつしっかりしていっていることは間違いない。嫌なことがあっても彼の曲を聴いたり彼について考えたら心が軽くなる。
鬼殺隊、俺の生活柱、推し。品行方正でSNSの使い方が上手な推しが、みんなに愛されている推しが、炎上することなんて考えられない。ありえないとすら言える。でもそんな推しだって一人の人間なんだからいつかはなにかがあるのかもしれない。その時、心酔している推しがただの私と同じ人間だとわかった時、私はどうなるのだろうか。あかりのように、日常生活もまともに過ごせなくなるほど人の形状をした人のような何かになるのか。それとも案外冷めていて割り切ることができるのか。
今、緊急事態宣言によって地方に住んでいる私は以前に比べて推しや推しを通じて出会ったファンの友達に会うことができなくなった。今は都内に住んでいるファンの子や推しの曲を聴くこと、たまに開催されるインスタライブなどでなんとか正気を保っている。早くこの状況が終わって推しに会いに行けるようになったら、自己満足とはわかっているが早くありがとうと大好きを伝えたい。今日も明日も、私はあなたを推し続けるだろうから
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