憧れとキラキラと言葉の呪い
最近話題になっている「小学生の女の子のおしゃれ」。
ジェンダー的価値観からみた時の是非はともかく私はあの本の何が問題か全くわからないし自粛期間以前に紀伊国屋書店に行った時あの手の本を手に取り18歳ながら幼心を思い出してときめきを感じていた。
こんなもん小学生女子は憧れて当然だ。あんなもんセボンスターとなんら変わらない。
だって、恋愛もメイクも彼女たちからしたら「大人っぽくて、かっこいい」ものだから。
恋愛のリアルなんて情報源が少女漫画(私はちゃおっ娘でした)と青い鳥文庫か角川つばさ文庫とドラマにしかない小学4年生(これは私がこういう本を読みあさっていた年齢かつ一般的に女の子が自我や大人への憧れを抱き始める年齢)には知る由もない。
今思えば私が小学生の頃の周りの付き合うなんてせいぜい一緒に学校から帰るとか公園でポケモンするとか手繋ぐとかそんなもんだった。それでもドキドキしたし修学旅行の夜はやっぱり友達と好きな人が誰とかそんな話もした。大学生になった今考えるとバカバカしいガキだとは思うがそれでもあれは自分自身の内面においてとても大切な要素の一つだったように考えている。
化粧品なんてもっとそうだ。
私の女児アニメに対する知識はかなり乏しいものであるがプリキュアやおジャ魔女どれみ、セーラームーンなど東映系列の女児アニメの変身アイテムに香水やパウダーパフをモチーフにしたものがたくさんあるし小さい子供が変身アイテムを使って大人の女性に変化した時象徴的にリップが塗られることはもはやお約束である。ドキドキプリキュアのキュアエースなんかがそれの最たる例だろう。
いや、プリキュアより前から化粧やおしゃれに憧れを抱く女の子は存在する。
その代表例としてアンパンマンやディズニープリンセスを挙げよう。
少し前に友人と神戸にあるアンパンマンミュージアムを訪れた時にドキンちゃんのおしゃれブティックみたいなものがあったように記憶している。そこでアクセサリーを保護者と一緒に選んでいる女の子の楽しそうな顔は今でも忘れることはないだろう。
ディズニーランドに行くといつもドレスを着た女の子がいる。それが正規のブティックで施されたものであろうとトイザラスのドレスであろうとはたまたディズニーキャラのドレス風ワンピースであろうとめいいっぱいその日のためにおしゃれしてきた女の子たちは全員とても可愛らしかった。
前述したとおり私もこういう本を読んでドキドキしていた。140cmで身長は前から5番目。初潮もまだ来ていないしタンクトップもシナモンの布が二枚になっただけのものだったけど、確かに「大人」になりたかったのだ。
でも実際は可愛い服じゃなくてイオンの服だったしいち髪だった。自分のお金でシャンプーを選んで買えたのなんて高校生になってからだった。化粧品なんてもってのほかだ。ダイソーでリップグロスを買ったらお母さんにめちゃくちゃ怒られたしまともな美容用品なんてビオレの洗顔料くらいしか使っていなかった。
お洒落な服もノンシリコンシャンプーも化粧もできないけどあの手の本を読むことによって天然パーマのないサラサラの髪の毛でお洒落な服を着ている自分を想像して楽しんでいた。まるで塔に囚われたラプンツェルが読書で外の世界に思いを馳せていたように。
お洒落だけじゃない。恋愛だってそうだ。さしすせそやらおうむ返しやら真剣に受け取らなかった。少なくとも私は大人みたい!かっこいい!これドラマで見た!って調子で受け取っていた。中には真剣に実践する子もいるだろうが後々の黒歴史を早いうちに作ることで大人になってやらかさないようになるからむしろいいことだ。
何より私の腹が立ったのは件のツイートを見て「最近の女の子はませている」などと曰う人間がいること。やりたい時に自分のやりたいようにお洒落して何が悪い。
確か最初は小学2年生の時のクリスマスプレゼントにイオンやトイザラスで売ってる子供用のコスメボックスを親にお願いした時だった気がする。
その時から何度も何度も私はおしゃれをしたいと言う意思を親に話すと「最近の子はませてるね〜www」などと馬鹿にされた。
親にとっては何気ない言葉だったのだろうが小学生ながら普通に腹が立ったしお洒落=悪という価値観が根付いたまま成長したため高校生や大学生になって周りがおしゃれするような年齢になってもその価値観のせいで行動を起こせない部分が今もある。
私は今18の大学一年生だが親好みじゃないと文句を言われるのが怖いから自分一人で服を買うことができない。でも普通に文句言われずに着たい服きてる友達が羨ましくて悔しいと思ってしまう。
このような悲しき卑屈なモンスターをこれ以上生み出して欲しくないしこれからを生きる女の子立ちには堂々と着たい服や化粧、髪型をして欲しい。たとえそれが男ウケやモテのためだったとしても。
確かにジェンダーだったりルッキズム的観点から見たらあの本に書いている内容がかなり前時代的なものであることは否定はできない。でも、大人の価値観で子供たちの夢や憧れを奪わないでほしい。
セボンスターやサン宝石、プリキュアの変身シーン。私たちはいつだってキラキラした大人に憧れていたから。
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