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エッセイ / ハコカラに気をつけろ

昨日はでっかいイオンモールのなかにある映画館で、友人と映画を観てきた。檜原村の隣町にあるイオンモールだ。山形出身の友人が「俺の地元のイオンモールと、規模も中身もまったく一緒だ」と言ってなぜかエモがっていた……と言えば、その巨大さが伝わるだろうか。いやここ、一応東京なんだけどね。

映画館に向かうと、なぜか待合所に電話ボックスのようなものが2つあった。よく見るとそれは、「ハコカラ」という1人用のカラオケボックスだった。1曲100円。映画の上映開始まで15分ほど時間があったので、友人とそれぞれハコの中に入って1曲だけ歌うことにした。

私が歌ったのは、ポルノグラフィティの『サウダージ』。ポルノグラフィティは小学校~中学校の頃、大好きだったアーティストだ。私は声が低いので、女性アーティストの曲は高すぎて歌えず、代わりに高めの声をした男性アーティストの曲をよく歌う。久々のカラオケだったので、テンション高めに気持ちよく熱唱した。

歌い終わってハコから出ると、ひと足先に歌い終えていた友人が笑顔でソファに座って待っていた。ちょっと嫌な予感がしたので、「あのハコって、防音ちゃんとされてるのかな?」と聞いてみたら、「いや、声ダダ洩れだったよ。俺も一緒に歌いました、サウダージ」と言われた。ンン???あんだって??????絶望する私に、「あなた声量大きいからね。多分、映画館のスタッフの人たちにも聴こえてるレベル」と追い打ちをかける友人。

映画の時間が迫っていたので、入場ゲートに向かった。ああ、チケットもぎりをするスタッフの人の顔が見れない。恥ずかしすぎる。心の中で「サウダージャー」って呼ばれてるかもしれない。目を合わせずにチケットだけ出してそそくさと立ち去ったら、「お客さま、検温してください、検温」と言って呼び戻された。ちくしょう。

それにしても一体どういうことなんだろう。ああいうタイプのカラオケで最も重要なことって、防音じゃないのですか?もっとカラオケとしての自負を持つべきではないですか?被害者への責任は、どうやって取るおつもりですか?それでもご自分のことをカラオケと名乗る資格があると、あなた本当にお思いですか?

でも、歌ったのがサウダージでまだよかった。しっかり熱唱したい気分だったから、一瞬LiSAの『紅蓮華』を歌おうかと悩んでいたからだ。ああ、サウダージにしておいて本当によかった。もし紅蓮華がダダ洩れになっていたら、私は生まれて初めて「お嫁に行けない」という言葉を口にしていたかもしれない。

観た映画は、今年一番公開を楽しみにしていた『さかなのこ』。好きな監督の三本指に入る沖田修一監督の作品で、いつもながらとってもハートフルでユーモアに溢れた最高の作品だった。

ここで『さかなのこ』の感想を語ってもいいのだが、やっぱり今日は、それ以上にこのnoteでみんなに伝えておきたいことがある。

みんな、ハコカラには気をつけろ。

事故現場。撮影:友人


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