見出し画像

レビュー / 映画『gifted/ギフテッド』いい親とは悩み考え続けられる人 ★4.0

結論、子育てむずすぎんか。自分の人生にさえ迷ってしまう私たちに、自分以外の誰かの人生をうまく導くことなんて果たしてできるのか。

【あらすじ】
生まれて間もなく母親を亡くした7歳のメアリーは、独身の叔父フランクとフロリダの小さな町でささやかながら幸せな毎日を送っていた。しかし、メアリーに天才的な特別な才能が明らかになることで、静かな日々が揺らぎ始める。メアリーの特別扱いを頑なに拒むフランクのもとに、フランクの母イブリンが現れ、孫のメアリーに英才教育を施すため2人を引き離そうとする。そんな母に抵抗し、養育権をめぐる裁判にのぞんだフランクには、亡き姉から託されたある秘密があった。
引用:映画.com(https://eiga.com/movie/86935/)

でも、かつて「100分de名著」という番組で伊集院光がこんな名言を残していた。

「わからないなと諦める」ということは、「この人のことをもう知らなくていい」ということなので、完全な分断だと思うんです。そして、「答えが出た(完全にわかった)」ということは、そこで「偏見」が完成することだと思う。だから、一番大切なことは、「問い続ける」ことで、「よかれと思って言ったことがもしかしたら傷つけているかもしれない。じゃあ、こういう言い方をしたらどうなんだろうか」と思い続け、自分をバージョンアップし続けることではなんじゃないでしょうか。

だからきっと大事なのは、「いい子育て」をすることじゃなくて、問い続けて、悩み続けることなんだろうな。誰かの言ったことを盲信するのでも、自分の考えに固執するのでもなく、悩み考え続けること。そういう視点で見ると、フランクは間違いなく悩み考え続けた人だったし、だからこそいい親だと言えるんだと思った。さすが哲学者。私もいずれ親になりたいと考えているので、そこのところ大切にしたい。こうして自分なりの子育て哲学を養うためにも、家族ものの映画をたくさん見るのは大事そうだなと思う。

「ノブレス・オブリージュ」という言葉は、今まで大好きな言葉だったんだけど、この映画を見て、ちょっと違うかもなと思った。天才に生まれたならば、その才能は社会のために使うべき、でも、そのために自分の人生をすべて犠牲にしなくてはならないのか?というと、そうではないと思った。責任と権利のバランスが大事だね。

赤ちゃんが生まれる瞬間に立ち会うシーンが個人的には一番のハイライト!泣きましたね、昔はきっと、ああやってご近所の出産に立ち会うこととかが普通にあったんだろうなぁ。自分がどれだけ祝福されて生まれてきたかを実感する瞬間。現代でも、誕生と死の瞬間がもっと身近に触れられるものになったらいいのになぁって本当に思う。命への実感が失われすぎている気がするのよ(他ならぬ私がそう)。
地域の病院で赤ちゃんが生まれるとき、そして誰かが看取られるとき、その瞬間を親族だけに閉ざさず、地域全体にひらくことはできないものか。無関係の人でも、その場に立ち会うことができるような仕組みができないものか。そんなことを考えたりした。

なんてったってメアリーちゃん可愛すぎ天使でした、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?