剣豪

「憲剛が伝えたい『止まること』の大切さ」 Catorce 中村憲剛② ~THE INTERVIEWより~

こんばんは、アヴァンテです。

先日書いた記事ですが、Catorceの小澤一郎さん(Twitterアカウント→@ichiroozawa)にツイートで紹介いただいたこともありまして、僕のこれまで書いた記事の中で最も読まれた記事となりました。そこで、僕がCatorceの憲剛へのインタビューで感じたもう1つのことについて記事にすることにしました。

テーマは「止まる」です。憲剛はこのインタビューで繰り返し「止まる」という言葉を多用してました。憲剛にとって、そしてサッカーにとって、「止まる」ことがどういった意味を持つのでしょうか。

そもそも、なぜ僕が「止まる」に注目しているのか。
僕は高校まで部活動でサッカーをやっていて、プレイヤーとしての実績は出せませんでしたが、優秀な指導者と巡り会うことが出来ました。そして、その指導者に試合中言われ続けたことが「止まれ」なのです。

このツイートでも述べたように、まだまだ日本サッカー界で「止まる」ことの価値が伝わっているとは言いがたい状況です。今回の記事では、少しでも「止まる」の価値が皆さんに伝えられればと思います。


◎相手がいてもいなくても仕事ができる選手になりたい


今回の記事は以下の動画で語られていたことを中心に話を展開していきたいと思います。

こちらの動画で憲剛が最初に語ったことは、
「ボールに触っていなくても相手に影響を与えられる」
ことです。

動画にあった作戦ボードを手書きで示してみました。憲剛が動画内で言っていたエリアは赤線で示したエリアです。赤の14番が動画内で話題に上がり続けたイニエスタとしています。憲剛は赤いエリアに存在しているだけでいいということを繰り返し伝えていました。なぜなのでしょう。

それは、赤いエリアで憲剛をフリーにさせることが相手にとっての致命傷だから、です。憲剛をフリーにはさせたくないので、相手は事前にシステムを変更したり、試合の状況の中でSBが出ることもあればウィングが対応することもCBが出ることも時にはあると思います。そうすると、憲剛へ対応しにきた選手がもともと守っていたスペースが空いてくるのです。

そのスペースを使ってチームとしてボールを動かして、その後にもっとゴールに近い位置へ動き直すことが出来れば、憲剛はもっとゴールに近くて良い位置でボールを受けることが出来ます。これが「ボールに触っていなくても相手に影響を与えられる」プレーなのです。

しかし、「それを理解されないことが多いんです、お前ボール触ってないじゃないかって。でもそこにいることが大事で、その結果他で崩れていることをなかなかわかってもらえない。」と憲剛は動画で言及しています。この頭の中の理解の違いが、世界と日本の1つの決定的な差と言えるでしょう。

さらに憲剛は、

「イニエスタもずっとここ(赤いエリア)にいた。上海上港のオスカル(元ブラジル代表MF)もここをふらふらしていた。そこにフリーでいれられたら終わりなので、相手DFが動くことを知っているんです。だから、イニエスタはピッチ上全体をふらふらする訳ではなく、ここにずっといる。けど、日本人ってみんな動くんですよ。」

と言及しました。憲剛自身もこの考え方がなかなか理解されないことをもどかしく感じているのではないかと思います。この記事を読んでくださっている皆さんにも、いまいちよく分からないという方がいても不思議ではないと思うので、憲剛が動画で言及していたダビド・シルバとフロンターレの話を紹介します。

◎シティとダビド・シルバ


憲剛はマンチェスター・シティの話題になった際に、ダビド・シルバの立ち位置の素晴らしさについて語っていました。

「ダビド・シルバの立ち位置が絶妙すぎるんですよ。ポケット(下図の赤線エリア)に侵入できたら王手なんですけども、そこの前で止まって受けるのが絶妙なんですよ。相手のポジションの重心の真ん中に立って、ボールを受けなくても相手が動くので別の味方にボールが入って、その後動き直してペナルティエリアに侵入もできる。シティはこのパターンでの得点がほとんど何ですよね。」

↑こちらがポケットの説明図。

それから、フェルナンジーニョについても

「フェルナンジーニョはかなり変わりましたね。(戸田さんの、前は動く選手だったからね、に対して)我慢することで世界が変わるんだなということをベップから教えてもらったんだと思う。そして、変化を楽しんでいる。」

と言及しています。
マンチェスター・シティの選手のプレーにも「止まる」という原則に従って立ち位置が決定されていることが分かるお話でした。

◎川崎フロンターレ


川崎フロンターレのサッカーについては、憲剛は以下のようなコメントを残しています。

・川崎フロンターレがビュンビュン動かなくてもボールを握れるチームになってきている。
・ごちゃごちゃとした時(家長が右から左にやってきた場面など)に、いないところに立てるような感覚が持てる選手が多くなってきた。(登里など)

そして、フロンターレの選手の中では家長、田中碧のボールの受け方について言及していました。

・いろんな場所に動かずに、その立ち位置に存在することが大事。田中碧とかはどうしてもガチャガチャ動きたがるので、「止まれ。そこにいればいいから。」と言う。憲剛だけではなく、家長や阿部ちゃんも言えるので、碧自身の飲み込みも早い。
・家長はレシーバーとしての自分を自覚したため、スプリントの回数も増えた。SB裏へのスプリントをするので、止まった時にすごい時間ができる。そしてその立ち位置も良い。

このように、憲剛の「止まって受ける」という考え方が川崎フロンターレの選手にも染み渡り、それがチームの色になっていることが分かります。


◎最後に


今回の記事では、「止まる」をテーマとしてCatorceの憲剛のインタビューを違った形で表現させていただきました。皆さん楽しんでいただけたでしょうか?

最後に紹介したいのが以前川崎フロンターレの監督を務めていた風間八宏氏のことです。僕のアカウント名にもある通り、彼のサッカーを表すには「止める」「蹴る」「外す」「受ける」といった言葉が使われます。

今回の記事で書いた「止まる」は、「受ける」ための方法です。ここでは風間さんの「受ける」について書かれた記事を紹介しますが、風間さんが憲剛のサッカー観に大きく影響を与えていることが分かります。

憲剛と風間さん。日本のサッカーファンの方にも好き嫌いは当然ありますが、この2人が話していることはサッカーの原理・原則の話です。算数で例えるなら"四則演算"と言っても過言ではないかと思います。

僕は早く日本サッカー界から「ボールを受けるためには、たくさん走ること!」という考え方が消えて欲しいと切に願っています。この記事を出来るだけ多くの人に読んでもらって、少しでも考え方が変わるきっかけになればなと思います。


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