セスク

「さらば、セスク・ファブレガス」18-19シーズンプレミアリーグ21節 チェルシーvsサウサンプトン

日本時間の1月4日午前5時に行われたプレミアリーグ第21節、チェルシーvsサウサンプトンの試合はスコアレスドローに終わりました。

そして、この試合が皮肉にもセスク・ファブレガスがチェルシーで出場する最後の試合になってしまいました。

このレビューでは、サウサンプトンの作戦とチェルシーがどのような攻め方を狙ったのかについて書いたのちに、セスクが与えていた影響と、いなくなってしまった後の影響についても書いていきたいと思います。

1.なぜサウサンプトンが守りきれたのか
2.チェルシーは何を狙っていたのか
3.セスクがチェルシーに与えた影響

1.なぜサウサンプトンが守りきれたのか


モラタがゴールネットを揺らしたシーンや、アロンソのPK疑惑のシーンなど怪しいシーンもありましたが、この試合でのサウサンプトンの守備は素晴らしかったと思います。

サウサンプトンは、チェルシーが自陣でボールを回している時は3-4-3、相手陣地でボールを回している時は5-4-1にフォーメーションを変更して対応していました。

前半は外に開くチェルシーのIH(カンテとバークリー)に簡単にボールを通させてしまったため、対応が後手になってしまい、CBの前のスペースでチェルシーの選手に前向きでボールを持たれることが増えました。

しかし、後半はそのコースを切りながら守備をしつつ、縦パスに対して3CBを中心に体をぶつけてインターセプトor前を向かせない守備を徹底して行ったため、ボールを奪ってカウンターを仕掛けるシーンも増えました。MOMに選出された吉田の守備は特に素晴らしく、味方選手が破られた際のカバーリングの位置も完璧だったため、決定的なシュートを打たれるシーンはほとんどなかったのではないかと思います。

前半と後半に1度ずつアザールに決定機が訪れましたが、マッカーシーに変わってスタメンを勝ち取ったGKガンの素晴らしいポジショニングとセービングでゴールを守りました。

サウサンプトンは90分間走り続けてプレッシャーをかけ続けて、チェルシーの生命線であるアザールの得点を防ぐために、モラタを徹底的に潰してアザールの侵入回数を減らすことが出来たので、勝ち点1を持ち帰ることに成功したのではないかと思います。


2.チェルシーは何を狙っていたのか


チェルシーですが、内容的にはそこまで悪くなかったと思います。得点が奪えなかった理由は、アザールがペナルティエリア内でシュートが打てるチャンスを数多く作れなかったことにあるので、アザールに頼らずに得点が奪えるメカニズムをチーム全体で作っていかなければ今後も同じような試合を展開することになると思います。

僕はこの試合はチェルシーのインサイドハーフ(カンテ、バークリー)に注目して試合を見ていました。すると、アザールに頼らずに得点が奪えるメカニズムを作ろうとしているサッリの狙いが垣間見えたので、そこについて言及したいと思います。

チェルシーのインサイドハーフは2つの特徴的な動きをします。
①味方SBがボールを持った時、最初の立ち位置からサイドラインまで流れる動き
②味方WGがSBをピン留めして出来たCB-SB間のスペースへ裏抜けする。

カンテについてはここ数試合でオフザボールの動きが格段に向上していて、年末のクリスタルパレス戦では②の動きから決勝点を獲得しました。①の動きに関しても、ウィリアンと被らないように自陣・相手陣地双方でサイドに流れる動きを使って味方に中央のスペースを与える役割を果たしていました(動画は後ほどTwitterで更新)。

一方で、バークリーはハーフスペースのポジションを守ってプレー出来る長所がありますが、ゴール前まで入っていく動きの回数とタイミングには課題があります。サッリの指導なのか周りの選手から学んだのかは分かりませんが、バークリーからこのような動きが見られるようになったのは1つの収穫になります。

しかし、IHにやってほしいオフザボールの動きはもう1つあります。今シーズン始めからIHを担う選手は多くいましたが、どの選手もトライできていない動きがあります。それを、セスク・ファブレガスは当たり前のように披露して見せたのです。ここからはセスクのことについて書きます。


3.セスクがチェルシーに与えた影響


昨日1月3日にセスク・ファブレガスがモナコに移籍することが決定的となる報道が出ました。セスクのプレーが大好きな僕にとっては本当に悲しいニュースとなりました。

12月のレビューでも書きましたが、セスクの長所はジョルジーニョには出来ないプレーが出来ることです。

動画を見てもわかるように、ボールを扱う技術の高さ・視野の広さ・中距離パスの精度。ポジションを守ってプレー出来る点や、守備の面でジョルジーニョに劣る部分であるものの、セスクの攻撃センスとゴールに直結させるために逆算されたプレーは僕の心を突き動かすものでした。

そして、この試合でミスの多かったバークリーと交代して、おそらく今季初めてインサイドハーフとしてセスクはピッチに立ちました。

僕の願いも叶ってインサイドハーフで出場したセスクですが、先ほど紹介したインサイドハーフにやってほしいもう1つの動きを彼はやってくれました

③味方WGと平行かつハーフスペースに止まり、ポケット(ペナルティエリアとゴールエリアの間にある横のスペース)侵入を試みる。

この動きですが、マンチェスター・シティに所属するダビド・シルバが得意とするボールの受け方です。このポジションに止まってボールを受けられる選手はなかなかいませんが、バルセロナ時代にこのポジションを経験していたセスクは当たり前のようにこのようなボールの受け方をしていました。

そして、この受け方が出来るチェルシーの選手は現状いません。カンテは止まってボールを受けるのが得意ではないですし、コバチッチもバークリーほどではないですが、まだまだポジション取りが低いのでここまで入ってこれません。


繰り返しになりますが、チェルシーがセスクを失ったのは本当に痛いと思います。サウサンプトンが徹底的にアザールを消していても、セスクがゴールに向かうことが出来るので、セスク投入後にモラタのオフサイドも演出されました。この動きを練習で仲間に継承できないことが、後半の戦い方に大きく響いてきます。

まだ冬の移籍マーケットは動いていて、デニススアレスの獲得が噂されるなどセスクの後釜探しも話題になっています。個人的な見解を述べると、③の動きが染み付いているインサイドハーフの獲得にチェルシーのフロントは挑んでほしいと思います。

セスク放出に対してのフロントの動きと、セスクが不在となった後半のチェルシの戦い方、そして、怪我人が増え始めてきた中でサッリがどのように試合に向けて準備していくのか。注目して見ていきたいと思います。

あなたのサポートによって僕のインプットは爆速的に上がります。それを読んでくださる皆さんにアウトプットでお返しします!御恩と奉公👍