製品ライフサイクルと戦略策定

製品ライフサイクルとは、「製品が市場導入されてから製品が廃れ、撤退するまでの流れを、人の一生(ライフサイクル)になぞらえた考え方」である。

製品ライフサイクルは、基本的に4つの段階を辿る。以下で紹介していく。

①導入期
→製品が市場に導入されて間もない状態。導入期における基本戦略は「プロモーション戦略によるブランド認知」である。製品が購入されるまでのプロセスを体系的に表すブランドカテゴライゼーションによると、①知名集合→②処理集合→③想起集合、つまり、「知られているか」→「興味を持たれているか」→「選ばれるか」という流れがある。そのうちの最初のステップである知名集合に入ることが導入期にとるべき戦略である。

②成長期
→①の導入期で、自社ブランドの製品をプロモーションすると、市場にある程度自社ブランドの存在を知っている消費者が増えているだろう。知ってもらったら、次は「興味を持ってもらうこと」が戦略となり、具体的には、「競合に負けないブランドロイヤルティの育成」が、成熟期の基本戦略となる。
ブランドロイヤルティの育成方法を簡単に2つ挙げると、①獲得した顧客への特権の提供と②ブランディング(ブランドイメージの維持、向上)となる。

③成熟期
→②の成長期が終わると、成熟期への突入する。この段階では既に市場の成長率は鈍化してくるだろう。そうなると、引き続きブランドロイヤルティの育成と、「明確なブランドポジションの確立」が、成熟期における基本戦略となる。ブランドロイヤルティを高めることのメリットは、①価格競争をしなくて済み、高い利益率に設定できること②継続購入を狙うことができ、ブランドスイッチされにくいこと③顧客が勝手に良い口コミを宣伝してくれること、などが挙げられる。

④衰退期
→③の成熟期が終わる頃には、市場の成長は完全に衰え、いよいよ製品は衰退期を迎える。
ここから自社ブランドのプロモーションを行なってもなかなか良い効果は期待できないため、衰退期での基本戦略は、「製品のモデルチェンジ」、もしくは「撤退戦略」となる。

ここまで①〜④の製品ライフサイクルを紹介してきたが、1つ注意しなければならないポイントがある。
それは、「製品の売れ行きが悪くなるのは、必ずしも衰退期が来たからとは限らないということ」である。言い換えると、「不適切な方法でマーケティングを行ってしまっていることによる売上の低下」ということも考えなくてはならない。

また、Apple社の「iPhone」が定期的にモデルチェンジを繰り返しているが、あれは「計画的陳腐化」と言って、製品のライフサイクルを「意図的に短縮」させて、需要喚起をしているのだ。意図的に短縮させるというのは、「不良品を出す」ということではなく、「機能のより優れた新しいモデルを投入することにより、現在出回っているものが劣っている」と消費者に認知させ、旨味のある市場、すなわち「新しいモノ好き」な消費者層を取り込むという立派な戦略である。

この計画的陳腐化という戦略をとれるのは、例に挙げたApple社のiPhoneが、強いブランドロイヤルティを構築できているからであり、これが、ブランドロイヤルティを高めることで享受できるメリットの一つ、「高い利益率に設定できる」ということなのである。

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