ヒーローになることを諦めたくない【『フリー・ガイ』映画感想文】
わたしの勝負弱さは幼稚園の頃から始まっている。人生初めてのおゆうぎ会、演目は「浦島太郎」
役を決めるとき、希望者多数の役はジャンケンになるのだけど、ここでわたしは敗北を喫したのだ。
仲の良かった友達3人は織姫様の手下みたいな役に決まり可愛い衣装で舞っていた。同じマンションの友達はミニモニの衣装で超可愛く踊っていた。
双子の弟は浜崎あゆみ『evolution』のダンスで、振り付けをアレンジして観客を沸かしていた笑
一方、織姫様の手下役から漏れたわたしは「鯛」だ。魚の鯛、めでたい鯛だ。
頭に画用紙で作られた真っ赤な鯛をつけて、何やらナレーションと浦島太郎を歓迎する踊りをした。
スポットライトが当たるのはこの先も自分ではないんじゃないか、という意識が芽生えたのはこの頃だろう。
前述のevolutionで観客を沸かせていた双子の弟の存在は大きいかもしれない。
可愛げと瞬足を持ち合わせた弟。幼い頃はバレンタインチョコを抱え切れないほどもらっていた。
少年サッカーでは5人抜きからのゴールを決め、チームのお母さん方から大絶賛されて、わたしの鼻も高かった。
赤ちゃんの頃のわたしはどうしようもなくギャン泣きし続け、弟は大人しかったようだ。双子でなぜここまで違うのか。
昔から場を和ませ注目を集めていたのは、口達者で生意気でしっかり者のお姉ちゃんを演じていたわたしよりも、当然おちゃらけキャラでちょっとアホな弟だった。
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昨日『フリー・ガイ』という映画を観た。
毎日同じ退屈な生活をおくるゲームのモブ(背景)キャラが、プログラムを無視して人生を変えていく。自分自身でヒーローになっていく物語だ。
ゲームをやらないわたしでもすごく笑えるのに、めちゃめちゃメッセージ性があってうるっともきた。
自分の人生の主人公は自分だ。
いや、そうなんだけど、やはり天性の人気者・愛されキャラというのは存在する。
映画内に、銃を構えられた時に備えて常に両手を挙げているキャラクターが登場する。
「(この世界が平和だったとしても)もし銃を構えられたらどうする?だったら挙げておいた方が楽」みたいなことを言うのだ。
変化や傷つくことを恐れて、または思い込んで、いろいろ諦め屈する人生は悲しい。たとえスーパーヒーローになれなくても、少なくともわたしは挙げた両手を下げることくらいはしていきたいと思った。
ぜんぜん関係ないが、わたしが敬愛する元テレ東プロデューサー佐久間宣行さんがオールナイトニッポンでおゆうぎ会の話をしていた。
なんと佐久間さんも浦島太郎で「鯛」の役を演じたそうだ。しかも今でも覚えている苦い思い出として語っていた。
それを聞いてわたしの「鯛」も何だか少し昇華された気がしたから、もともと大した問題ではないのだと思う。
ちなみに浦島太郎の次の年、弟が主役のシンバ役を演じた『ライオンキング』
わたしの役は「ゾウ」だった。いま気付いたけれど、わたしこれきっとジャンケンが激弱いのであるwwww
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