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2021.4.28 YBCルヴァンカップGS第4節ヴィッセル神戸VS大分トリニータ マッチレビュー

ルヴァンカップも折り返しを迎え、第4節を迎えた。3試合を終えて勝ち点3とGS突破に向けて3試合で2勝は必要となる。そのなかで今節迎えたホーム大分戦はスコアレスドロー。痛い引き分けとなってしまった。

[スターティングメンバー]

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神戸と大分はいつも通りターンオーバーを行った。しかし、いつもは中坂がルヴァンではこのポジションに入っているが今節は井上が起用された。また、怪我から復帰した飯倉が今期初出場となった。

[春の櫻井パス祭りも無得点]

序盤からペースを握ったのは神戸だった。神戸のビルドアップは前川の代わりに飯倉が起用されたこともあり、FPの位置まで出てきてビルドアップに参加する従来の形に。

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そのため大分が10人で守るのに対し、神戸は11人でビルドアップを行うのでこの時点で数的優位となる。大分の前3枚がGK+2CBの付くので中盤2枚がSB+CHの4枚を同時に見ることとなる。神戸のSBにはWBが付いていくので初瀬と櫻内にはかなりの時間とスペースが供給されていた。そしてアウェー大分戦と大きく違うのは井上が起用されていたことだ。ボール受けるタイミングや味方を上手く使える井上が入ったことで大分の選手は神戸の中盤を捕まえることが出来なかった。井上が中盤に入ることで数的優位を作り、初瀬は櫻井、井上、小田、藤本へのパスコースが選択できる形となった。

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WBをつり出すことでそのスペースに小田もしくは藤本が入り、ボールを受けることで相手のラインを下げさせる。そこから中央の櫻井を経由して逆サイドの櫻内まで運ぶのが神戸のビルドアップのパターンだった。特に櫻井のフィードは正確性はさることながら低い弾道で味方に渡されるため大分にスライドする時間を与えないことでズレを作っていった。

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前半33分には初瀬が中央の櫻井を経由して裏抜けしたシーンが見られた。相手を引きつけることで空いたスペースを利用することが出来た。特に井上を起用した効果が出ていたように思う。初瀬がボールを受けた際、井上が周りを見ながらボールを受けに来る。そこに上夷だけでなく、弓場も食いついてしまったために櫻井が瞬間的にフリーとなった。そこを見逃さず初瀬がノールック入れることでワンタッチで剥がすことに成功した。小林も下がることで中央のスペースを確保したことも瞬間的にフリーになった要因だろう。

しかし、結果的にゴールを奪うことが出来ずに前半を終えてしまう。ゴール前まで迫るも決定力を欠いてしたことで自分達が完全に試合を運べたとは言いがたいのだろう。その原因の1つにクロスに合わせることが出来ていないというのがある。外からのクロスというのが主体となっていたが中央に入り込むのは藤本、小田と言ったヘディングを得意とする選手ではない。そのために序盤の小田がクロスに合わせたシーンも本来なら枠に飛ばして欲しいところであるが相手GKを驚異にさらすようなシュートを放つことが出来ていなかった。アタッキングサードでの崩しはもう少し工夫が必要であったように思う。

[後半、神戸ペースも、、、]

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後半、大分は中央の櫻井に対してトップの藤本が寄せに行くことでビルドアップの阻害を図ることに。

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それに対して神戸はシンプルに背後を狙う形を取る。増山が背後を狙うと同時にその空いたスペースにトップの選手が受けに来る。また、逆サイドのFWが背後をフリーランすることで相手のラインを下げることも。しかし、その後がなかなか収まらずシュートまで持って行くことが出来ない。

ビルドアップでは大外にアプローチをかけてくる大分に対して大﨑と飯倉を起用した効果が発揮される。

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後半10分、櫻内にボールが入るとすかさず福森と井上が寄せに来る。それに対して大﨑が中央に移動することでパスコースを確保。そのまま井上を引きつけながら飯倉にバックパスを選択すると飯倉は直ぐさま安井につける。中央のこの時、大分の長谷川は増山が中盤に降りてくるのを察知し、下がる。しかし、下がったことにより安井がフリーで受けることに成功し、見事1stラインを突破した。フィンク期に見られたようなビルドアップの形で相手を難なく崩すことに成功。このまま相手を押し下げ、最後は井上のシュートで終わっていることを見てもこのようなビルドアップに懐かしさを覚えた。

このまま点が取れるのも時間の問題を思いきや後半15分に2枚目のイエローカードで増山が退場してしまう。神戸は一人少ない状態で戦うことになり、徐々に大分にもボールを握られるようになってしまった。増山の退場に関してはやや厳しい判定だったようにも思う。その一方で同じプレーから連続でカードをもらったことはいただけない。時間や試合状況を考えても冷静にプレーを選んで欲しかったところではある。次回の出場に向けて大いに反省はして欲しいところではある。

[リンコンのプレースタイル]

リーグ鹿島戦で日本での公式戦初出場となったリンコンだが時間も短い中での出場に留まり、どのようなプレースタイルなのか明確ではなかった。だが、この試合でそのプレースタイルが明らかになっていった。

ブラジル人によくあるエゴイスティックなプレーを披露するのかと思いきや周りを使いながらポストプレーを行う選手だった。イメージとのギャップには多少驚いたもののポストプレーの安定度やボールを受けるタイミングなどを見るとこれから大いに期待できるに違いない。FPプレイヤーが一人少ない状況であったことと公式戦から遠ざかっていたことでコンディションがまだまだであることを加味するとこの試合で見せたプレーは限定的なものであると感じる。なのでこれからコンディションが上がっていけば神戸としては大きな戦力になるのではないだろうか。退場者を出してしまうと言うアクシデントもあり、試合はこのままスコアレドローで終了。ここ最近点が取れていないという課題は解消されておらず、GS突破にも暗雲が垂れ込める状況となった。

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[まとめ]

ここまでGS第4節まで終えて勝ち点4。勝ち点を積んだのは大分戦のみとかなり厳しい状況にある。と言うのもルヴァンカップは勝ち点が同じである場合、直接対決での結果が加味される。FC東京は現時点でGS突破が決定したので残りの1枠を神戸、徳島、大分の3チームで争うことになったのだが神戸は徳島に一度負けているため、次のFC東京戦と徳島戦で必ず2勝しなければならない。これまでの試合内容ではその2チームに内容含めて完敗であっただけにかなり厳しいものと言える。しかし、可能性が残っている以上、そこに向けて全力で勝ち行かなければならない。サポーターは勝つことを祈り、応援するだけではあるが緊急事態宣言によりFC東京戦を無観客で行うことが決定している。直接応援することは出来ないがGS突破出来ることを祈るのみである。

ヴィッセル神戸0-0大分トリニータ

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