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2021.5.26 明治安田生命J1リーグ 第16節 柏レイソルVSヴィッセル神戸 マッチレビュー

前節3敗目を喫した浦和戦から中3日で行われたアウェー柏レイソル戦。このスタジアムで勝った記憶が全くないほど苦手としている。しかし、4試合ぶりの複数得点そして勝利となった。

[スターティングメンバー]

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神戸はサンペールと前川がスタメンに復帰。ドウグラスが川崎戦以来の復帰となった。リンコンとイニエスタ、マシカはベンチ外となっておりメンチメンバーの層は日本人のみで構成されていた。切り札と言うところでは少しインパクトには欠けるため試合の状況ではカードが切りにくいことも考えられた。

[柏の起点の作り方]

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柏は最終ラインからのフィードで起点を作っていく。左は細谷、右はクリスティアーノが背後へランニングしてボールを収める。特に左は仲間が内に入って細谷が山川の背後を突くのが1番ベターな方法だと感じた。背後へのロングボールを可能にするために開始直後から椎橋が最終ラインに落ちて両脇をフリーにする。江坂は中央に陣取って厚みをもたらすことに。

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神戸の攻略法としては菊池を外につり出して中央の強度を落とすやり方。セレッソ戦での失点シーンも菊池がつり出されたところから坂元にヘッドでやられた。柏も前半19分に古賀がファーへクロスをあげゴールラインを割ってしまうシーンがある。このシーンも仲間が背後へランニングして古賀からパスを受け、菊池を釣りだした。仲間が再度、古賀にボールを送り、クロスをあげる。ファーには酒井1人に対して川口とクリスティアーノで数的優位を作っていたので上手く合わせれば決定的なチャンスとなっていたかもしれない。

ロングボールでの起点を中心に前進を試みていた柏のキーマンはおそらく細谷。しかし、対峙するのが菊池だったこともあり、なかなか前を向くチャンスをもらえなかった。そこで柏は飲水開けの修正として古賀が中央へ切り込んでプレスの回避を試みた。

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前半29分のシーンだが、郷家を寄せてきたところから上手く中央に侵入し椎橋、江坂と中央を突破し仲間まで繋いだ。こうなると神戸としても上手くハメられることが出来なくなり柏が攻める時間が続いた。アタッキングサードまで持って行ったところから細谷と江坂の怖さがあまりなかったのは神戸側としては助けられた部分だった。

[復活のドグボール]

この試合神戸に攻撃面での厚みをもたらしたのはドウグラスの存在だった。ロングボールでのターゲットマン、ポストプレー、アタッキングサードでのフィニッシャーと多岐に渡る役割をこなしてくれるため今の神戸に取って欠かせない存在の1人である。特にこの試合では彼を活かすことが神戸としてのプランだったはず。

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前半21分に見せたようなシーンがドウグラスの活かし方の一つで背後の広大なスペースに彼を走らせ、起点を作る。菊池から郷家がサンペールに落としてスペースに楔を入れる。そこにドウグラスが走り込む。惜しくもボールが流れてしまいゴールラインを割ってしまったが繋がれば大きなチャンスになることは間違いなかっただろう。左サイドでもドウグラス背後へフリーランするプレーは見られたので狙いの一つだったように思う。

そのドウグラスを活かして後半開始30秒で先制点を奪う。

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得点シーンは古橋が仕掛けて左足のクロスをあげる。ファーに詰めていたドウグラスが中央に折り返し、最後は郷家がゴールにネットに突き刺した。古橋がクロスをあげるところから郷家とドウグラスがポジションを入れ替え、相手のマークを剥がしたことがこのゴールを生んだポイントだったと思う。今までクロスをあげるシーン何度もあったがドウグラスのような高さのある選手が居なかったため得点に繋がらなかった。やっとこの試合で実を結び得点につなげることが出来た。その期待に早くも応えたドウグラスも素晴らしかったと思う。

その6分後にドウグラスと山口を起点に追加点を奪う。オウンゴールとなったがドウグラスのパスから山口が受けた時点でほぼ勝負ありという形だった。得点こそ無かったものの2得点に絡む活躍を見せたドウグラス。ボール保持にこだわらずに得点を取るならドウグラスと古橋のコンビは強い思うので三浦監督の下では重宝されると思うし、必要不可欠な存在だと思う。

[インパクトを与える菊池の存在]

良くも悪くもこの試合で目立っていた菊池。(いつも声で目立っているけど。)彼の咆哮は見る物にインパクトを与えるし、それが多くのところで影響するのは間違いない。神戸サポなら頼もしいし、相手選手やサポーターなら普通に嫌だし、ウザいとは思う。(笑)

だけどそんな菊池にサポーターが心を動かされるのは愚直に努力し続ける姿勢だと思う。それを目に見える形で表現出来ていることも彼の能力だと感じるから。浦和戦でビルドアップに苦しんだ菊池はこの試合で自ら運んで起点を作ることをかなり意識していた。

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特に逆サイドへのフィード。通らなかったものの質は良かったし、あとはタイミングと微調整を繰り返していけば繋がると感じた。

出来なかったとしても出来るように直ぐに取り組んでいる姿勢は好感が持てるし、応援したくなる。今シーズンから主力として出場している分、ピッチ上で感じることは多いのかもしれない。対人、空中戦では圧倒的な能力を持っているので足下も強化し、ディフェンダーとして突き抜ける存在になって欲しいと思う。

[まとめ]

セットプレーから1点返されたが追加点を許すことなく逃げ切り、4試合ぶりの白星を得た。勝てたことは残留に繋がる大きな一歩となる反面、サンペールが居なくなったあとの試合の進め方や右サイドの攻撃における課題を以前残したまま。前から強烈にプレスが来ているわけでもないのにアタッキングサードまで持って行く回数は少ないし、前への意識が強いためボールをカットされると相手のチャンスに変わってしまうようなゲーム展開はボールを握りたいチームのサッカーでは無い。スタイルの継続を明言している以上口酸っぱく言わなければならないところなのでここへの改善は強く求めたい。選手の頑張りにしか期待出来ないサッカーを、掲げているスタイルの下では美化することを許せないし、自らオープンな展開に持ち込み相手にチャンスを与えているようではその道のりは後退し続ける一方である。怪我人が出てきている中で非効率的なサッカーは致命傷となり得るし、それを望んではいない。

柏レイソル1-2ヴィッセル神戸

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