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【米国株】信念補強/検証型思考

今回は具体的な投資の手法ではなく、その背景の考え方について書きたいと思います。

まず最初に二つ、キーワードを提示します。それは「信念補強型思考」と「信念検証型思考」です。

信念補強型思考とは、自分の感じた第一印象を疑うことなく、むしろそれを補強するように情報を集め、正当化する理屈を考える思考です。

信念検証型思考とは、自分の感じた第一印象を鵜呑みにせず、それは何を土台にしているものなのか、内省することによって自分の感じたことの妥当性を検証する思考です。

そして、僕は常々、自分の思考の動きは補強型になっていないか?ちゃんと検証型にできているか?と気にかけています。投資するにあたって、信念補強型思考では上手くいかないと考えているからです。

具体的な事例をもとに説明します。

よくX(旧Twitter)の投資界隈にこういう人、いないでしょうか。
「テスラしか勝たん!」と言って、株価に関係ない些細なニュースまで取り上げて「やっぱりTSLAは凄い」と発信している人。ZM株やPLTR株、レバレッジ商品(レバナス、SOXL、TMFなど)でもこういう人がいます。

逆に、「アメリカは崩壊する!」とか「リーマンショックの再来が来る!」と決めつけて、経済を不安視することばかり発信している人。

これらはかなり極端な事例だと思われますが、普通の投資家とは無関係ではありません。

〈よくある例1〉
自身の持ち株が予想に反して悪い決算を出して急落したとき、セオリー通りなら即売却すべきですが、「いや、自分の惚れ込んだ銘柄が悪い決算を出すはずがない、売ってるやつは分かっていない」と決めつける。

ほらこの数字は良いじゃないか、あのインフルエンサーは良い決算と言っていたぞ、と自分の都合の良いように情報を取捨選択して、売らないという選択を正当化する。

〈よくある例2〉
海外の大手銀行が破綻しそう、どこそこの地域で戦争になりそう、とんでもない人が大統領になりそう、といった悪材料と思われそうなニュースが出たとき、怖くなってしまう。その関連するニュース記事や恐怖を煽る投資インフルエンサーの言うことばっかりを聞いて、やっぱり今売り逃げておくことが賢明と考えて株を売る。

しかし、これでは考えていないのと同じです。結局、自分の第一印象と同じ投資行動をとってしまうのですから。

信念検証型では、内省によって第一印象の背後を、◯◯したい、◯◯したくないといった自分の欲の部分まで振り返ります。そこまでしか振り返れないからです。実際に誰もが確認することが可能です。

〈例1〉では、「決算は悪くない」という第一印象がありますが、その背景は大抵こうでしょう。ここで売りなら自分の思い描いていた成功ストーリー(この株が10倍になったら大金持ちになれる!)が崩れてしまう、それは都合が悪い、だから悪い決算だと認めたくない。

しかし、儲けたい、損したくないという欲も同時に存在しているはずです。投資家ならこちらの欲の方を大切にするはず。

悪い決算は売り(機関投資家が怒涛の売りを浴びせてズルズル株価が下がる可能性が高いため)というルールに従った方が、損失を小さくできる。

そのことを踏まえた上で、悪い決算だと認めたくないという欲を優先することは、より根本的な欲(儲けたい、損したくない)に反しているのではないか?妥当性は無いのでは?と検証します。

悪い決算は売りルールに逆らった場合の勝てるオッズは低いのですから、認めたくないとの欲に従うことは妥当ではなく、泣く泣く損切りした方が妥当だと導き出せます。

〈例2〉では、恐怖の背景には無知があると思います。自分が詳しくないことに関して、沢山の投資家が騒いでいて、株価も急落している。だから怖い。逃げたい。

しかし、無知が理由なら調べればいいのです。自分が逃げたいと思う理由が、本当に深刻なものなのかどうかを。深刻であれば逃げることは妥当性があります。大した問題でないなら妥当性がないと導き出せます。

つい最近でも〈例2〉のようなことがありました。2024/1/19にDUOL株が急落しました。最初の僕の印象は「怖い、売り逃げたい、お腹痛い」でした。しかし、下げている理由を調べますとGSのアナリストのダウングレードしかニュースがない可能性が高いと分かりました。大した理由ではなかったのです。売りは妥当性がないと導き出せました。

まとめますと、投資においては信念補強型思考ではなく、信念検証型思考でないといけないのです。補強型では、とりわけ投資に関してまだほとんど知識や経験がない人ほど(僕も含めて)、恐怖や目先の欲を優先して、損をする・儲け損なうことになってしまいがちです。

ですから、常に自分の思考はちゃんと信念検証型になっているか?と確かめないといけないと考えます。最後は、悪い決算は売りといった数々の「投資のルール」と「投資家としての根本の欲(儲けたい・損したくない)」に照らし合わせて自分の感じたことの妥当性を検証しないといけないと考えます。







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