旅のパッキング、部屋のパッキング

トラベルグッズにハマって、二泊三日を二回立て続けにやって、いろんなことが分かった。
そう、旅支度は、部屋の収納のすべてに応用されるのだ。

パッと見、相変わらず部屋はとっ散らかっているけれど、この土日に作られたゴミ袋は、70Lがひとつ、30Lがふたつ、あとは細かいスーパーの袋で3つだ。

実は、モノ自体はあまり捨てていない。
捨てたのは、箱とか、入れ物とか、全然使っていなくて期限が切れてしまったコンタクトの洗浄液とかクレンジングウォーターとか。

そう。
私は、部屋のパッキングができていなかったんだ。

高価なものを買った時についてくる箱は、収納に使えるようでいて、あまり使えていなかった。ほこりだけが確実にたまっていった。
箱に細かいものを放り込めば、なにか整ったような気がしていたが、それは気だけだった。(確かにスペースは広がる)

そういう事に気が付いて、すべての収納をつくりかえる事になってきた。

そうしようと思ったわけじゃなくて、必然的にという感じだ。
またすぐ旅行に出かける可能性がある。スッとパッキングできるようにしておこう。化粧品も、旅行に使えるように組み替えて、服装も、バッグも。
そう考えてカバンと旅行グッズをしまおうとしただけだった。

旅行のルールは、軽い・丈夫・コンパクト。
くわえてもう一つ、大切な事がある。

中が見える事。

これ、すごく大事でした。

人生を変えるかもしれないグッズはこれだ

そこで超お役立ちなものがある。
まずこれを買うべき、という必須アイテム。お値段は安いです。100均にも売っています。

それはジップ付き透明袋。
サイズもたくさんあります。キッチン用ではジップロックという商品名のものが有名ですが、事務用のジップ付きの透明袋で十分です。けっこう品質にばらつきがあって、ぺらっぺらのものから比較的しっかりしているものまで。しっかりしたものを使うのがおすすめです。そしてサイズもたくさんあるので、何種類か買うのがおすすめです。なにせ安いですから!けちけちしないで大丈夫!
これで、手持ちのありとあらゆるものをパッキングしていくんです。

散らかっていた各病院の診察券。
葛根湯や痛み止めみたいな市販薬。
使う時は使うふせん。
ヘアピンやヘアゴム。
朱肉と印鑑マット。
そういう細かくばらついたものを、今までは高級なお菓子の箱とかに入れていたんですが、それを全廃してジップ付き透明袋に。

一時的に必要だった小銭や小分けのお札なんかも全部ジップ付き透明袋です。
お財布ではダメです。封筒でもダメ。なかが見えないから、何が入っているかわからなくなってしまう!

そうしているうちに、どんどんと不要な収納箱が空になっていき、しばらくの逡巡ののち、廃棄となりました。
絶対使わないだろうものや、気づけば使用期限が過ぎてしまったものなども、いくつか廃棄。となると、ゴミ袋はどんどん大きくなっていきます。

ああ、なんてコンパクトさに欠ける収納をしてきたんだろうか。
と、ひとしきり反省。

非常持ち出し袋が日常に溶け込む

そうやって、そのうち大事なものをスッとまとめるところまでやってきて、ふと思ったんですが、あの大震災以降、私も多くの人と同じように非常持ち出し袋を作っていました。
入っていたものは、身体を守る帽子や衣服、少しのお金と貴重品(パスポートなど)、ちょっとした手当の道具、など。
でもこれはあまり意味がないような気がしていました。

旅行に行くとなると、防犯対策はかなり重要です。貴重品も常に持ち歩くことになります。という事は、サクッと海外に行けるようにセットしておけば、サクッと大事なものをもって避難できるんじゃないの?と。

今のところ、それほど資産価値のあるものは持っていなくて、小さな会社の登記簿とか、パスポートとか程度なんですが、旅行に行けるようにパスポートなどはまとめておく。そして、大事なもののファイルをひとつまとめておいて、最悪そのファイルをひっつかんでいけばいいようにしておく、という事ができるんじゃないかなと。
そもそもちょくちょく使うものでもあるので、使いやすく、しまいやすく、取り出しやすい状態にしておくのは重要です。

避難先での盗難対策とかも、ワイヤーロックなどがある訳だから、ある程度なんとかなるだろうし。

そう考えると、旅行鞄には非常食を少し(カロリーメイト一箱と、小さいペットボトル1本とか)入れておいて、他、緊急避難に対応するものと、いつもの旅行セットを放り込んでおけばいいのでは!?
と思いつき、緊急時に何を持っておいたらいいかを少し調べたりして。

非常持ち出し袋があれば安心という事はないけれど、旅行用に収納されているものを引っ張り出して、あとは貴重品関連をひとつ掴んで避難所に移ればいいとわかっていたら、スッと移動できるんじゃないかと思う。

アウトドアが趣味の人は緊急時に強いみたいなことを聞くけど、確かに水も電気もない場所で一晩二晩過ごすのが趣味というのは、その通りだろう。

非常持ち出し袋を想定しながら、旅行用のカバンを収納しておくというのは一石二鳥なので、ここをもう少しうまくできないかなと考えているところです。

部屋=旅行鞄

毎度、このネタを考えると出てくるミニマリストという単語だけれど、やっぱりミニマリストを目指そうとして目指すのは、遠回りになるんじゃないかなと思う。
あるいは、なんちゃってミニマリスト、表面だけのミニマリストになる。
かつての私がそうだったように。
(モノは最小限、髪の毛から全部せっけんひとつでOK、お米はフライパンでだって炊けるという技術を着々と身に着けていた)

モノを少なくしようと意識していたけれど、全然だめだった。
私は何にもわかっていなかった。

旅に出るといろんなことがわかると先達はいうけれど、それはステキな景色とか体験がとかではなくて、私の場合は「カバンの中身と重さと体力の兼ね合い」という自分の中で完結する出来事が相当ビビッドに響くことになった。(旅行先では、それほど感動する事には出会わなかった)

モノの過多ではない。必要なものが的確に使えるように配置されているのか。そこがすべてだった。
まるでコクピットのように、ベストな配置で。
それでいて、禅寺の庭のように無意味な空間があって。
清潔で、どこか温かみがあって、安らげる。
そういう事を、私は考えていなかったし、分かってもいなかった。

今まで、その体感がなかったのだ。
快適にしろ、不便にしろ、どちらかを強く感じなくてはわからないのだ。
すごく不便を感じてこそ快適の意味を知るし、快適を知って今までの自分がどれほど劣悪な状態に甘んじていたのかを思い知るのだから。
それには、圧倒的に体験が必要になる。
私はその体験が不足していたのだと思う。この歳になって。

部屋も、旅行鞄のように、的確にパッキングする事ができる。
軽量さはこだわらなくてもいいけれど、コンパクトに、質の良いもので、スペースとのバランスを色彩や素材感とを加味しながら考えて。

完璧には程遠いだろうけれど、そもそも完璧を目指すことが間違っていた。
大切なのは方向性だ。
軽く・丈夫・コンパクト。中身が見えて、わかりやすい。
まずはここから始めよう。

部屋は動かないけど、旅行かばんは部屋を持ち出すようなものなので、そう考えて部屋を構築しておけばいい。
使うものが使うべき時にスッと出てくるのは、旅行鞄の鉄則だった。
それが部屋に応用されない訳がない。
モノが少ない事がよい事なのではないのだ。使うべきものが使う時にちゃんと出てくるのが、最優先事項になる。

だから、モノの少なさにこだわる必要はないんだ。

高級品と余白と

モノが少ない暮らしがちょっとしたムーブメントになっているけれど、いろんなケースがあって、お金をなるべくかけたくない人と、お金はあってもモノが少ないんですよって人に大きく分けられる感じがある。(特に海外のものを見ていると、メジャーリーガーがトレーラーハウスに住んで称賛を浴びるような)

日本では、断捨離の発明から、こんまり流トキメキお片付けで、捨てて捨てて捨てまくれば幸せになれると勘違いした人と、節約が趣味です!という人が合体してミニマリストという層を形成しているような雰囲気がある。
基本的に彼らは、出発点がちょっと不幸なのです。

そこには高級品を憎むような、オシャレや贅沢を厭うような雰囲気が漂っているブログなんかもよくあるんだけど(何もかも放り投げて世界一周放浪旅行に出かけるブログ書いている若者的なアレ)、ものを減らして暮らす参考書として彼らの情報を取り入れてしまうのは、ちょっと楽をし過ぎな気がする。

彼らと、あなたは、違うんです!
目指すものが似ていても、絶対に違う人生観を持っているんです!
そこをちゃんとわかっていないと、やっぱり他人のコピーをするだけになってしまう。

ドミニク・ローホー氏も、やましたひでこ氏も、こんまり嬢も、やり方を示してくれるけれど、それが本当に自分にフィットするかというとそうでもない。まずは本を読むだけじゃなくて実際にやってみないと。

その実際にやってみるというのは、本当にお金がかかる。
私もここまで昨年末くらいからすでに20万円程度は注ぎ込んでいる(旅行代金を含めて)!
それでやっと、やっと自分が何もわかってなかったんだなと、わかった。

高級品がすごく好きなこと。
なんでもきっちり詰めちゃうのは、あまり好みじゃない事。でもそれだと取りこぼしが多くてそこは嫌だなと思っていた事。
ミニマムな生活はしたいけど、高級なミニマムがいい!と思っていること。
そういうのを考えると、100均でステキインテリアとか言っている情報は不要なのだと思う。すのこに木工用ボンドで貝殻貼り付けてオシャレとか、なにいってんの、って思う人間だったのですよね、私ってば。

高島屋で見た100万円の毛布、ほしいなあ。

そういうものも、旅行に行くなら手放さなきゃいけないみたいなことを思っていたけど、そんな事は全然なかった。高級品をガンガンもってガンガン使い倒してもいいのだ。
ぴっちり無駄なく用意しなくてはいけない、無駄なものは入れてはいけないと思っていたけど、そんな事もない。余白は常にあっていい。

部屋もちゃんとパッキングできる。
安いもので作らなくてはいけないっていう思い込みは、どこから来たのかは探るべきかもしれないけれど、とにかくそんな事にしがみつく必要は全然ないんだ。別に贅沢過ぎると言われようと、全身カシミヤとシルクでいいんですよ。

部屋という旅行鞄で、人生を旅している。
どこに行くのかは、まだわからなくても、その旅程をたっぷり楽しむべきだし、行きたい場所があるならその装備を整えるべきだし、それは許された自由なんだと、いまさら思い出す。


あ、ジップ付き透明袋はほんとにお勧めです。


つよく生きていきたい。