息を吹き返したように見えた
本は、電子書籍派なんだけど、本屋さんに行くのは好きで、先日ふらっと立ち寄った本屋さんで、2冊文庫本を買った。
その日はある程度の時間、人を待っている必要があったから、本でも読んで待っていようと思った。
読みやすい東野圭吾の小説と、なんだか可愛らしい絵の描かれた表紙の短編小説。
いつも本は、表紙と裏のあらすじを見て、ジャケ買いしてしまう癖がある。なんとなく、見た感じに惹かれて買うのだ。
セルフレジで購入して、いつもなら店員さんに聞かれる「カバーはどうしますか?」も、セルフでカバーかけ。
毎回、カバーが必要か悩んでお願いするけど、その時もなんとなく自分でカバーをかけた。
結局、待ち人は思ったより早く来て、本は最初の20ページくらい読んだだけだった。
それから、家に持ち帰って、2週間が経った。
通勤電車は10分もないし、なかなか読み進められていない。
いわゆる、積読状態になってしまっていた。
読まなきゃなぁ…と思いながら、積まれていた本を手にとって、ふと「どんな本だったかな」とカバーを外してみた。
すると、あの時惹かれた表紙が現れた。
それと同時に、本が大きく息を吸った。
…ように見えた。
カバーをかけて、私に読まれずに存在を消されていたからか、息を吹き返したように見えたのだ。
あぁ、こんな本だったな。読みたかったんだった。
そう、私自身の気持ちも蘇ってきた。
通勤電車の10分を、読書にあてよう。
明日から、そうしよう。
カバーは…とりあえず、付け直して。
私と本との再会は、無事終わったのだから。
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