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兵庫県知事選を前に、20代のいち有権者として。

 ここ半年間、兵庫県外の方に会うたびに「兵庫県知事はどうなっているの?」と訊ねられてきました。

 斎藤元彦前知事の公益通報者保護法の運用にまつわる問題、プロ野球優勝パレードを巡る資金問題、これらに連なるパワーハラスメントや一連の問題行動などは連日繰り返し報道されてきました。前回の選挙で斎藤さんに一票を託したひとりとして、これまでの経緯をきちんと振り返り、今回の選挙ではその反省を生かしながら、前向きな県の将来のために判断ができたらと考えています。

 前回の兵庫県知事選挙は、わたしにとって初めての県知事選挙でした。貝原俊民さんの頃は末期でも一歳で、実質的には井戸敏三さん以外の県政を知りませんし、政策や人となりをわたしなりに調べて、斎藤さんが自分たちの世代に近く、兵庫県に新しい風を吹き込むことが出来るのではないかと考え、彼に投票しました。

 正直、近隣の県に比べると兵庫県自体に閉塞感を抱いていて、早く兵庫県を出たがっていた時期だったのも事実で、井戸さんの路線を受け継ぐ金沢和夫さんと悩みつつも、「なんとか新しい風を吹かせられる候補を……」という思いからの選択でした。20年に及んだ井戸さんの県政はとにかく堅実な路線でしたから、新しそうな方向に飛びついてしまったんですね。大きな失敗でした。

 いろいろな問題が浮上する前からも、あまりにも急速に予算や事業を動かしたり、はばたんペイのポスターになぜか知事の写真が載っていたり、今までの知事にはなかった目立ち方をしていたのも確かで、少なくとも、持続的な安定感というよりも、変革をとにかく進めていこうという意志が伝わってくる県政運営を行っていました。(この善し悪しはある程度の期間が経ってからでないと判断できないと考えています)

 問題が浮上してから、アンケート資料や百条委員会、記者会見といった資料はもちろん、数えきれないほどの情報が社会に流れ込んでいきました。これらの情報の正確性は外部の有権者には判断しようのないことで、できるだけ信憑性の高い情報を参照しながら、各々の信念のもとに慎重に判断していくしかありません。特に、初めて選挙へ行く方や、いろいろな情報が耳に入ってきてしまうことに慣れていない方にとって、ほんとうに難しい選挙です。

 SNS上や街頭には真偽不明の情報が飛び交ったり、某政党の元国会議員が当選を目的とせずに立候補を行ったり、県内外から様々な属性を持つ人々が集まってきたりするなど、正直、兵庫県がサーカスにされているようで良い思いはしません。主要候補者の街頭演説も伺いたかったのですが、SNSで暴れ回っている映像が上がっているのを見て、身を守るために断念しました。近年、他の都道府県や国政選挙でも増えていますが、本来の民主主義における選挙制度の想定する概念を越えた、“異常な選挙”のひとつといえるでしょう。

 今回の選挙では、元尼崎市長の稲村和美さんが筆頭候補のひとりとして、幅広い層に情報発信を行ってきました。稲村さんと斎藤さんの構図の中に、他の候補がどこまで入ってこられるのか、そもそも、どちらがほんとうに支持されているのか、その人の身を置く環境で大きく認識が変わってくるのではないかと想像します。

 わたしは稲村さんの政策は若者や女性にとって心強く、尼崎市長としての実績もありますから、もし仮に県知事になった際も、大きな混乱を招かずに県政を運営できるのではないかと期待しています。

 ただ、あまりにも両陣営の選挙活動が加熱し、明らかに選挙活動の域を超えた状態になってしまっていること、昨日の兵庫県内22市長が稲村さんを支持するという連名の表明を行ったこと等を踏まえ、あえて大澤芳清さんに今回は投票しようと考えています。

 理由はたったひとつ。これ以上、熱狂の先を追いかけてほしくないから。

 言うまでもなく、斎藤さんは熱狂の中心にいますし、稲村さんはあまりにも関心を抱く層が広がりすぎて、特に兵庫県の市長たちによる連名の支持表明といった判断の難しい出来事も出てきていますし、この二人にはなかなか冷静な判断をしづらい部分があります。個人的な信念として、どちらにも積極的には加担できないけれども、どう切り取っても、斎藤さんの県政を肯定的に評価することはできません。

 ただ、他の候補者を見ても、このふたりを上回ることが出来るかと言われたら、首を縦には振れないのも確かです。そんな中で、医師というスペシャリストとしての立場から、教育や福祉に目を向け、ひとつひとつに堅実な政策を掲げる大澤さんに一票を託そうと、今のところは考えているわけです。

 この判断にどんな政党の推薦であるとか、これまでの実績とか、そういったものは一切なく、あくまでも「より良い候補者であること」をベースに最後まで悩んでいきたいと思います。

 2024.11.15
 坂岡 優

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Yuu
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