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兄弟ふたりで、学生時代に、地方にて、デニムブランドを立ち上げるということ

きのう、地場産業を盛り上げる"編集力"というイベントに参加してきました!

ゲストは、デニムブランド『EVERY DENIM(エブリデニム)』の共同代表、島田 舜介(しまだ しゅんすけ)さん

...だけの予定だったんですが、もうひとりの共同代表で、島田さんのお兄さんでもある山脇 耀平(やまわき ようへい)さんも、急きょ参戦!

デニム兄弟、めでたく揃い踏みとなりました。

写真左が兄の山脇さん、右が弟の島田さん。
(この写真は、イベント会場を提供してくださったmoccoからお借りしました...!)


テーマは『地場産業を盛り上げる"編集力"』。

大学在学中に、岡山にてデニムブランドを立ち上げ、経済誌『Forbes』による『アジアを代表する30歳未満の若者30人』に選出されたり、TV番組『ガイアの夜明け(テレビ東京)』でも取り上げられたりするなど、すさまじい快進撃を続けるおふたり。

ちなみに弟の島田さんは、ぼくと同じ高校を卒業していて、しかもぼくのたった2つ上です。

つまり1年間は、同じ屋根の下(?)で過ごしていたということ...!


お会いしてお話させてもらったのはきのうが始めてだったんですが、もしかしたらそれよりもっと前に、校舎ですれ違っていたかもしれません。

あと、もう少しだけ脱線すると、島田さんが通っていた岡山大学は、ぼくの志望大学でした。

前期も後期も出願して両方落ちて、結果的にいまは関西学院大学に通っているんですが、そんなところも含めて、勝手にイベント開始前から親近感を抱いておりました。


閑話休題。


ということで、山脇さんと島田さん、ぼくとそんなに歳も離れてないし、ぼくと同じ兵庫県加古川市で生まれて、山脇さんは現在東京を、島田さんは岡山を拠点に活動しています。

そして、岡山の地場産業の魅力を伝えたい!ということで、デニムブランドを立ち上げられたおふたりには、気になることがたくさんありました。

実際、個人的に聞きたかったことも含めて、とても勉強になるお話がたくさんあったので、あくまでもぼくの解釈という大前提でそれらの内容をまとめます!


店舗を持つのは、『世界観』を表現しやすくするため

おふたりは現在、作ったデニムを販売する機能も含めた宿泊施設を、岡山にて建設中です。

これまでは移動販売やポップアップストアなどを中心にデニムを届けてきたのですが、今回どうして拠点をつくるという選択をしたのか。

あえてデメリットに目を向ければ、拠点を持つということは、固定費がかかったり身動きが取りづらくなったりするということを意味します。

ネット上でも商品が売れる時代に、且つこれまで店舗を持たなくても移動販売やポップアップストアなどで、たくさんの人にデニムを届けてきたという実績のあるおふたりが、なぜ拠点をつくるのか。

それらのリスクを押しのけたメリットについて質問したんですが、決断に至った大きな要因のひとつは、『世界観の表現のしやすさ』にあるとのことでした。

移動販売やポップアップストアだと、時間や場所の制約を受けてしまい、どうしてもEVERY DENIMの持つ世界観を表現しづらい。

でもそこでリアルに常設店舗を構えることによって、それらの制約を受けることなく、思う存分に世界観を表現できることがメリットのひとつなのです。


あとは、やっぱり外から来てくれる人の受け入れ先だったり、各工場への窓口の役割を果たしていきたいとも言っていました。

最初にも言ったとおり、おふたりはたくさんのメディアで取り上げられるなど、その取り組みはとても注目を集めています。

しかし、そこでいざ興味を持った人が『岡山に行きたいです!』となっても、拠点がないのでその際の分かりやすい対応が難しい側面もありました。

そこで拠点を構えることにより、EVERY DENIMや、EVERY DENIMをきっかけに岡山に関心を持った人を迎え入れられる体制をつくりたい。

そして、実際にデニム工場で働く生産者の人たちへの窓口にもなりたいという想いで、今回、拠点をつくるという決断をしたとのことでした。

島田さんに対して『拠点をつくるということは、ある意味で岡山に骨を埋めるみたいなことも意味すると思うんですけど、それに対する葛藤や怖さはなかったですか?』と聞いたら『ぼくは岡山が好きなので、特にはなかったですかね』と答えてもらったのが印象的でした。


EVERY DENIMは、あくまでも『きっかけ』

最初に言っておくと、この見出しの意味はおふたりにとってEVERY DENIMがきっっかけということではなく、デニム工場で働く人たちにとってEVERY DENIMがきっかけである(ことをおふたりが志向している)ということです。

EVERY DENIMができたきっかけのひとつは、おふたりが岡山のデニム工場を取材するメディアを運営していたことでした。

そのなかでデニム工場の技術力やできた商品の品質の高さが、世の中に全然伝わっていないことに問題意識を抱き、じゃあ実際にブランドを立ち上げてデニム工場の魅力を伝えようと、EVERY DENIMが始まったという経緯があります。


このおふたりのミッション自体も素晴らしいですが、それ以上にその姿勢を貫き続けていることが、とても素敵だなと思いました。

というのも、実際にEVERY DENIMが始動して以来、EVERY DENIMを見て、それを作っている工場に、他のブランドから注文があったそうです。

その事象に対して、おふたりが『ぼくたちは工場の技術力や品質の高さを伝えるために始めたのでうれしい』とコメントしていたのが、すごく印象的でした。


というのも、もしEVERY DENIMというブランドデニムを作ること自体が、仮にいつの間にか目的化してしまっていたら、自分たちと提携している工場に他のブランドから注文が入るってことは、製造業界に関する知識がゼロのぼくからしたら、マイナスな側面もありそうだなと思ったからです。

極端な例ですけど、例えばその新しく注文したブランドが毎月100万着くらいの大型発注をしたら、もしかしたらキャパの関係でEVERY DENIMとの提携はなくなってしまうかもしれません。

自分たちがやっとの想いでつながった生産者を奪われるような自体になるかもしれないのに(このあたりの仕組みがよくわかってないので、間違ってたらスイマセン)、他のブランドからの発注を喜べるのって、本当に自分たちの信念を貫き通していないとできないことだなと思ったし、実際にそれを貫いている姿はとってもカッコいいなと思いました。


『ミーハー』メディア戦略

他の方からの、メディア戦略に関する質問を受けて。

コレに関しては、メディアの方たちが発信しやすいように、あえて分かりやすく見せているところもあると言っていました。

学生時代に起業とか、兄弟で共同創業とか、ローカルで地場産業を盛り上げるとか、おふたりには外から見たときのある意味で分かりやすい『ストーリー』があります。

ぼくはおふたりのお話を実際に聞く前は、そういった分かりやすいストーリーとして消費されてしまうことをもしかしたら嫌がってることもあるのかな?と勝手に想像していたんですが、むしろ逆に意識的にそういう見せ方もしているところがあるとのことでした。

もちろん、本質のもっと大事なところは、より狭くて深いところにあるんですが、そこをいきなり発信しても、興味を持ってくれる人は少ないです。

だから、まずは間口を広くとって、関心を持ってくれる人の母数を増やしていくことが大事なのかなと思いました!


難しいところにこそ『醍醐味』がある

これはぼくがイベントが終わってから個人的に山脇さんに質問させてもらったことなのですが、『例えば工場の生産者の中には発信に興味がない人もいると思うんですが、それと別で発信欲のある生産者がいて、どちらかの魅力しか伝えられないとなったとき、どちらの優先順位が高くなりますか?』といった主旨のことを聞きました。

というのもぼく、中小企業の社長ばっかりにインタビューするというメディア企業でインターンしてたことがあるんですが、一言で社長と言っても、インタビューにすごい乗り気な社長と、全然乗り気じゃない社長と、本当にピンきりなんですね。


例えばそれこそ、町工場の経営をやってる社長なんかだと、『ウチは別にtoBだから、そこまでメディアに露出する必要はない』と言って、あんまりインタビューに乗り気じゃない人も少なくありませんでした。

一方で、できたてホヤホヤのIT系スタートアップの社長のほとんどは、すごく前のめりでインタビューに応じてくださいます。

当然、聞き手側のぼくとしても、乗り気な方のインタビューをしているほうがその企業の役に立ててる感があります。

ただ、『伝えるべき魅力』と『伝えやすい魅力』は分けて考えるべきなんじゃないかという葛藤もあって、山脇さんに上記のような質問をしました。


すると山脇さんは『その例で言うと、あんまり乗り気じゃない人が乗り気になってもらったときにこそ、やりがいを感じることもある』ということを話してくれました。

例えば岡山の工場の方でも『うちはtoBだから...』と言っていたような人が、実際に藍染体験などで直に消費者と触れ合って、自分たちが毎日当たり前にやっている生産工程に感心されると、生産者自身もやっぱりものすごくうれしいくなるのだそうです。

逆に元から発信欲のある人は、放っておいても自分でするようになるかもしれないから、発信欲のない人の魅力を伝えることこそが醍醐味でもあるという話をしてくださって、そういう考え方もあったのか!と目からうろこが落ちました。


東京から『会いに来てもらえる人』になる

最後に、島田さんに『東京に行きたいと思ったことはありませんでしたか?』と聞きました。

というのもぼく自身、来年から就職を機に上京するのですが、就職活動の際には、東京に行くのか行かないのか、行ったとしてその先のキャリアプランをどうしようかなど、いろいろと考えました。

ぼくと同じところで生まれて、大学進学を機にさらに西へ進んで、そしてそこに拠点を構えることによって、もうほぼ定住という意味では上京の選択肢を捨てたと言っても過言ではない島田さんに、どのくらい上京の選択肢があったのかを聞きました。


そしたら、島田さんも東京の企業でインターンをしていた際の経験を話してくれました。

そこで島田さんは『東京に行ってしまうと、自分が地方出身であることの強みが活かせない』ことに、悔しさを感じたそうです。

東京(とあと大阪くらい)以外の方にはあんまり想像がつかないかもしれませんが、東京では、学生が企業でインターンすることは、ほぼ居酒屋のバイトと変わらないくらいの感覚です。

そこらじゅうに、インターンを募集してる企業があるので。

ただ、それ以外の地域、例えば兵庫に住んでるぼくだって、わざわざ大学を1年休学して、裸一貫で上京して、インターンをやっていました。

(神戸や大阪でも一応探したけど、面白そうなベンチャー企業が圧倒的に少なすぎて、東京で探すことにした)


それは見方を変えれば、わざわざそこまでのことをして、やっと東京の学生と同じ土俵(=企業でインターンをする)に立てたということでもあります。

それに対するディスアドバンテージと悔しさを覚えた島田さんは、だったら自分のいまいる地域でしかできないことをやろうと思い、EVERY DENIMを立ち上げたという側面もあると仰っていました。


ぼくが東京に行く大きな動機でもある『人』と『情報』についても聞いたら、島田さんは自分が『東京から会いに来てもらえる人』になること、あとは逆に定期的には東京にも足を運んで、情報のキャッチアップを行っているとのことでした。

あとこれはぼくの個人的な感想ですが、EVERY DENIMの場合は、お兄さんの山脇さんが東京を拠点にしているので、そこで東京と地方との人や情報の差の問題を解決できているところもあるので、この『2拠点制』は最高だなと思いました。

こちらの写真もmoccoから拝借。


ということで、ぼくのこれからのキャリアやビジョンについて、とても勉強になる話が盛りだくさんな時間でした!

以上が『地場産業を盛り上げる"編集力"』のイベントレポートです。


最後に、現在、EVERY DENIMのおふたりは、きょうのnoteでも何回も出てきた岡山の拠点を作る資金を集めるために、クラウドファンディングを実施中です。

ご興味ある方は、ぜひ詳細をチェックしてみてください!



▼そして、イベント会場ときょうのnoteの写真を提供してくださったmocco。すごくオシャレで居心地のよいコワーキングスペースです!


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