小林 ゆうすけ

フリーのデザイナーです。 WEBサイトを制作したり、グラフィックデザインをやったりしま…

小林 ゆうすけ

フリーのデザイナーです。 WEBサイトを制作したり、グラフィックデザインをやったりします。 日常感じたあれこれをエッセイとして世界のどこかに残しておきたく、noteへやってきました。 私について:https://lit.link/yusukeweb

最近の記事

人生というジェットコースターをノリノリで乗りたい

ディズニーランドへ初めて行ったのは、知らない大人たちに連れられてだった。 たしか小学校低学年くらいの頃だったと思う。 別に怖い話とかではなくて、弟が通っていたスイミングスクールの親睦旅行に便乗させてもらったのだ。 スクールのコーチたちが引率となって、生徒の子どもたちとみんなでディズニーランドへ遊びに行く。そこには各生徒の家族が一人まで付いていけることになっていたので、兄である私が名乗りを上げた。 面識のない大人や子どもに囲まれての、楽しみと緊張の入り混じった夢の国。 この

    • あの日見たCMの正体を私はまだ知らない

      おそらく15年ほどは昔に見たはずのテレビCMで、深く心を打たれて今も覚えているものがある。 正しくはCMの中のワンシーンだけが強烈に印象に残っていて、それ以外はぼんやりとしか思い出せない。 たしか、18歳くらいの青年が3~4人の同級生らしき友達と一緒に遊びに出かけるところから始まるCMだった気がする。彼らは海かどこかでひとしきりはしゃいで、ふざけあって、青春を謳歌する。 私が忘れられないのは、その後に彼らが帰路につくシーンだ。 電車のロングシートに並び、友達がみんなくたく

      • 駆け出す私を止められない

        プロのテニスプレイヤーは、取れないボールを追わない。 世界大会の中継など見ていると、相手が厳しいコースに打ち返したその瞬間には、すでに見切りをつけて歩いていたりする。無駄に走ることはしない。 そのくせ大事な場面では凄まじいスピードでボールに追いつき、ポイントをものにしたりもする。 追うべきか、追わざるべきかの判断が早く、そして的確なのだ。 メリハリをつけることで、ここぞというときに走れる体力を温存し、またケガのリスクも避けている。 プロのプロらしさは、巧みに身体の動きを操

        • ずっとそこにいたのだな

          むかし旅行で、東欧モンテネグロにあるコトルという町を訪れたときのこと。 広場へ出ると、たくさんの野良ネコたちが石畳の上にあちこち寝そべって、思い思いにくつろいでいる姿があった。 人の往来などまったく気にもとめない様子で、力の抜けた表情をして転がっている。路地のわきを見れば、転がり疲れたのか日陰に座ってぼうっとしているネコもいる。 道ゆく人々もそれをなんとも思っていないようだ。落ちているネコを踏まないように器用に避けながら、こつこつと通りを歩いていく。 この町では、それが日常

        人生というジェットコースターをノリノリで乗りたい

          爪を切るように、髪を切る

          かれこれ10年以上、自分の髪を自分で切るということを続けている。 いわゆるセルフカットというやつだ。 それを人に伝えると驚かれることもあるけれど、べつにとりわけ難しいことをしているわけではない。 その気になれば誰にだってできる。 まずは全裸になる。これは切った髪が服にかからないようにするため。 あとは思いのままにカットすればいい。 前髪は普通のハサミを使って、鏡を見ながら程よい具合に切る。横と後ろはすきバサミを使って、手の感覚を頼りに適当にざくざく切る。 ある程度カットし

          爪を切るように、髪を切る

          フードコートに眠る悲しみについて

          ショッピングモールのフードコートが苦手だ。 人が多くてさわがしいから、というのもあるけれど、それだけではない。 私はいつも「どこかで誰かが料理をぶちまけるのではないか」と気になって、安心して食事に集中できないのだ。 そのシステム上、フードコートではどうしても事故が起きやすい。 店舗のカウンターで料理を注文すると、たいてい小型の地雷みたいな装置を渡されて、席を確保しながら出来上がりを待つ。装置から呼び出しの音が鳴ったら、カウンターで料理を受け取り、トレイに乗せて再び自分の席

          フードコートに眠る悲しみについて

          仮面ライダー、うっかり正義を見失う

          「小林くんは、どんなところが自分の長所だと思う?」 そう聞かれたのは、私が地元の高校へ進学してまもなく、新入生面談があったときだった。面談の相手はクラス担任の先生だ。 小柄で茶目っ気のある感じの、40代くらいの女性教諭だった。先生はいつもニコニコと目尻にしわを寄せていて、口調もやわらかく明るいのだけど、それだけになんだか根っこの本心がわからないような印象もあった。 学校全体をひそかに裏で操る黒幕がいるとしたらたぶんこの人だ、などと失礼なことも私はこっそり考えていた。 自

          仮面ライダー、うっかり正義を見失う