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籠の中の鳥

私は病院が大好きでした。病気でいれば、私に皆んな優しくしてくれるから。

20代の頃に、私は働き過ぎで発病し強制入院になりました。病名は統合失調症でした。
その時は、病院で毎日15錠ぐらいの精神薬を飲んでいました。医者に言われた通りに、そうすれば精神病は治ると信じていたから。
何でも私の言う事を聞いてくれる先生の事が、私は大好きでした。

だけど、どんどん私はおかしくなって、退院しても何度も入退院を繰り返す様になりました。
警察沙汰まで起こして、家族にも周りの人にも沢山迷惑をかけた。


そして、やっと気がついた。
健康を人任せにしてはいけないこと。私に優しくしてくれる病院の人は、皆んなお仕事だから。お給料の為なんだ。私がまともに働けない事で、儲かる人が世界に居る。

「なんだ、私はただの鴨なんだ」

自分が、鴨だと気付いた時に人は正気に戻る。

自分の病名を自分で捨てた時に、もっと美しい翼を持っていた自分の本当の名前を思い出す。

自分を思い出せた者は祝福の歓喜を舞い、

狭い籠から飛び出せばいい。

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