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映画 すばらしき世界 アイドル俳優使わないでくれてありがとう

自分は、邦画を「面白くはない映画」だと思っています。中にもいい作品はあるけど、そのほとんどが漫画の実写化で、しかも主演は演技レベルが疑われるアイドル俳優。もう、見て良かったなと思える作品の方が少ないというのが正直なところです。
ですが、「すばらしき世界」という映画が良かったという話を知人から耳にしました。漫画が全くうまくいかず、すっかりまいっていた自分は、気分転換ぐらいのつもりで期待せず映画館に足を運びました。

めちゃくちゃ良かった……‼︎

期待してなかった分、見てる時のアドレナリンもドバドバでした。個人的に良かったなあと感じた部分が、主に2つあるのでそれを紹介しようと思います。

人間臭いキャラと周囲との繋がり

この作品は、実在した元ヤーさんをモデルにした映画で、殺人を犯し刑期を終えた三上が、社会への復帰を果たそうとする作品です。
三上は社会復帰を果たそうにも、裏の世界で生きてきたという事実は消えず、本人も短気なため生活はうまくいきません。ですが、そんな三上が実に人間臭く応援したくなるようなキャラクターなのです。
社会で生きるには、自分を曲げて時にはやり過ごすことが必要。そうやって自分を守って、みんな社会を生きてますが、三上はどうしても見て見ぬふりが出来ない人間です。絡まれている人がいたら殴りかかって喧嘩になってしまう。正しいと思うことは、声を荒げてでも表明しようとする。「ああ、この人にとっては凄く生きづらいんだろうなあ」と感じさせてくれるような良くも悪くも頑固な人間で、でもだからこそこの人の人生をもっと見たいなと思わせてくれます。
また、この作品には、三上の弁護士やテレビの取材者など三上を取り巻く人間も複数出てきます。 初めは、偶然や打算のために出会った人たち。そういった人たちとぶつかりながら徐々に繋がって社会に溶け込んでいく姿が、凄くいいなあと感じました。人間関係が希薄になったといえども、やっぱり誰かがいないと生きていけないし、逆に言えば誰か繋がってくれる人さえいれば、生きていけるんだと三上を見て改めて感じさせられました。
そういう意味で、三上の出自は特殊かもしれませんが、誰にでも当てはまるし、全てが他人事だと思えない作品だと思えます。

演技力

最初に述べたように、自分は邦画についていいイメージをもっていません。その主たる理由が、アイドル俳優の演技です。「イケメン・カワイイという理由で使われているんだろうなあ」と感じざるを得ないほど、演技がひどいことが多いです。せっかくストーリーが良くても、それだけでめっちゃ萎えるので邦画は期待せず見るというスタンスでした。
ですが、今作は主人公の三上を役所広司、弁護士を橋爪勲……等々、演技力が素晴らしい役者の方々で固められた作品です。もうこれだけで勝ち確。特に、役所広司さんの演技はめちゃくちゃ引き込まれて、月並みですが、会ったことない三上という人物を間近で見ているように感じさせられました。邦画は、喜怒哀楽をすごく大袈裟に表しがちで全然リアリティねぇってことがあるんですが、役所広司さんの場合は細かい表情や声の震えなどで、グッと感情が伝わってきました。なので、キレた時にバッと大きく出てくる感情も、際立ってくるのかなと感じました。
正直、三上を演じる役所さんの演技だけでも、めっちゃ満足できました。それに加えて、他にも多くの素晴らしい役者さんがいて、ストーリーを見れるわけですから、最高ですよ。映画というより、ドキュメンタリーを見てるような、「生感」が凄い映画です。

邦画は 食わず嫌いでしたが、偏見を持たず見る目を持とうかなと思えました。少しでも気になった方は、映画館へ是非。

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