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対等にオープンに話す関係は自然にできるものではない


今回は、人と人とのコミュニケーションで起きる力関係について書いてみたいと思います。

最近友人の研修講師が、自身のプロフィールに赤裸々に失敗経験を書いたところ、仕事が増え始めたという話をしてくれました。

講師やコンサルタントというと、"先生"と言われたりもするものですから、完璧でないといけない。過去に失敗などあってはいけないという風に思うものです。相手からそのような期待を感じることもあります。

しかし、華麗な経歴や成功事例も、実際にその中をみることが仮にできたならば、様々なほころびがあったり、泥臭かったり、きれいなものばかりではないことがたくさんあっての結果であることがほとんどのように思います。失敗と言えるようなものもたくさんあるのではないでしょうか。

先ほどの友人のように、そのことを白状して、「いろいろ失敗もありますし、きれいに問題解決できるとも限りません」とオープンにしてしまうと、相手との関係性が変わります。

相手から”先生”として敬ってもらえることは減るかもしれませんが、疑問や質問を本音でぶつけてきてくれるようになったり、一緒に解決するという当事者意識も持ってくださるようになってくれるかもしれません。

その友人の仕事が増えたのは、もしかしたらこの人なら率直に相談ができると感じてもらえたのではないかと推察しました。

そもそも人と人がコミュニケーションをするとき、自然の摂理として、どちらかが力関係が強く、どちらかが弱いという状態が生まれます。

たとえば、部下と上司が話し合う場合。
普通に話をしていると、上司の方が発言権が強く意見が通りやすかったり、
自然体でリラックスして相手と話せるということがあります。そのため、一般的には上司の方が強い力を持っている状態になります。

他にも、経験や知識の差が力関係を生むということがあります。会話している分野に詳しい人と、そうでない人との話し合いでは、経験や知識のある人の方が強い力を持つことになります。

「この人は経験があるから、、」と感じていると、会話の中で「本当にそうなのかな」と懸念をもったことがあったとしても、伝えることには躊躇ってしまうということが起きてしまうのです。

このように、普段のコミュニケーションには見えない力関係が影響しています。

人と人が経験や立場を脇において、対等に、オープンに話し合うというのは実は自然な状態ではありません。

組織の中には、このように消えてしまう声がたくさんありますが、そこには時に重要で有益なメッセージが眠っていることがあるので、問題解決やイノベーションに活用できる可能性が眠っています。

力関係を意図的にコントロールすることは、組織にとって重要なテーマの一つだと思います。

力関係が高いと自覚した場合、意図的に自己開示をしてそれを手放し、フラットで対等にもっていくということは、相手との望ましい関係をつくることもできるように思います。

また来月もよろしくお願いいたします。

2022/5/27 VOL139 sakaguchi yuto 

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