【倫理の指導案】社会契約説×無人島で生き抜きなさい。
本授業のターゲット生徒
知識の日常への活用が苦手な生徒
※現代社会や公共でもでも扱える内容です
「じゃあこの思想を活用して日常の問題を考えよう！」が苦手な生徒いますよね。だったら、もういっそ逆転の発想でやちゃえばいいのです。
そうだ、活動（物理的アクティブ）から 学ぼう（ラーニング）。
｜授業の概要｜
分野：社会契約説・論（ホッブズ・ロック・ルソー）
テーマ：無人島で生き抜きなさい。
目標：自分たちの考え方をもとに、３人の思想を理解できる。
｜筆者の紹介｜
この記事を書いている人：
ゆとりんり
新卒で倍率１００倍の民間企業に就職後、教員に転職
教員採用試験の採用枠１枠に１発合格（働きながらの完全独学）
県に授業の研修用資料の提供や、学校の試験問題見本の作成を行う。
ブログで「ちょっと変わった授業アイデア」まとめてます。
｜このページの見かた｜
＼導入（ルール説明）／
移動教室の場合、入口にこんな看板を立てておきましょう。（めんどくせぇ、という方のために、スライドも用意しました）
そして、くじを用意してグループに分けます。グループは何グループでもOKです。それに合わせて修正してください。グループはランダムに決めてください。無人島ですから。
入室の時に席番号のくじを引いて入室してください。今日あなたたちは無人島に流れ着きます。
グループ席についたら、テーマと目標を発表します。説明をしましょう。流れ着いた先で持っているものは「今日学校に持ってきた荷物のみ」という設定が簡単だと思います。
今、皆さんは無人島に流れついてしまいました。生き残ってください。荷物は学校に持ってきたものだけです。みなさんには生き残るための作戦を決めてもらいます。
このままでは「〇〇さんが食料調達」「〇〇さんが家づくり」という作業分担が始まってしまいます。一度何が必要か。本当の無人島だと想像させ、もっと根本の決まり事が必要なことに気がついてもらいます。
では少しだけ考えてみましょうか。いつ助けが来るかわかりませんね。同じグループの友達は、本当に信じれますか？荷物何ある？と言われ、本当のことを言いますか？命がかかっているのに。そこまで考えた上で、「何をする必要がありますか？」グループでリストアップしてみてください。
＼展開（物理的アクティブ・ラーニング）／
ここからはなんでもありです（暴力だけはダメですよ、頭の中だけです）。実際に無人島という環境ならば、可能性として０ではありません。命がかかってますから。そんな環境でどう生き残るのか、生徒に考えさせます。
それでは本題に入ります。みなさんには、制限時間15分で、「生きていくためのルール」を作ってもらいます。そして、グループごとにプレゼンしてください。
先生はぐるぐる机間指導をする中で助言をしてください。具体的な声かけの例を示しておきます。
・その荷物って、誰が管理するの？
・この班にリーダーっていないの？
・なんでリーダーがいないの？（理由をプレゼンで言ってね！）
・みんなは何か権利とか主張しなくても大丈夫？生き残らないとなのに。
＼展開（学習内容への転換）／
それでは教科書的勉強に移ろう。なのですが、プレゼンをしないと始まりません。それぞれのグループにプレゼンしてもらい、次に繋げます。今回大事なのは、その内容がどの思想家に近いかです。
※いつもの逆です。「勉強→活用」ではなく、「活用→勉強」です。
ではグループごとに自分たちが作ったルールのプレゼンをしてください。まとめたプリントは発表後にください。前に貼ります。（←思想の分類に使える）
今みなさんはルールを作り、その◯人だけの国家を作ったともいえます。領土があり、人がいて、主権がある（場合もある）。かつて、国というものを作っていく上で「社会契約説」という考え方が出てきました。みなさんは同じことをしたのです。
あくまで、先のスライドは興味関心をひくためのものです。具体的に１人ずつを紹介する中で、どの思想に近いと判断したか。またなぜそのように判断したか、メモを取らせましょう。
これだけではわかりにくいですよね。１人ずつ紹介します。みなさんは、自分達が考えた思想が「どの人に近くて、なぜそのように考えたか」考え・メモしながら、板書してください。
まずは前提の話からです。
今日は「社会契約説」の授業ですので、社会契約とは何かという部分から話を進めていきます。
そもそも皆さんは何も縛るものもない「自然状態」にあります。その状態で人間はどうなると思いますか？？
何もないし、人間がそうなってしまうから契約を結ぼうというわけです。これがいわゆる「社会契約」ですが、これにはどんな契約を結ぶのか様々な考え方があります。みんなの考え方にはどれが近いかみてみてください。
＼展開（社会契約）／
一人ずつ紹介していきましょう。生徒が理解（イメージ）しやすいように、先生が言い換えをしてあげるとわかりやすいと思います。
トマス・ホッブズは、無人島のように何も人間を縛るものがない状態＝自然状態の時、人はモノの取り合いなど、闘争状態になるとしました。言っちゃえば喧嘩ですね。そこで、契約を結び、一人に権利をすべて譲渡するという形を理想としました。こんな班いませんか？
ジョン・ロックは、無人島状態（自然状態）の時、人は自由で平等としました。そして代表者をつくり、そのほかの人には、その決定に対する抵抗権を与えました。こんな班いませんか？
ジャン＝ジャック・ルソーは、無人島状態の時はロックと同じ。しかし、私有財産（お金とか、みんなでいうお弁当とか、ハサミとか）があれば自由平等が崩壊するとしています。だから、皆でいい方向・お互いのことを考えた一般意思を集めた国をつくろうと言います。要は理想的な国ですね。
もう１つ板書でもいいのですが、特殊意志についても提示しましょう。こんな班もあるかもしれません。
ルソーは一般意思の逆として、一人一人が思いのまま好きに生きる特殊意志もあるとしています。
＼まとめ／
改めて、自分達の考えがどの思想に近いか、理由と一緒に各グループに聞きます。目標の達成に欠かせないので行いましょう。
実際にノートにまとめてみて、どれに近いですか？A班さんはどれですか？〜（以下同質問）
それで、みなさんは今日の目標を達成しましたか？
最後に神の時代からの転換と考える時代の到来を予告と、百科全書を紹介しておわりとしましょう。
次回からはついに考える時代の思想を学びます。社会契約説から、理性への注目が高まります。
これまでに出した授業はこちらにわかりやすくまとまっています！ぜひ。
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