「愛」と「書く」と「エンターテインメント」(後編)

働くことの三つの軸っていうことで前回では「向いてない」「やりたくない」仕事を引き合いに出して仕事への「愛」「愛着」について書いてみました。結局「向いてなさ」を超えていくには「やりたい」仕事への「愛」しかないんだと。多くの人の話であれば「向いている」>「やりたい」なのかもしれないけど、自分は仕事への「愛」を持ってこの不等号を逆転させて「やりたい」>「向いている」の式に変えていきたいと考えています。ちょっとかっこよくまとめてみました。

さてそれじゃあ何が「やりたい」仕事なのか、っていう話です。

そういえば3月1日に就活が解禁?になって様々な企業のESだったり選考の日程だったりがオープンになりました。書類で通らないと面接にはいけないわけですから、いろんな会社のESを書く日々が続きます。これについては前も少し書きましたが、「書く力」が試されているわけです。ESを書いていると嫌でも自分と向き合わなくてはならなくなりますが、留学中に嫌というほど自分と向き合ってきた自分はそんなに苦じゃないというか、ある程度書く内容があってそれを企業が求める話の枠に形を変えればいい、そういった風に感じています。もちろん企業によって何が大切なのかは考えた上で書いていますが。これがなかなかに楽しい。自分にとって大切にしたい、大事にしたい要素、「軸」の一つには「考えて書くこと」があると思いました。

最後の軸のヒントは留学中に転がっていました。私が留学していたフィンランドという国は正直めちゃめちゃ退屈でした。端的に言って娯楽が少ないのです。いやフィンランドが少ない、というともしかしたら語弊があって日本という国に娯楽がありすぎるのかもしれません。わかりやすい対比をあげるとすればキャラクターコンテンツ。フィンランドはほぼムーミンの独占、寡占市場といってもいいでしょう。一方で日本にはそれこそ数え切れないほどのキャラクターで溢れかえっています。一神教と多神教?でも信仰対象の、好きになる選択肢がたくさんあったほうが自分はいいと思っています。僕自身キャラクターが大好きです。こういったコンテンツ産業のあり方が日本の独自性を押し上げているように思います。

教師を志した自分の根底にあったのは子どもを幸せにしたい、でした。子供が幸せな社会は幸せな社会であると信じてやみません。学校で授業をする事はまず目の前にいる生徒たちを幸せにすることです。しかしそれこそ教師の限界で目の前の子どもだけなのかもしれません。もっと多くの子どもを幸せに、さらに広く多くの人を幸せにするには?そうやって考えが深まっていきました。子どもを幸せに出来るのは何も教師だけじゃない。それに子どもだけにこだわらなくてももっと多くのたくさんの人を幸せにしたい。みたいな感じです。これにはもともと人を楽しませるとか、笑わせることが自分が好きだったこともあります。そんなことに仕事として一生懸命考えられたら最高に楽しいだろうと思います。

コンテンツ産業は極論いえばなくても人は生きていけるものだし、非常時の緊迫した状況では優先順位は下がるかもしれないです。しかしながら、それがあることで生きてみようと思ったり、生きる気力を沸かせています。労働環境や学校の状況がひどかったとしても、この国がうまいこと回っているのはそういったコンテンツ産業に夢中になることが出来る構造があるからじゃないかと思います。(もちろん労働環境とか学校の環境が改善されることがベストですが)どれだけ辛いことがあっても、自分にはこれがある、そう思えるものがあることが実は生きていく上では何よりも重要なのではないでしょうか。僕もその一人です。退屈で時間が大量にあるとどうしても嫌なこととか考えてしまいます。でも何か自分にとって楽しいと思えるものがあれば、それだけで頑張ろうと思える。インターネットを介して見たテレビ番組やラジオは留学中大変な助けになりましたと思います。これさえあれば、好きなもの、夢中になれるものがあればどこでも生きていくことができる。そうとすら思えました。(フィンランドはそれほど過酷な環境じゃなかったですけどね)

こういったエンタメ志向、思考が自分にとっての欠かせない「軸」だったのです。コンサルや人材のベンチャーに行って感じた違和感はここにあって、崇高な理想を掲げてする仕事よりも、自分にとっての面白いこと、楽しいこと、人にとってはくだらないとすら思えてしまうことを追求できる仕事が自分にとってしたかった仕事なのだと確信しました。その確信が持てたので、帰りに「選考辞退」の選択をして帰ることができました。自分にとって合わない土壌では咲くことはおろか根付くことはできません。違う土壌だった、それだけのことです。

とまぁじゃあ何をするんだっていう事でタイトルの三つを軸に考えたら大分絞れてきました。一つは出版、一つはホビー、そして教育関連の企業です。大分自分の考えがクリアになってきた気がしますが、まだ細かいところはブラッシュアップできそうな気がしているので、ESを書いていく中で言葉使いや表現を磨き上げていきたいです。

教師と研究者の二択で頭を悩ませていた頃から考えると今の方がいろんな可能性に開かれている感じがしてめちゃ楽しく思っています。あとはこれを実現する手立てを考える事ですね。久々に目的意識をもって努力できそうでワクワクしています。長い永い自分探しのゴールがようやく見えそうです。

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